事件番号平成31(う)83
事件名詐欺(変更後の訴因 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反)
裁判所福岡高等裁判所 第2刑事部
裁判年月日令和2年5月13日
結果棄却
事案の概要1 本件公訴事実(原審における訴因変更後のもの)の要旨は次のとおりである。
被告人Aは,福岡市a区内に本店を置き,営業目的を非鉄金属地金の売買仲介業務等として登記され,ロンドン金属取引所(以下「LME」という。)におけるアルミニウムの委託売買取引を行っているかのように装って,同取引を行うために必要な保証金名目で現金をだまし取ることを共同の目的とする,被告人両名及び従業員らで構成される多人数の継続的結合体であって,被告人Aの指揮命令に基づき,あらかじめ定められた各任務の分担に従って一体として行動する組織により,その目的を実現する行為を反復して行っていた団体である株式会社C(以下「本件会社」という。)の実質的経営者として本件会社の業務全般を統括管理するとともに,現金をだまし取ることを任務としていたもの,被告人Bは,本件会社の代表取締役であるとともに,被告人Aらが現金をだまし取る際に用いる資料等の作成や被告人Aらがだまし取った現金の管理を任務としていたものであるが,被告人両名は,本件会社がLMEにおけるアルミニウムの委託売買取引を行っているかのように装って,同取引を行うために必要な保証金名目で現金をだまし取ろうと企て,現金をだまし取ることを任務としていた従業員らと共謀の上,本件会社の意思決定に基づく行為であって,だまし取った現金は本件会社に帰属するものとして,被告人Aの指揮命令の下,あらかじめ定められた各任務の分担に従い,平成27年6月から平成28年5月までの間に,5人の被害者らに対し,真実は,本件会社がLMEにおけるアルミニウムの委託売買取引を行っている事実はなく,交付を受けた現金を同取引を行うために必要な保証金に充てるつもりもないのに,これらがあるように装い,かつ,交付を受けた現金は本件会社の運営費や被告人らの遊興費等に費消するつもりであるのに,その情を秘し,本件会社が上記被害者らから交付を受けた現金を保証金に充てて,LMEにおけるアルミニウムの委託売買取引を行い,同取引によって生じた利益があればそれを上記被害者らに支払うなどとうそを言い,上記被害者らにその旨誤信させ,よって,上記被害者らから現金合計4400万円の交付を受け,もってそれぞれ団体の活動として,詐欺の罪に当たる行為を実行するための組織により,人を欺いて財物を交付させた。
2 原判決は,被告人Bについては,本件会社がLMEにおける取引を行っていないとの認識を有していたとはいえないから,詐欺の故意を認めることができず,犯罪の証明がないとして,無罪を言い渡し,被告人Aについては,被告人B及び従業員らとの共謀の点を除き,上記公訴事実とおおむね同一の事実を認定した上で,組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(以下「組織的犯罪処罰法」という。)違反(同法3条1項13号)の罪(以下「組織的詐欺罪」という。)により懲役7年6月に処した。
事件番号平成31(う)83
事件名詐欺(変更後の訴因 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反)
裁判所福岡高等裁判所 第2刑事部
裁判年月日令和2年5月13日
結果棄却
事案の概要
1 本件公訴事実(原審における訴因変更後のもの)の要旨は次のとおりである。
被告人Aは,福岡市a区内に本店を置き,営業目的を非鉄金属地金の売買仲介業務等として登記され,ロンドン金属取引所(以下「LME」という。)におけるアルミニウムの委託売買取引を行っているかのように装って,同取引を行うために必要な保証金名目で現金をだまし取ることを共同の目的とする,被告人両名及び従業員らで構成される多人数の継続的結合体であって,被告人Aの指揮命令に基づき,あらかじめ定められた各任務の分担に従って一体として行動する組織により,その目的を実現する行為を反復して行っていた団体である株式会社C(以下「本件会社」という。)の実質的経営者として本件会社の業務全般を統括管理するとともに,現金をだまし取ることを任務としていたもの,被告人Bは,本件会社の代表取締役であるとともに,被告人Aらが現金をだまし取る際に用いる資料等の作成や被告人Aらがだまし取った現金の管理を任務としていたものであるが,被告人両名は,本件会社がLMEにおけるアルミニウムの委託売買取引を行っているかのように装って,同取引を行うために必要な保証金名目で現金をだまし取ろうと企て,現金をだまし取ることを任務としていた従業員らと共謀の上,本件会社の意思決定に基づく行為であって,だまし取った現金は本件会社に帰属するものとして,被告人Aの指揮命令の下,あらかじめ定められた各任務の分担に従い,平成27年6月から平成28年5月までの間に,5人の被害者らに対し,真実は,本件会社がLMEにおけるアルミニウムの委託売買取引を行っている事実はなく,交付を受けた現金を同取引を行うために必要な保証金に充てるつもりもないのに,これらがあるように装い,かつ,交付を受けた現金は本件会社の運営費や被告人らの遊興費等に費消するつもりであるのに,その情を秘し,本件会社が上記被害者らから交付を受けた現金を保証金に充てて,LMEにおけるアルミニウムの委託売買取引を行い,同取引によって生じた利益があればそれを上記被害者らに支払うなどとうそを言い,上記被害者らにその旨誤信させ,よって,上記被害者らから現金合計4400万円の交付を受け,もってそれぞれ団体の活動として,詐欺の罪に当たる行為を実行するための組織により,人を欺いて財物を交付させた。
2 原判決は,被告人Bについては,本件会社がLMEにおける取引を行っていないとの認識を有していたとはいえないから,詐欺の故意を認めることができず,犯罪の証明がないとして,無罪を言い渡し,被告人Aについては,被告人B及び従業員らとの共謀の点を除き,上記公訴事実とおおむね同一の事実を認定した上で,組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(以下「組織的犯罪処罰法」という。)違反(同法3条1項13号)の罪(以下「組織的詐欺罪」という。)により懲役7年6月に処した。
このエントリーをはてなブックマークに追加