事件番号平成26(行ウ)568
事件名公金支出差止及び返還請求事件
裁判所東京地方裁判所
裁判年月日平成28年1月26日
事案の概要本件は,練馬区の住民である原告らが,同区の関越自動車道高架下活用事業(以下「本件事業」という。)に関する公金の支出,契約の締結又はその他の義務の負担に関し,同区が本件事業の前提となる道路占用許可を得るためにした申請は道路法等の規定が定める基準に一見明白に違反するものであること,本件事業は周辺住民の人格権を侵害するものであることなどからして,上記の公金の支出等は財務会計上違法である旨主張し,同区の執行機関である被告に対し,地方自治法242条の2第1項1号の規定に基づき,本件事業に関する公金の支出の差止めを求める(以下「本件1号請求」という。)とともに,平 成25年度及び同26年度に行われた公金の支出等に関し,区長であるP1及び副区長であるP2については,同項4号本文の規定に基づき,当該職員又は怠る事実の相手方に対する損害賠償の請求を,また,会計管理者であるP3に対しては,同号ただし書に基づき,当該職員に対する賠償命令をそれぞれ求める(以下「本件4号請求」という。)事案である。
判示事項普通地方公共団体が道路法33条1項に基づく道路占用許可処分を前提として高
速道路の高架下に公共施設を建設する事業に関し公金の支出をしたことが,違法で
ないとされた事例
裁判要旨練馬区が,独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構が道路法33条1項に基づいてした道路占用許可処分を前提とし,関越自動車道の高架下に高齢者センター等の施設を建設する事業に関する公金の支出をしたことは,次の(1)~(3) など判示の事情の下では,財務会計法規に違反して違法とは認められない。
(1)  上記処分が,道路法33条1項の処分要件及びその許否に係る裁量基準を満たすと解することは,必ずしも不合理とまではいえない。
(2)  関越自動車道の経年劣化によりコンクリート片が落下して周辺住民の生命,身体が侵害される危険性があるとはいえず,また,首都直下地震による高架道路の損傷等のおそれについては,他の高架道路と同様の一般的な危険性があるにとどまり,社会通念上,受忍限度を超え,周辺住民の人格権を侵害する違法なものとまではいえない。
(3)  上記事業は,環境影響評価法12条1項又は東京都環境影響評価条例58条1項により義務付けられる環境影響評価の対象でなく,また,周辺住民の健康被害や生活妨害が生じる具体的な危険性が高いと認めるに足りない。
事件番号平成26(行ウ)568
事件名公金支出差止及び返還請求事件
裁判所東京地方裁判所
裁判年月日平成28年1月26日
事案の概要
本件は,練馬区の住民である原告らが,同区の関越自動車道高架下活用事業(以下「本件事業」という。)に関する公金の支出,契約の締結又はその他の義務の負担に関し,同区が本件事業の前提となる道路占用許可を得るためにした申請は道路法等の規定が定める基準に一見明白に違反するものであること,本件事業は周辺住民の人格権を侵害するものであることなどからして,上記の公金の支出等は財務会計上違法である旨主張し,同区の執行機関である被告に対し,地方自治法242条の2第1項1号の規定に基づき,本件事業に関する公金の支出の差止めを求める(以下「本件1号請求」という。)とともに,平 成25年度及び同26年度に行われた公金の支出等に関し,区長であるP1及び副区長であるP2については,同項4号本文の規定に基づき,当該職員又は怠る事実の相手方に対する損害賠償の請求を,また,会計管理者であるP3に対しては,同号ただし書に基づき,当該職員に対する賠償命令をそれぞれ求める(以下「本件4号請求」という。)事案である。
判示事項
普通地方公共団体が道路法33条1項に基づく道路占用許可処分を前提として高
速道路の高架下に公共施設を建設する事業に関し公金の支出をしたことが,違法で
ないとされた事例
裁判要旨
練馬区が,独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構が道路法33条1項に基づいてした道路占用許可処分を前提とし,関越自動車道の高架下に高齢者センター等の施設を建設する事業に関する公金の支出をしたことは,次の(1)~(3) など判示の事情の下では,財務会計法規に違反して違法とは認められない。
(1)  上記処分が,道路法33条1項の処分要件及びその許否に係る裁量基準を満たすと解することは,必ずしも不合理とまではいえない。
(2)  関越自動車道の経年劣化によりコンクリート片が落下して周辺住民の生命,身体が侵害される危険性があるとはいえず,また,首都直下地震による高架道路の損傷等のおそれについては,他の高架道路と同様の一般的な危険性があるにとどまり,社会通念上,受忍限度を超え,周辺住民の人格権を侵害する違法なものとまではいえない。
(3)  上記事業は,環境影響評価法12条1項又は東京都環境影響評価条例58条1項により義務付けられる環境影響評価の対象でなく,また,周辺住民の健康被害や生活妨害が生じる具体的な危険性が高いと認めるに足りない。
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