事件番号平成26(行ウ)627
事件名東京都市計画△西地区第一種市街地再開発事業に係る損失補償事件
裁判所東京地方裁判所
裁判年月日平成29年5月30日
事案の概要本件は,都市再開発法に基づく△西地区第一種市街地再開発事業(以下「本件事業」という。)の施行区域(以下「本件施行区域」という。)内に別紙1物件目録記載1の土地(以下「本件土地」という。)及び同目録記載2の建物(以下「本件建物」といい,本件土地と併せて「本件不動産」という。)を所有していた原告が,本件事業の施行者である被告が認めた同法97条1項の本件不動産の明渡しに伴う損失補償金(以下「本件補償金」という。)の額を不服として,東京都収用委員会に裁決を申請したところ,同委員会から原告の申請の一部について認める旨の裁決(以下「本件裁決」という。)を受けたことから,同条3項及び同法85条3項が準用する土地収用法133条2項及び3項所定の訴えとして,被告に対し,本件補償金の未払分及びこれに対する平成25年4月2日から平成26年7月10日までの過怠金の合計35億5904万1712円及びうち本件補償金の未払分である29億9967万9806円に対する平成26年7月11日から支払済みまで年14.5%の割合による過怠金の支払を求める事案である。
判示事項1 第一種市街地再開発事業の施行区域内の建物に係る賃貸借契約が明渡期限より前に解約され,明渡期限まで別の賃借人との間で新たに定期建物賃貸借契約が締結されていた場合において,上記賃貸借契約と上記定期建物賃貸借契約との明渡期限までの家賃の差額が,都市再開発法97条1項にいう「通常受ける損失」に当たらないとされた事例
2 第一種市街地再開発事業の施行区域内の建物に係る賃貸借契約が明渡期限より前に解約され,明渡期限まで別の賃借人との間で新たに定期建物賃貸借契約が締結されていた場合において,明渡期限後の家賃の減収分の補償額につき,同事業における補償基準等によるのではなく,同補償基準等に定められた空室補償に相当する金額によるとされた事例
裁判要旨1 第一種市街地再開発事業の施行区域内の建物に係る賃貸借契約が明渡期限より前に解約され,明渡期限まで別の賃借人との間で新たに定期建物賃貸借契約が締結されていた場合において,上記賃貸借契約の解約通知がされた日及び上記賃貸借契約が終了した日は,それぞれ明渡期限の約2年6か月前及び約2年前のことであり,賃借人において上記賃貸借契約を解約した主たる理由が,不確定な事業スケジュールに煩わされることなく,本社機能の移転を確実に実施するという一種の経営判断にあったことなどから,上記賃貸借契約の解約が上記事業の明渡しによるものということはできないとして,上記賃貸借契約と上記定期建物賃貸借契約との明渡期限までの家賃の差額が,都市再開発法97条1項にいう「通常受ける損失」に当たらないとされた事例
2 第一種市街地再開発事業の施行区域内の建物に係る賃貸借契約が明渡期限より前に解約され,明渡期限まで別の賃借人との間で新たに定期建物賃貸借契約が締結されていた場合において,明渡期限後の家賃の減収分の補償額につき,同事業における補償基準等に定められた「従前の建物の家賃」を基準とする補償額よりも,上記補償基準等における空室補償による場合の補償額の方が高く,上記空室補償に係る規定が上記定期建物賃貸借契約を締結した後に定められたものであり,原告において,定期建物賃貸借契約を締結するか,空室補償を得るべきかの適切な選択が必ずしもできない状態にあったなどの事情の下では,上記補償基準等をそのまま適用することは合理的とはいい難く,上記空室補償に相当する金額によるとされた事例
事件番号平成26(行ウ)627
事件名東京都市計画△西地区第一種市街地再開発事業に係る損失補償事件
裁判所東京地方裁判所
裁判年月日平成29年5月30日
事案の概要
本件は,都市再開発法に基づく△西地区第一種市街地再開発事業(以下「本件事業」という。)の施行区域(以下「本件施行区域」という。)内に別紙1物件目録記載1の土地(以下「本件土地」という。)及び同目録記載2の建物(以下「本件建物」といい,本件土地と併せて「本件不動産」という。)を所有していた原告が,本件事業の施行者である被告が認めた同法97条1項の本件不動産の明渡しに伴う損失補償金(以下「本件補償金」という。)の額を不服として,東京都収用委員会に裁決を申請したところ,同委員会から原告の申請の一部について認める旨の裁決(以下「本件裁決」という。)を受けたことから,同条3項及び同法85条3項が準用する土地収用法133条2項及び3項所定の訴えとして,被告に対し,本件補償金の未払分及びこれに対する平成25年4月2日から平成26年7月10日までの過怠金の合計35億5904万1712円及びうち本件補償金の未払分である29億9967万9806円に対する平成26年7月11日から支払済みまで年14.5%の割合による過怠金の支払を求める事案である。
判示事項
1 第一種市街地再開発事業の施行区域内の建物に係る賃貸借契約が明渡期限より前に解約され,明渡期限まで別の賃借人との間で新たに定期建物賃貸借契約が締結されていた場合において,上記賃貸借契約と上記定期建物賃貸借契約との明渡期限までの家賃の差額が,都市再開発法97条1項にいう「通常受ける損失」に当たらないとされた事例
2 第一種市街地再開発事業の施行区域内の建物に係る賃貸借契約が明渡期限より前に解約され,明渡期限まで別の賃借人との間で新たに定期建物賃貸借契約が締結されていた場合において,明渡期限後の家賃の減収分の補償額につき,同事業における補償基準等によるのではなく,同補償基準等に定められた空室補償に相当する金額によるとされた事例
裁判要旨
1 第一種市街地再開発事業の施行区域内の建物に係る賃貸借契約が明渡期限より前に解約され,明渡期限まで別の賃借人との間で新たに定期建物賃貸借契約が締結されていた場合において,上記賃貸借契約の解約通知がされた日及び上記賃貸借契約が終了した日は,それぞれ明渡期限の約2年6か月前及び約2年前のことであり,賃借人において上記賃貸借契約を解約した主たる理由が,不確定な事業スケジュールに煩わされることなく,本社機能の移転を確実に実施するという一種の経営判断にあったことなどから,上記賃貸借契約の解約が上記事業の明渡しによるものということはできないとして,上記賃貸借契約と上記定期建物賃貸借契約との明渡期限までの家賃の差額が,都市再開発法97条1項にいう「通常受ける損失」に当たらないとされた事例
2 第一種市街地再開発事業の施行区域内の建物に係る賃貸借契約が明渡期限より前に解約され,明渡期限まで別の賃借人との間で新たに定期建物賃貸借契約が締結されていた場合において,明渡期限後の家賃の減収分の補償額につき,同事業における補償基準等に定められた「従前の建物の家賃」を基準とする補償額よりも,上記補償基準等における空室補償による場合の補償額の方が高く,上記空室補償に係る規定が上記定期建物賃貸借契約を締結した後に定められたものであり,原告において,定期建物賃貸借契約を締結するか,空室補償を得るべきかの適切な選択が必ずしもできない状態にあったなどの事情の下では,上記補償基準等をそのまま適用することは合理的とはいい難く,上記空室補償に相当する金額によるとされた事例
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