事件番号 | 令和1(受)1055 |
---|---|
事件名 | 地位確認等請求事件 |
裁判所 | 最高裁判所第三小法廷 |
裁判年月日 | 令和2年10月13日 |
裁判種別 | 判決 |
結果 | その他 |
原審裁判所 | 大阪高等裁判所 |
原審事件番号 | 平成30(ネ)406 |
原審裁判年月日 | 平成31年2月15日 |
事案の概要 | 本件は,第1審被告と期間の定めのある労働契約(以下「有期労働契約」という。)を締結して勤務していた第1審原告が,期間の定めのない労働契約(以下「無期労働契約」という。)を締結している正職員と第1審原告との間で,賞与,業務外の疾病(以下「私傷病」という。)による欠勤中の賃金等に相違があったことは労働契約法20条(平成30年法律第71号による改正前のもの。以下同じ。)に違反するものであったとして,第1審被告に対し,不法行為に基づき,上記相違に係る賃金に相当する額等の損害賠償を求める事案である。 |
判示事項 | 無期契約労働者に対して賞与を支給する一方で有期契約労働者に対してこれを支給しないという労働条件の相違が労働契約法(平成30年法律第71号による改正前のもの)20条にいう不合理と認められるものに当たらないとされた事例 |
裁判要旨 | 私立大学の教室事務を担当する無期契約労働者に対して賞与を支給する一方で,同事務を担当する時給制のアルバイト職員である有期契約労働者に対してこれを支給しないという労働条件の相違は,次の(1)~(5)など判示の事情の下においては,労働契約法(平成30年法律第71号による改正前のもの)20条にいう不合理と認められるものに当たらない。 (1) 上記大学を運営する学校法人の無期契約労働者に対する賞与は,基本給とは別に支給される一時金として,財務状況等を踏まえつつ,その都度,支給の有無や支給基準が決定されるものであり,労務の対価の後払いや一律の功労報償,将来の労働意欲の向上等の趣旨を含むものとして,無期契約労働者としての職務を遂行し得る人材の確保やその定着を図るなどの目的から支給することとされたものである。 (2) 上記教室事務を担当する無期契約労働者とアルバイト職員の業務の内容は共通する部分はあるものの,上記無期契約労働者は,学内の英文学術誌の編集事務等,病理解剖に関する遺族等への対応や部門間の連携を要する業務又は毒劇物等の試薬の管理業務等にも従事する必要があり,両者の職務の内容に一定の相違があった。 (3) 上記教室事務を担当する無期契約労働者は就業規則上人事異動を命ぜられる可能性があったのに対し,アルバイト職員の人事異動は例外的かつ個別的な事情により行われており,両者の職務の内容及び配置の変更の範囲に一定の相違があった。 (4) 上記学校法人においては,全ての無期契約労働者が同一の雇用管理の区分に属するものとして同一の就業規則等の適用を受けているところ,教室事務を担当する職員の業務の内容の過半が定型的で簡便な作業等であったために一部を除いてアルバイト職員に置き換えてきた結果,教室事務を担当する無期契約労働者は,業務の内容の難度や責任の程度が高く,人事異動も行われていた他の大多数の無期契約労働者と比較して極めて少数となっていた。 (5) 上記学校法人には,アルバイト職員について,無期契約労働者へ段階的に職種を変更するための試験による登用制度が設けられていた。 |
事件番号 | 令和1(受)1055 |
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事件名 | 地位確認等請求事件 |
裁判所 | 最高裁判所第三小法廷 |
裁判年月日 | 令和2年10月13日 |
裁判種別 | 判決 |
結果 | その他 |
原審裁判所 | 大阪高等裁判所 |
原審事件番号 | 平成30(ネ)406 |
原審裁判年月日 | 平成31年2月15日 |
事案の概要 |
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本件は,第1審被告と期間の定めのある労働契約(以下「有期労働契約」という。)を締結して勤務していた第1審原告が,期間の定めのない労働契約(以下「無期労働契約」という。)を締結している正職員と第1審原告との間で,賞与,業務外の疾病(以下「私傷病」という。)による欠勤中の賃金等に相違があったことは労働契約法20条(平成30年法律第71号による改正前のもの。以下同じ。)に違反するものであったとして,第1審被告に対し,不法行為に基づき,上記相違に係る賃金に相当する額等の損害賠償を求める事案である。 |
判示事項 |
無期契約労働者に対して賞与を支給する一方で有期契約労働者に対してこれを支給しないという労働条件の相違が労働契約法(平成30年法律第71号による改正前のもの)20条にいう不合理と認められるものに当たらないとされた事例 |
裁判要旨 |
私立大学の教室事務を担当する無期契約労働者に対して賞与を支給する一方で,同事務を担当する時給制のアルバイト職員である有期契約労働者に対してこれを支給しないという労働条件の相違は,次の(1)~(5)など判示の事情の下においては,労働契約法(平成30年法律第71号による改正前のもの)20条にいう不合理と認められるものに当たらない。 (1) 上記大学を運営する学校法人の無期契約労働者に対する賞与は,基本給とは別に支給される一時金として,財務状況等を踏まえつつ,その都度,支給の有無や支給基準が決定されるものであり,労務の対価の後払いや一律の功労報償,将来の労働意欲の向上等の趣旨を含むものとして,無期契約労働者としての職務を遂行し得る人材の確保やその定着を図るなどの目的から支給することとされたものである。 (2) 上記教室事務を担当する無期契約労働者とアルバイト職員の業務の内容は共通する部分はあるものの,上記無期契約労働者は,学内の英文学術誌の編集事務等,病理解剖に関する遺族等への対応や部門間の連携を要する業務又は毒劇物等の試薬の管理業務等にも従事する必要があり,両者の職務の内容に一定の相違があった。 (3) 上記教室事務を担当する無期契約労働者は就業規則上人事異動を命ぜられる可能性があったのに対し,アルバイト職員の人事異動は例外的かつ個別的な事情により行われており,両者の職務の内容及び配置の変更の範囲に一定の相違があった。 (4) 上記学校法人においては,全ての無期契約労働者が同一の雇用管理の区分に属するものとして同一の就業規則等の適用を受けているところ,教室事務を担当する職員の業務の内容の過半が定型的で簡便な作業等であったために一部を除いてアルバイト職員に置き換えてきた結果,教室事務を担当する無期契約労働者は,業務の内容の難度や責任の程度が高く,人事異動も行われていた他の大多数の無期契約労働者と比較して極めて少数となっていた。 (5) 上記学校法人には,アルバイト職員について,無期契約労働者へ段階的に職種を変更するための試験による登用制度が設けられていた。 |