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詳細情報
事件番号
平成28(行コ)91
事件名
遺族補償給付不支給処分取消請求控訴事件
裁判所
名古屋高等裁判所 民事第4部
裁判年月日
平成30年4月11日
原審裁判所
名古屋地方裁判所
原審事件番号
平成23(行ウ)104
原審結果
棄却
事案の概要
本件は,学校法人 a
(以下「a」という。)
に勤務していた b
(以下「被災者」という。)
が肺がん及び胸膜中皮腫
(以下,これらを併せて「本件疾病」という。)
により死亡したことについて,被災者の妻である控訴人が,名古屋東労働基準監督署長に対し,被災者の本件疾病の発症は,aにおいてアスベスト
(以下「石綿」ということもある。)
にばく露したためであり,業務に起因するとして,労働者災害補償保険法
(以下「労災保険法」という。)
に基づく遺族補償給付の支給を請求したところ,同署長から,平成20年5月21日付けで,被災者の本件疾病の発症は業務に起因するものとは認められないとして,遺族補償給付を支給しない旨の処分
(以下「本件不支給処分」という。)
を受けたため,控訴人が,被控訴人に対し,本件不支給処分の取消しを求める事案である。
判示事項の要旨
胸膜中皮腫等により死亡した被災者の妻である控訴人が,上記疾病の発症は被災者が延べ33年間勤務していた学校においてアスベストにばく露したためであり業務に起因するとして,労働基準監督署長に対し,労働者災害補償保険法に基づく遺族補償給付の支給を請求したが,被災者に発症した中皮腫について,国の認定基準である「石綿ばく露作業の従事期間が1年以上あること」との要件に該当するとは認め難く,業務起因性が認められないなどとして遺族補償給付を支給しない旨の処分(以下「本件不支給処分」という。)を受けたため,本件不支給処分の取消しを求めた事案において,中皮腫の職業起因性に関する国際的に尊重されているヘルシンキ・クライテリアに照らし,一般住民の環境性ばく露を超える職業性ばく露があった場合には,それが短期間又は低レベルのものであっても,他に中皮腫の発症原因が見当たらない限り,当該中皮腫の業務起因性を認めるのが相当であって,上記国の認定基準は十分な医学的根拠に基づくものとはいえないとした上,上記学校では,多数の建物にアスベストを含む吹付材等が使用されており,これらを用いた建築工事も頻繁に行われていたところ,被災者は,上記工事が行われた建物と同一の建物で8か月間仕事をして一般環境レベルを超える濃度の石綿粉塵にばく露したり,特定の建物で吹付材等の劣化・剥離に伴って発生した一般環境レベルを超える濃度の石綿粉塵に相当期間ばく露したと認められ,被災者に他に石綿粉塵のばく露歴があるとも,他に中皮腫を発症する事由があったとも認められないとして,被災者の死因である胸膜中皮腫は,被災者が勤務した学校における業務を行う際に被った石綿粉塵ばく露によって発症した疾病であり,業務に起因するとして,本件不支給処分を取り消した事例
事件番号
平成28(行コ)91
事件名
遺族補償給付不支給処分取消請求控訴事件
裁判所
名古屋高等裁判所 民事第4部
裁判年月日
平成30年4月11日
原審裁判所
名古屋地方裁判所
原審事件番号
平成23(行ウ)104
原審結果
棄却
事案の概要
本件は,学校法人 a
(以下「a」という。)
に勤務していた b
(以下「被災者」という。)
が肺がん及び胸膜中皮腫
(以下,これらを併せて「本件疾病」という。)
により死亡したことについて,被災者の妻である控訴人が,名古屋東労働基準監督署長に対し,被災者の本件疾病の発症は,aにおいてアスベスト
(以下「石綿」ということもある。)
にばく露したためであり,業務に起因するとして,労働者災害補償保険法
(以下「労災保険法」という。)
に基づく遺族補償給付の支給を請求したところ,同署長から,平成20年5月21日付けで,被災者の本件疾病の発症は業務に起因するものとは認められないとして,遺族補償給付を支給しない旨の処分
(以下「本件不支給処分」という。)
を受けたため,控訴人が,被控訴人に対し,本件不支給処分の取消しを求める事案である。
判示事項の要旨
胸膜中皮腫等により死亡した被災者の妻である控訴人が,上記疾病の発症は被災者が延べ33年間勤務していた学校においてアスベストにばく露したためであり業務に起因するとして,労働基準監督署長に対し,労働者災害補償保険法に基づく遺族補償給付の支給を請求したが,被災者に発症した中皮腫について,国の認定基準である「石綿ばく露作業の従事期間が1年以上あること」との要件に該当するとは認め難く,業務起因性が認められないなどとして遺族補償給付を支給しない旨の処分(以下「本件不支給処分」という。)を受けたため,本件不支給処分の取消しを求めた事案において,中皮腫の職業起因性に関する国際的に尊重されているヘルシンキ・クライテリアに照らし,一般住民の環境性ばく露を超える職業性ばく露があった場合には,それが短期間又は低レベルのものであっても,他に中皮腫の発症原因が見当たらない限り,当該中皮腫の業務起因性を認めるのが相当であって,上記国の認定基準は十分な医学的根拠に基づくものとはいえないとした上,上記学校では,多数の建物にアスベストを含む吹付材等が使用されており,これらを用いた建築工事も頻繁に行われていたところ,被災者は,上記工事が行われた建物と同一の建物で8か月間仕事をして一般環境レベルを超える濃度の石綿粉塵にばく露したり,特定の建物で吹付材等の劣化・剥離に伴って発生した一般環境レベルを超える濃度の石綿粉塵に相当期間ばく露したと認められ,被災者に他に石綿粉塵のばく露歴があるとも,他に中皮腫を発症する事由があったとも認められないとして,被災者の死因である胸膜中皮腫は,被災者が勤務した学校における業務を行う際に被った石綿粉塵ばく露によって発症した疾病であり,業務に起因するとして,本件不支給処分を取り消した事例
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