事件番号平成26(行ウ)3
事件名損害賠償請求事件(住民訴訟)
裁判所大阪地方裁判所 第2民事部
裁判年月日平成28年7月8日
事案の概要本件は,大阪市の住民である原告らが,大阪市長であった被告補助参加人A(以下「参加人」という。)がいわゆる従軍慰安婦問題に関する不適切な発言をしたことが原因で,同市が計画していた参加人らのアメリカ合衆国(以下「米国」という。)への出張(以下「本件出張」という。)が中止となり,これにより,同市にキャンセル料相当額の損害が生じたにもかかわらず,同市の執行機関である被告が,参加人に対する民法415条ないし同法709条に基づく損害賠償請求権の行使を違法に怠っていると主張して,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,被告を相手に,参加人に対して損害賠償金69万3740円及びこれに対する訴状送達の日である平成26年2月3日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を請求することを求める住民訴訟の事案である。
判示事項の要旨(判示事項)
 地方公共団体の首長が行った発言が,アメリカ合衆国からの強い反発を招き,これにより当該地方公共団体が計画していた当該首長らのアメリカ合衆国への出張が中止され,当該地方公共団体にキャンセル料相当額の損害が生じた場合において,当該発言が当該地方公共団体に対する債務不履行ないし注意義務違反に当たらないとされた事例
(判決要旨)
 地方公共団体の首長が行ったいわゆる従軍慰安婦問題に関する発言が,アメリカ合衆国からの強い反発を招き,これにより当該地方公共団体が計画していた当該首長らのアメリカ合衆国への出張が中止され,当該地方公共団体にキャンセル料相当額の損害が生じた場合において,次の(1)~(5)など判示の事情の下では,当該首長は,当該発言がアメリカ合衆国からの強い反発を招き,これにより当該出張が中止されることを予見することができたということはできず,当該発言は当該地方公共団体に対する債務不履行ないし注意義務違反に当たらない。
(1) 当該発言は,専ら日本のマスメディアに向けて発信されたものであって,海外のマスメディアに向けて発信されたものではなかった。
(2) 日本のマスメディアが海外においてどのような内容,規模で報道を行っているか,海外のマスメディアが日本においてどのような取材を行い,自国においてどのような報道をしているかといった事情については,これらを判断するに足りる的確な証拠がない。
(3) 当該発言は,記者会見等公式な場における発言ではなく,当該首長の登退庁時に実施された「ぶら下がり取材」という非公式な場における発言に過ぎない。
(4) 当該首長は,日本の自治体の首長であると同時に,日本の国政野党の共同代表の地位にあったが,これらの地位にある者の発言は,必ずしも海外の注目を集めるものではない。
(5) 当該発言がされた当時,アメリカ合衆国において,当該首長自身や,当該地方公共団体ないし当該首長が共同代表を務める国政政党が特に注目されていたことをうかがわせる事情は認められない。
事件番号平成26(行ウ)3
事件名損害賠償請求事件(住民訴訟)
裁判所大阪地方裁判所 第2民事部
裁判年月日平成28年7月8日
事案の概要
本件は,大阪市の住民である原告らが,大阪市長であった被告補助参加人A(以下「参加人」という。)がいわゆる従軍慰安婦問題に関する不適切な発言をしたことが原因で,同市が計画していた参加人らのアメリカ合衆国(以下「米国」という。)への出張(以下「本件出張」という。)が中止となり,これにより,同市にキャンセル料相当額の損害が生じたにもかかわらず,同市の執行機関である被告が,参加人に対する民法415条ないし同法709条に基づく損害賠償請求権の行使を違法に怠っていると主張して,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,被告を相手に,参加人に対して損害賠償金69万3740円及びこれに対する訴状送達の日である平成26年2月3日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を請求することを求める住民訴訟の事案である。
判示事項の要旨
(判示事項)
 地方公共団体の首長が行った発言が,アメリカ合衆国からの強い反発を招き,これにより当該地方公共団体が計画していた当該首長らのアメリカ合衆国への出張が中止され,当該地方公共団体にキャンセル料相当額の損害が生じた場合において,当該発言が当該地方公共団体に対する債務不履行ないし注意義務違反に当たらないとされた事例
(判決要旨)
 地方公共団体の首長が行ったいわゆる従軍慰安婦問題に関する発言が,アメリカ合衆国からの強い反発を招き,これにより当該地方公共団体が計画していた当該首長らのアメリカ合衆国への出張が中止され,当該地方公共団体にキャンセル料相当額の損害が生じた場合において,次の(1)~(5)など判示の事情の下では,当該首長は,当該発言がアメリカ合衆国からの強い反発を招き,これにより当該出張が中止されることを予見することができたということはできず,当該発言は当該地方公共団体に対する債務不履行ないし注意義務違反に当たらない。
(1) 当該発言は,専ら日本のマスメディアに向けて発信されたものであって,海外のマスメディアに向けて発信されたものではなかった。
(2) 日本のマスメディアが海外においてどのような内容,規模で報道を行っているか,海外のマスメディアが日本においてどのような取材を行い,自国においてどのような報道をしているかといった事情については,これらを判断するに足りる的確な証拠がない。
(3) 当該発言は,記者会見等公式な場における発言ではなく,当該首長の登退庁時に実施された「ぶら下がり取材」という非公式な場における発言に過ぎない。
(4) 当該首長は,日本の自治体の首長であると同時に,日本の国政野党の共同代表の地位にあったが,これらの地位にある者の発言は,必ずしも海外の注目を集めるものではない。
(5) 当該発言がされた当時,アメリカ合衆国において,当該首長自身や,当該地方公共団体ないし当該首長が共同代表を務める国政政党が特に注目されていたことをうかがわせる事情は認められない。
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