事件番号平成26(行ウ)502
事件名遺族厚生年金不支給決定取消等請求事件
裁判所東京地方裁判所
裁判年月日平成28年2月26日
事案の概要本件は,原告が,法律上の婚姻関係にあったaが平成24年▲月▲日に死亡した後,同人の配偶者(妻)として遺族厚生年金の裁定を請求した(同年8月14日受付)ところ,処分行政庁(厚生労働大臣)から,aの死亡当時,原告がaによって生計を維持していたとは認められないとの理由により,平成25年3月6日付けで遺族厚生年金を支給しない旨の決定(以下「本件不支給処分」という。)を受けたことから,被告に対し,同処分の取消しを求める(以下「本件取消請求」という。)とともに,処分行政庁が原告に対して同年金の支給裁定をすることの義務付けを求めた(以下「本件義務付け請求」という。)事案である。
判示事項厚生年金保険法上の被保険者であった者と別居中であった配偶者に対してした遺族厚生年金の不支給処分が違法とされた事例
裁判要旨厚生年金保険法上の被保険者であった夫による悪意の遺棄により同人と別居中であった妻に対してした遺族厚生年金の不支給処分につき,厚生労働省年金局通知が定める「生計同一に関する認定要件」を満たさない場合であっても,次の(1)及び(2)などの判示の事情の下では,被保険者であった者により生計を維持していたもの(厚生年金保険法59条1項)と認めるのが相当であるとして,前記不支給処分を違法とした事例。
(1) 妻が直ちに離婚する意思を確定的に有していたとは認められないこと,他方,夫が離婚訴訟を提起したとしても,別居が夫の一方的な悪意の遺棄によりもたらされ,別居期間も短いなど,その離婚請求が認められるとは考え難い状況にあることなどからすると,両者の夫婦関係は,離婚しているのと同視すべき段階に至っていたとはいえない。
(2) 夫は,別居後,妻に生活費を渡していなかったが,妻は,専業主婦であり,独自の収入はなく,夫が残置していった現金や自宅等の夫婦共有財産に依存して生計を維持しており,これらの夫婦共有財産に依存することなくその生計を維持することは不可能であった。
事件番号平成26(行ウ)502
事件名遺族厚生年金不支給決定取消等請求事件
裁判所東京地方裁判所
裁判年月日平成28年2月26日
事案の概要
本件は,原告が,法律上の婚姻関係にあったaが平成24年▲月▲日に死亡した後,同人の配偶者(妻)として遺族厚生年金の裁定を請求した(同年8月14日受付)ところ,処分行政庁(厚生労働大臣)から,aの死亡当時,原告がaによって生計を維持していたとは認められないとの理由により,平成25年3月6日付けで遺族厚生年金を支給しない旨の決定(以下「本件不支給処分」という。)を受けたことから,被告に対し,同処分の取消しを求める(以下「本件取消請求」という。)とともに,処分行政庁が原告に対して同年金の支給裁定をすることの義務付けを求めた(以下「本件義務付け請求」という。)事案である。
判示事項
厚生年金保険法上の被保険者であった者と別居中であった配偶者に対してした遺族厚生年金の不支給処分が違法とされた事例
裁判要旨
厚生年金保険法上の被保険者であった夫による悪意の遺棄により同人と別居中であった妻に対してした遺族厚生年金の不支給処分につき,厚生労働省年金局通知が定める「生計同一に関する認定要件」を満たさない場合であっても,次の(1)及び(2)などの判示の事情の下では,被保険者であった者により生計を維持していたもの(厚生年金保険法59条1項)と認めるのが相当であるとして,前記不支給処分を違法とした事例。
(1) 妻が直ちに離婚する意思を確定的に有していたとは認められないこと,他方,夫が離婚訴訟を提起したとしても,別居が夫の一方的な悪意の遺棄によりもたらされ,別居期間も短いなど,その離婚請求が認められるとは考え難い状況にあることなどからすると,両者の夫婦関係は,離婚しているのと同視すべき段階に至っていたとはいえない。
(2) 夫は,別居後,妻に生活費を渡していなかったが,妻は,専業主婦であり,独自の収入はなく,夫が残置していった現金や自宅等の夫婦共有財産に依存して生計を維持しており,これらの夫婦共有財産に依存することなくその生計を維持することは不可能であった。
このエントリーをはてなブックマークに追加