事件番号平成25(行ウ)406等
事件名各原爆症認定申請却下処分取消請求事件
裁判所東京地方裁判所
裁判年月日平成28年6月29日
事案の概要本件は,原子爆弾に被爆し被爆者健康手帳の交付を受けている原告Z3,原告Z4,原告Z5,原告Z6及び原告Z7(,以上5名の原告を「被爆原告ら」という。)並びに訴外Z2(被爆原告らと合わせて「原告等」という。)が,それぞれ自身の疾病について,原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律(平成6年法律第117号。以下「被爆者援護法」という。)11条1項の認定(以下「原爆症認定」という。)を厚生労働大臣(処分行政庁)に申請したところ,処分行政庁がこれらをいずれも却下したため,被爆原告らにおいては各自に係る,死亡した訴外Z2の妻で相続人である原告Z1においては訴外Z2に係る,当該各却下処分(原告Z4についてはその一部)の取消しを求める事案である。
判示事項前立腺がんに罹患している原子爆弾被爆者について,経過観察的待機療法が選択されていても現に医療を要する状態にあると認められるとして,原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律11条1項の認定の申請を却下した厚生労働大臣の処分が違法であるとされた事例
裁判要旨前立腺がんに対するPSA(前立腺特異抗原)監視療法は,積極的な治療行為は行わない経過観察的待機療法であるが,医師による定期的なフォローアップは必要とされており,被爆者援護法7条の健康診断の範囲では賄うことのできない内容の診療行為であると考えられること,積極的な治療行為を行わないとする判断は,検査したPSA値に異常の認められないことを踏まえてされるものであり,積極的な治療行為が行われないことは当該診察の結果にとどまると考えられることに照らせば,PSA値の異常の有無を確認するために行われる定期的な検査は,同法10条2項1号の「診察」に該当し,同条1項による「必要な医療」に当たるというべきであり,一定の頻度でPSA値の検査が必要な状態にあると認められる前立腺がんに罹患している原子爆弾被爆者について,同項にいう「現に医療を要する状態にある」と認められるから,これについての同法11条1項の認定の申請を却下した厚生労働大臣の処分は違法であるとして,同処分が取り消された事例
事件番号平成25(行ウ)406等
事件名各原爆症認定申請却下処分取消請求事件
裁判所東京地方裁判所
裁判年月日平成28年6月29日
事案の概要
本件は,原子爆弾に被爆し被爆者健康手帳の交付を受けている原告Z3,原告Z4,原告Z5,原告Z6及び原告Z7(,以上5名の原告を「被爆原告ら」という。)並びに訴外Z2(被爆原告らと合わせて「原告等」という。)が,それぞれ自身の疾病について,原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律(平成6年法律第117号。以下「被爆者援護法」という。)11条1項の認定(以下「原爆症認定」という。)を厚生労働大臣(処分行政庁)に申請したところ,処分行政庁がこれらをいずれも却下したため,被爆原告らにおいては各自に係る,死亡した訴外Z2の妻で相続人である原告Z1においては訴外Z2に係る,当該各却下処分(原告Z4についてはその一部)の取消しを求める事案である。
判示事項
前立腺がんに罹患している原子爆弾被爆者について,経過観察的待機療法が選択されていても現に医療を要する状態にあると認められるとして,原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律11条1項の認定の申請を却下した厚生労働大臣の処分が違法であるとされた事例
裁判要旨
前立腺がんに対するPSA(前立腺特異抗原)監視療法は,積極的な治療行為は行わない経過観察的待機療法であるが,医師による定期的なフォローアップは必要とされており,被爆者援護法7条の健康診断の範囲では賄うことのできない内容の診療行為であると考えられること,積極的な治療行為を行わないとする判断は,検査したPSA値に異常の認められないことを踏まえてされるものであり,積極的な治療行為が行われないことは当該診察の結果にとどまると考えられることに照らせば,PSA値の異常の有無を確認するために行われる定期的な検査は,同法10条2項1号の「診察」に該当し,同条1項による「必要な医療」に当たるというべきであり,一定の頻度でPSA値の検査が必要な状態にあると認められる前立腺がんに罹患している原子爆弾被爆者について,同項にいう「現に医療を要する状態にある」と認められるから,これについての同法11条1項の認定の申請を却下した厚生労働大臣の処分は違法であるとして,同処分が取り消された事例
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