事件番号平成26(行ウ)52
事件名国籍確認等請求事件
裁判所大阪地方裁判所
裁判年月日平成28年5月13日
事案の概要本件は,ペルー共和国(以下「ペルー」という。)の国籍を有する原告が,大阪入国管理局(以下「大阪入管」という。)入国審査官から出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という。)24条4号ロ(不法残留)の退去強制事由に該当し,かつ,出国命令対象者に該当しない旨の認定を受け,大阪入管特別審理官から上記認定は誤りがない旨の判定を受けたため,法務大臣に対して異議の申出をしたところ,法務大臣から権限の委任を受けた大阪入国管理局長(以下「大阪入管局長」という。)から上記異議の申出には理由がない旨の裁決(以下「本件裁決」という。)を受け,大阪入管主任審査官から退去強制令書発付処分(以下「本件退令発付処分」という。)を受けたことから,原告はペルー国籍に加え日本国籍をも有しており,この点を看過してされた本件裁決及び本件退令発付処分がいずれも無効であるなどと主張して,原告が日本国籍を有することの確認を求めるとともに,本件裁決及び本件退令発付処分の無効確認を求める事案である。
判示事項昭和59年法律第45号(以下「昭和59年改正法」という。)附則5条1項が同法施行日前に日本人母から出生した子に認められる簡易な手続による国籍取得の対象から日本国民であった者を除外していることと憲法14条
裁判要旨①昭和59年改正法附則5条は,出生による国籍取得に関する国籍法の規定を父系血統主義から父母両系血統主義に改正するに当たり,日本人母から出生した子の国籍取得について昭和59年改正法施行前に出生した子と同法施行後に出生した子との間の実質的均衡を合理的な範囲で図ることを目的とするものであり,日本国籍の重要性に照らし,その立法目的は合理的な根拠があるといえること,②同条1項が同法施行日前に日本人母から出生した子について認められる簡易な手続による国籍取得の対象から日本国民であった者を除外しているのは,同法による改正前の国籍法の下で日本人母から出生した子が国籍を取得した場合には,一旦国籍を取得した以上,重ねて国籍取得の機会を付与する必要がないためであり,このような除外は上記の立法目的との関連において不合理とはいえないことなどからすると,同項が同法施行日前に日本人母から出生した子に認められる簡易な手続による国籍取得の対象から日本国民であった者を除外していることは憲法14条に反しない。
事件番号平成26(行ウ)52
事件名国籍確認等請求事件
裁判所大阪地方裁判所
裁判年月日平成28年5月13日
事案の概要
本件は,ペルー共和国(以下「ペルー」という。)の国籍を有する原告が,大阪入国管理局(以下「大阪入管」という。)入国審査官から出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という。)24条4号ロ(不法残留)の退去強制事由に該当し,かつ,出国命令対象者に該当しない旨の認定を受け,大阪入管特別審理官から上記認定は誤りがない旨の判定を受けたため,法務大臣に対して異議の申出をしたところ,法務大臣から権限の委任を受けた大阪入国管理局長(以下「大阪入管局長」という。)から上記異議の申出には理由がない旨の裁決(以下「本件裁決」という。)を受け,大阪入管主任審査官から退去強制令書発付処分(以下「本件退令発付処分」という。)を受けたことから,原告はペルー国籍に加え日本国籍をも有しており,この点を看過してされた本件裁決及び本件退令発付処分がいずれも無効であるなどと主張して,原告が日本国籍を有することの確認を求めるとともに,本件裁決及び本件退令発付処分の無効確認を求める事案である。
判示事項
昭和59年法律第45号(以下「昭和59年改正法」という。)附則5条1項が同法施行日前に日本人母から出生した子に認められる簡易な手続による国籍取得の対象から日本国民であった者を除外していることと憲法14条
裁判要旨
①昭和59年改正法附則5条は,出生による国籍取得に関する国籍法の規定を父系血統主義から父母両系血統主義に改正するに当たり,日本人母から出生した子の国籍取得について昭和59年改正法施行前に出生した子と同法施行後に出生した子との間の実質的均衡を合理的な範囲で図ることを目的とするものであり,日本国籍の重要性に照らし,その立法目的は合理的な根拠があるといえること,②同条1項が同法施行日前に日本人母から出生した子について認められる簡易な手続による国籍取得の対象から日本国民であった者を除外しているのは,同法による改正前の国籍法の下で日本人母から出生した子が国籍を取得した場合には,一旦国籍を取得した以上,重ねて国籍取得の機会を付与する必要がないためであり,このような除外は上記の立法目的との関連において不合理とはいえないことなどからすると,同項が同法施行日前に日本人母から出生した子に認められる簡易な手続による国籍取得の対象から日本国民であった者を除外していることは憲法14条に反しない。
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