事件番号 | 平成28(受)2076 |
---|---|
事件名 | 損害賠償請求事件 |
裁判所 | 最高裁判所第一小法廷 |
裁判年月日 | 平成30年2月15日 |
裁判種別 | 判決 |
結果 | 破棄自判 |
原審裁判所 | 名古屋高等裁判所 |
原審事件番号 | 平成27(ネ)812 |
原審裁判年月日 | 平成28年7月20日 |
事案の概要 | 本件は,上告人の子会社の契約社員として上告人の事業場内で就労していた被上告人が,同じ事業場内で就労していた他の子会社の従業員(以下「従業員A」という。)から,繰り返し交際を要求され,自宅に押し掛けられるなどしたことにつき,国内外の法令,定款,社内規程及び企業倫理(以下「法令等」という。)の遵守に関する社員行動基準を定め,自社及び子会社等から成る企業集団の業務の適正等を確保するための体制を整備していた上告人において,上記体制を整備したことによる相応の措置を講ずるなどの信義則上の義務に違反したと主張して,上告人に対し,債務不履行又は不法行為に基づき,損害賠償を求める事案である。 |
判示事項 | 親会社が,自社及び子会社等のグループ会社における法令遵守体制を整備し,法令等の遵守に関する相談窓口を設け,現に相談への対応を行っていた場合において,親会社が子会社の従業員による相談の申出の際に求められた対応をしなかったことをもって,信義則上の義務違反があったとはいえないとされた事例 |
裁判要旨 | Y社が,法令等の遵守に関する社員行動基準を定め,自社及び子会社である甲社,乙社等のグループ会社から成る企業集団の業務の適正等を確保するための体制を整備し,その一環として,上記グループ会社の事業場内で就労する者から法令等の遵守に関する相談を受ける相談窓口を設け,上記の者に対し,上記相談窓口に係る制度を周知してその利用を促し,現に上記相談窓口における相談への対応を行っていた場合において,甲社の従業員が,上記相談窓口に対し,甲社の元契約社員であって退職後は派遣会社を介してY社の別の事業場内で勤務していたXのために,Xの元交際相手である乙社の従業員AがXの自宅の近くに来ているようなので事実確認等の対応をしてほしいとの相談の申出をしたときであっても,次の(1)~(3)など判示の事情の下においては,Y社において上記申出の際に求められたXに対する事実確認等の対応をしなかったことをもって,Y社のXに対する損害賠償責任を生じさせることとなる信義則上の義務違反があったとはいえない。 (1) 上記体制の仕組みの具体的内容は,Y社において上記相談窓口に対する相談の申出をした者の求める対応をすべきとするものであったとはうかがわれない。 (2) 上記申出に係る相談の内容は,Xが退職した後に上記グループ会社の事業場外で行われた行為に関するものであり,Aの職務執行に直接関係するものとはうかがわれない。 (3) 上記申出の当時,Xは,既にAと同じ職場では就労しておらず,上記申出に係るAの行為が行われてから8箇月以上経過していた。 |
事件番号 | 平成28(受)2076 |
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事件名 | 損害賠償請求事件 |
裁判所 | 最高裁判所第一小法廷 |
裁判年月日 | 平成30年2月15日 |
裁判種別 | 判決 |
結果 | 破棄自判 |
原審裁判所 | 名古屋高等裁判所 |
原審事件番号 | 平成27(ネ)812 |
原審裁判年月日 | 平成28年7月20日 |
事案の概要 |
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本件は,上告人の子会社の契約社員として上告人の事業場内で就労していた被上告人が,同じ事業場内で就労していた他の子会社の従業員(以下「従業員A」という。)から,繰り返し交際を要求され,自宅に押し掛けられるなどしたことにつき,国内外の法令,定款,社内規程及び企業倫理(以下「法令等」という。)の遵守に関する社員行動基準を定め,自社及び子会社等から成る企業集団の業務の適正等を確保するための体制を整備していた上告人において,上記体制を整備したことによる相応の措置を講ずるなどの信義則上の義務に違反したと主張して,上告人に対し,債務不履行又は不法行為に基づき,損害賠償を求める事案である。 |
判示事項 |
親会社が,自社及び子会社等のグループ会社における法令遵守体制を整備し,法令等の遵守に関する相談窓口を設け,現に相談への対応を行っていた場合において,親会社が子会社の従業員による相談の申出の際に求められた対応をしなかったことをもって,信義則上の義務違反があったとはいえないとされた事例 |
裁判要旨 |
Y社が,法令等の遵守に関する社員行動基準を定め,自社及び子会社である甲社,乙社等のグループ会社から成る企業集団の業務の適正等を確保するための体制を整備し,その一環として,上記グループ会社の事業場内で就労する者から法令等の遵守に関する相談を受ける相談窓口を設け,上記の者に対し,上記相談窓口に係る制度を周知してその利用を促し,現に上記相談窓口における相談への対応を行っていた場合において,甲社の従業員が,上記相談窓口に対し,甲社の元契約社員であって退職後は派遣会社を介してY社の別の事業場内で勤務していたXのために,Xの元交際相手である乙社の従業員AがXの自宅の近くに来ているようなので事実確認等の対応をしてほしいとの相談の申出をしたときであっても,次の(1)~(3)など判示の事情の下においては,Y社において上記申出の際に求められたXに対する事実確認等の対応をしなかったことをもって,Y社のXに対する損害賠償責任を生じさせることとなる信義則上の義務違反があったとはいえない。 (1) 上記体制の仕組みの具体的内容は,Y社において上記相談窓口に対する相談の申出をした者の求める対応をすべきとするものであったとはうかがわれない。 (2) 上記申出に係る相談の内容は,Xが退職した後に上記グループ会社の事業場外で行われた行為に関するものであり,Aの職務執行に直接関係するものとはうかがわれない。 (3) 上記申出の当時,Xは,既にAと同じ職場では就労しておらず,上記申出に係るAの行為が行われてから8箇月以上経過していた。 |