事件番号平成28(行コ)39
事件名小石川植物園周辺道路整備工事公金支出差止等請求控訴事件
裁判所東京高等裁判所
裁判年月日平成28年8月30日
事案の概要本件は,東京都文京区の住民である控訴人らが,文京区αにある国立大学法人東京大学(以下「東京大学」という。)大学院理学系研究科附属植物園(以下「小石川植物園」という。)に隣接する周辺道路(区道)の整備工事(小石川植物園の敷地をセットバックして道路を拡幅整備し,既存塀に代えてフェンスを設置することを基本的な内容とする。以下「本件周辺道路整備工事」という。)について,小石川植物園の環境に与える影響を全く考慮せずに施工することは,環境基本法等や諸条例によって文京区に課せられた環境配慮義務に違反して違法不当であると主張し,被控訴人文京区長(以下「被控訴人区長」という。)に対し,本件周辺道路整備工事の係る公金の支出(ただし,支出命令を除く。)の差止めを求めるとともに,文京区と東京大学との間で締結した「小石川植物園と区道の整備に関する基本協定書」による本件周辺道路整備工事に関する基本協定(以下「本件基本協定」という。)に基づく年度毎の協定のうち,平成28年度分以降の締結の差止めを求め,被控訴人文京区土木部管理課長(以下「被控訴人課長」という。)に対し,本件周辺道路整備工事に係る公金の支出命令の差止めを求める住民訴訟の事案である。
判示事項国立大学の附属植物園の周辺道路について特別区が行う整備工事について,特別区が同大学との間で,同大学が同植物園の一部の用地を無償で道路法の適用を受ける道路とすることを承諾することなどを内容とする基本協定を締結したことが違法であり,その違法を原因として後続する上記整備工事に係る支出負担行為及び支出命令も違法となるなどとして,地方自治法242条の2第1項1号に基づき,特別区長等に対してされた上記支出負担行為及び支出命令の差止請求が棄却された事例
裁判要旨国立大学の附属植物園の周辺道路について特別区が行う整備工事に関し,特別区が同大学との間で,同大学が同植物園の一部の用地を無償で道路法の適用を受ける道路とすることを承諾することなどを内容とする基本協定を締結したことは,同協定に従ってその後の工事を行った場合に同植物園の環境の保全等が図れなくなるというだけの事情があるとはいえないなど判示の事情の下では,特別区が裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したものとはいえず,違法ではないから,上記基本協定の違法を原因として後続する上記整備工事に係る支出負担行為及び支出命令が違法となるものではない。
事件番号平成28(行コ)39
事件名小石川植物園周辺道路整備工事公金支出差止等請求控訴事件
裁判所東京高等裁判所
裁判年月日平成28年8月30日
事案の概要
本件は,東京都文京区の住民である控訴人らが,文京区αにある国立大学法人東京大学(以下「東京大学」という。)大学院理学系研究科附属植物園(以下「小石川植物園」という。)に隣接する周辺道路(区道)の整備工事(小石川植物園の敷地をセットバックして道路を拡幅整備し,既存塀に代えてフェンスを設置することを基本的な内容とする。以下「本件周辺道路整備工事」という。)について,小石川植物園の環境に与える影響を全く考慮せずに施工することは,環境基本法等や諸条例によって文京区に課せられた環境配慮義務に違反して違法不当であると主張し,被控訴人文京区長(以下「被控訴人区長」という。)に対し,本件周辺道路整備工事の係る公金の支出(ただし,支出命令を除く。)の差止めを求めるとともに,文京区と東京大学との間で締結した「小石川植物園と区道の整備に関する基本協定書」による本件周辺道路整備工事に関する基本協定(以下「本件基本協定」という。)に基づく年度毎の協定のうち,平成28年度分以降の締結の差止めを求め,被控訴人文京区土木部管理課長(以下「被控訴人課長」という。)に対し,本件周辺道路整備工事に係る公金の支出命令の差止めを求める住民訴訟の事案である。
判示事項
国立大学の附属植物園の周辺道路について特別区が行う整備工事について,特別区が同大学との間で,同大学が同植物園の一部の用地を無償で道路法の適用を受ける道路とすることを承諾することなどを内容とする基本協定を締結したことが違法であり,その違法を原因として後続する上記整備工事に係る支出負担行為及び支出命令も違法となるなどとして,地方自治法242条の2第1項1号に基づき,特別区長等に対してされた上記支出負担行為及び支出命令の差止請求が棄却された事例
裁判要旨
国立大学の附属植物園の周辺道路について特別区が行う整備工事に関し,特別区が同大学との間で,同大学が同植物園の一部の用地を無償で道路法の適用を受ける道路とすることを承諾することなどを内容とする基本協定を締結したことは,同協定に従ってその後の工事を行った場合に同植物園の環境の保全等が図れなくなるというだけの事情があるとはいえないなど判示の事情の下では,特別区が裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したものとはいえず,違法ではないから,上記基本協定の違法を原因として後続する上記整備工事に係る支出負担行為及び支出命令が違法となるものではない。
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