事件番号平成25(行ウ)414
事件名法人税更正処分取消請求事件
裁判所東京地方裁判所
裁判年月日平成29年1月19日
事案の概要本件は,原告が,原告の子会社である角弘三協サッシ株式会社(以下「角弘三協サッシ」という。)及び株式会社角弘スチール加工センター(以下「角弘スチール」といい,角弘三協サッシと併せて「本件子会社2社」という。)に対して有する債権の放棄(以下「本件債権放棄」という。)をし,その放棄された債権の額9億9479万5646円(以下「本件債権放棄額」という。)を損金の額に算入して平成21年4月1日から平成22年3月31日までの事業年度(以下「本件事業年度」という。)に係る法人税の確定申告をしたところ,青森税務署長(以下「処分行政庁」という。)から,本件債権放棄額は本件子会社2社に対する法人税法(平成22年法律第6号による改正前のもの。以下同じ。)37条の寄附金の額に該当するとして,法人税の更正処分(以下「本件処分」という。)を受けたため,被告に対し,本件処分の一部(原告主張の所得金額を超える部分及び原告主張の繰越欠損金額を下回る部分)の取消しを求める事案である。
判示事項1 親会社がその企業グループの財務改善計画の一環として行った子会社の事業譲渡に伴って当該子会社に対して有する債権の全額を放棄した場合において,当該債権の額につき,法人税法22条3項3号所定の「当該事業年度の損失の額」に含まれる貸倒損失に該当するものとして損金の額に算入することはできないとされた事例
2 親会社がその企業グループの財務改善計画の一環として行った子会社の事業譲渡及び解散に伴って当該子会社に対して有する債権の全額を放棄した場合において,当該債権の額につき,法人税法37条1項所定の「寄附金の額」に該当しないものとして損金の額に算入することはできないとされた事例
裁判要旨1 親会社がその企業グループの財務改善計画の一環として行った子会社の事業譲渡に伴って当該子会社に対して有する債権の全額を放棄した場合において,当該子会社の資産状況や支払能力等,債権者らの当該子会社との企業グループ関係や債権回収に未着手の状況等,当該親会社の主要取引銀行による財務改善要請の内容等の経済的環境等に照らし,当該親会社が無条件に当該債権の放棄に係る損失を全額負担することに経済的合理性の観点から特段の必要性があったとは認められないという判示の事情の下では,当該債権の額につき,法人税法22条3項3号所定の「当該事業年度の損失の額」に含まれる貸倒損失に該当するものとして損金の額に算入することはできない。
2 親会社がその企業グループの財務改善計画の一環として行った子会社の事業譲渡及び解散に伴って当該子会社に対して有する債権の全額を放棄した場合において,当該子会社の資産状況や支払能力等,債権者らの当該子会社との企業グループ関係や債権回収に未着手の状況等,当該親会社の主要取引銀行による財務改善要請の内容等の経済的環境等に加え,当該親会社が当該事業譲渡の内容や条件について主体的かつ自由に判断できる立場にあったこと等に照らし,当該親会社による当該債権の放棄は経済的合理性の観点から特段の必要性があったとは認め難いという判示の事情の下では,当該債権の額につき,法人税法37条1項所定の「寄附金の額」に該当しないものとして損金の額に算入することはできない。
事件番号平成25(行ウ)414
事件名法人税更正処分取消請求事件
裁判所東京地方裁判所
裁判年月日平成29年1月19日
事案の概要
本件は,原告が,原告の子会社である角弘三協サッシ株式会社(以下「角弘三協サッシ」という。)及び株式会社角弘スチール加工センター(以下「角弘スチール」といい,角弘三協サッシと併せて「本件子会社2社」という。)に対して有する債権の放棄(以下「本件債権放棄」という。)をし,その放棄された債権の額9億9479万5646円(以下「本件債権放棄額」という。)を損金の額に算入して平成21年4月1日から平成22年3月31日までの事業年度(以下「本件事業年度」という。)に係る法人税の確定申告をしたところ,青森税務署長(以下「処分行政庁」という。)から,本件債権放棄額は本件子会社2社に対する法人税法(平成22年法律第6号による改正前のもの。以下同じ。)37条の寄附金の額に該当するとして,法人税の更正処分(以下「本件処分」という。)を受けたため,被告に対し,本件処分の一部(原告主張の所得金額を超える部分及び原告主張の繰越欠損金額を下回る部分)の取消しを求める事案である。
判示事項
1 親会社がその企業グループの財務改善計画の一環として行った子会社の事業譲渡に伴って当該子会社に対して有する債権の全額を放棄した場合において,当該債権の額につき,法人税法22条3項3号所定の「当該事業年度の損失の額」に含まれる貸倒損失に該当するものとして損金の額に算入することはできないとされた事例
2 親会社がその企業グループの財務改善計画の一環として行った子会社の事業譲渡及び解散に伴って当該子会社に対して有する債権の全額を放棄した場合において,当該債権の額につき,法人税法37条1項所定の「寄附金の額」に該当しないものとして損金の額に算入することはできないとされた事例
裁判要旨
1 親会社がその企業グループの財務改善計画の一環として行った子会社の事業譲渡に伴って当該子会社に対して有する債権の全額を放棄した場合において,当該子会社の資産状況や支払能力等,債権者らの当該子会社との企業グループ関係や債権回収に未着手の状況等,当該親会社の主要取引銀行による財務改善要請の内容等の経済的環境等に照らし,当該親会社が無条件に当該債権の放棄に係る損失を全額負担することに経済的合理性の観点から特段の必要性があったとは認められないという判示の事情の下では,当該債権の額につき,法人税法22条3項3号所定の「当該事業年度の損失の額」に含まれる貸倒損失に該当するものとして損金の額に算入することはできない。
2 親会社がその企業グループの財務改善計画の一環として行った子会社の事業譲渡及び解散に伴って当該子会社に対して有する債権の全額を放棄した場合において,当該子会社の資産状況や支払能力等,債権者らの当該子会社との企業グループ関係や債権回収に未着手の状況等,当該親会社の主要取引銀行による財務改善要請の内容等の経済的環境等に加え,当該親会社が当該事業譲渡の内容や条件について主体的かつ自由に判断できる立場にあったこと等に照らし,当該親会社による当該債権の放棄は経済的合理性の観点から特段の必要性があったとは認め難いという判示の事情の下では,当該債権の額につき,法人税法37条1項所定の「寄附金の額」に該当しないものとして損金の額に算入することはできない。
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