事件番号平成24(行ウ)345
事件名住民訴訟事件
裁判所東京地方裁判所
裁判年月日令和2年7月21日
事案の概要本件は,東京都が東京都中央卸売市場築地市場(以下「築地市場」という。)の移転先用地を取得するため土地の売買契約を締結したところ,東京都の住民である原告らが,上記売買契約の締結は違法であり,当時の東京都知事であった参加人は,東京都を代表して上記売買契約を締結したことから損害賠償責任を負い,上記売買契約を締結したものでなかったとしてもその締結につき指揮監督義務違反があることから損害賠償責任を負うなどとして,東京都の執行機関である被告を相手に,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,参加人に対して上記土地の取得価格である578億1427万8000円(予備的に,順次,土地の取得価格と正常価格との差額であると主張する①541億7475万円,②220億2180万円,③156億5650万円)の損害賠償及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成24年6月15日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払の請求をすることを求める事案である。
判示事項中央卸売市場の移転先用地を取得するため複数筆の土地を正常価格の目安となる価格の約1.37倍から約1.41倍の価格で買い取る各売買契約を締結した都の財務局長の判断が裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用するものとして違法であるとはいえないとされた事例
裁判要旨中央卸売市場の移転先用地を取得するため複数筆の土地を正常価格の目安となる価格の約1.37倍から約1.41倍の価格で買い取る各売買契約を締結した都の財務局長の判断は,①中央卸売市場施設の狭隘・過密化・老朽化に対処するため,都が中央卸売市場を移転する方針としていたが,上記複数筆の土地の所在する地区以外に移転候補地が見当たらない状態であったこと,都が中央卸売市場を現在地において再整備する具体案を採用せず,移転を推進したことがそれ自体不合理とはいえないこと,上記複数筆の土地には相当程度の土壌汚染が存在したが,多額の費用は要するものの,一定程度の土壌汚染対策をすることが可能であったこと,中央卸売市場の移転先用地の一部として既に取得した土地の活用も考慮する必要があったことから,中央卸売市場の移転先用地を取得する必要があると判断して,上記各売買契約を締結したこと自体が不合理であるということはできないこと,また,②上記各売買契約の締結の一方で,都がその売主との間で,売主が上記複数筆の土地を含む中央卸売市場移転予定地の土壌汚染対策費用の一部を負担する協定を締結していることなど,判示の事情の下では,その裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用するものとして違法であるとはいえない。
事件番号平成24(行ウ)345
事件名住民訴訟事件
裁判所東京地方裁判所
裁判年月日令和2年7月21日
事案の概要
本件は,東京都が東京都中央卸売市場築地市場(以下「築地市場」という。)の移転先用地を取得するため土地の売買契約を締結したところ,東京都の住民である原告らが,上記売買契約の締結は違法であり,当時の東京都知事であった参加人は,東京都を代表して上記売買契約を締結したことから損害賠償責任を負い,上記売買契約を締結したものでなかったとしてもその締結につき指揮監督義務違反があることから損害賠償責任を負うなどとして,東京都の執行機関である被告を相手に,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,参加人に対して上記土地の取得価格である578億1427万8000円(予備的に,順次,土地の取得価格と正常価格との差額であると主張する①541億7475万円,②220億2180万円,③156億5650万円)の損害賠償及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成24年6月15日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払の請求をすることを求める事案である。
判示事項
中央卸売市場の移転先用地を取得するため複数筆の土地を正常価格の目安となる価格の約1.37倍から約1.41倍の価格で買い取る各売買契約を締結した都の財務局長の判断が裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用するものとして違法であるとはいえないとされた事例
裁判要旨
中央卸売市場の移転先用地を取得するため複数筆の土地を正常価格の目安となる価格の約1.37倍から約1.41倍の価格で買い取る各売買契約を締結した都の財務局長の判断は,①中央卸売市場施設の狭隘・過密化・老朽化に対処するため,都が中央卸売市場を移転する方針としていたが,上記複数筆の土地の所在する地区以外に移転候補地が見当たらない状態であったこと,都が中央卸売市場を現在地において再整備する具体案を採用せず,移転を推進したことがそれ自体不合理とはいえないこと,上記複数筆の土地には相当程度の土壌汚染が存在したが,多額の費用は要するものの,一定程度の土壌汚染対策をすることが可能であったこと,中央卸売市場の移転先用地の一部として既に取得した土地の活用も考慮する必要があったことから,中央卸売市場の移転先用地を取得する必要があると判断して,上記各売買契約を締結したこと自体が不合理であるということはできないこと,また,②上記各売買契約の締結の一方で,都がその売主との間で,売主が上記複数筆の土地を含む中央卸売市場移転予定地の土壌汚染対策費用の一部を負担する協定を締結していることなど,判示の事情の下では,その裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用するものとして違法であるとはいえない。
このエントリーをはてなブックマークに追加