事件番号令和1(行ウ)179
事件名入札無効決定取消等請求事件
裁判所大阪地方裁判所
裁判年月日令和2年9月10日
事案の概要別紙物件目録記載の各建物(以下「本件各建物」という。)を所有する被告は,令和元年9月13日,本件各建物について,あらかじめ定められた貸付条件に従った管理運営をすることなどの条件の下に,借地借家法38条に規定する定期建物賃借権の設定を目的とする内容の賃貸借契約(以下「本件契約」という。)を締結する相手方(賃借人)を募集する条件付一般競争入札(以下「本件入札」という。)を実施し,開札の結果,その落札者をA株式会社(以下「A」という。)である旨の決定(以下「本件落札決定」という。)をした。
本件は,本件入札に参加した業者の中で最高の価格をもって入札したにもかかわらず,入札書に原告の適式な押印がないことを理由として本件入札が無効である旨の決定(以下「本件入札無効決定」という。)を受けたとする原告が,本件入札無効決定はあらかじめ定められていない新たな無効事由を作出してされたものであり,また,本件落札決定は最高の価格をもって入札した者と異なる者を落札者であると決定するもので,いずれも違法であると主張して,被告に対し,本件入札無効決定及び本件落札決定の取消しを求める事案である(なお,原告は,請求の趣旨2項に関し,取消しを求めている本件落札決定が令和元年9月18日付けでされたとするが,これは同月13日付けであるから,そのように解する。)
被告は,本件において,本件入札無効決定及び本件落札決定は,行政事件訴訟法3条2項に定める「処分その他公権力の行使に当たる行為」に当たらないから本件訴えは不適法なものとしていずれも却下されるべきである旨主張するため,当裁判所は,本件訴えの適法性に関する中間の争いについて裁判をすることとし,当該中間の争いの内容に応じ,裁判の結果として中間判決(本件訴えが適法である場合)又は終局判決(本件訴えが不適法である場合)をすることとしたものである。
判示事項1 地方公共団体が条件付一般競争入札を実施するに当たり,適式な入札行為がないことを理由としてする入札行為が無効である旨の決定が,「処分その他公権力の行使に当たる行為」(行政事件訴訟法3条2項)に当たるか
2 地方公共団体が実施する条件付一般競争入札における落札者の決定が,「処分その他公権力の行使に当たる行為」(行政事件訴訟法3条2項)に当たるか
裁判要旨1 地方公共団体が契約の締結相手を募集する条件付一般競争入札を実施するに当たり,適式な入札行為がないことを理由としてする入札行為が無効である旨の決定は,契約の相手方の選考等の過程において,選考等の前提としての適式な申込みがなかったことを明らかにするものであるから,「処分その他公権力の行使に当たる行為」(行政事件訴訟法3条2項)に当たるとはいえない。
2 地方公共団体が契約の締結相手を募集するために実施する条件付一般競争入札における落札者の決定は,契約の準備的行為としてその相手方についての選考結果を明らかにするものであるから,「処分その他公権力の行使に当たる行為」(行政事件訴訟法3条2項)に当たるとはいえない。
事件番号令和1(行ウ)179
事件名入札無効決定取消等請求事件
裁判所大阪地方裁判所
裁判年月日令和2年9月10日
事案の概要
別紙物件目録記載の各建物(以下「本件各建物」という。)を所有する被告は,令和元年9月13日,本件各建物について,あらかじめ定められた貸付条件に従った管理運営をすることなどの条件の下に,借地借家法38条に規定する定期建物賃借権の設定を目的とする内容の賃貸借契約(以下「本件契約」という。)を締結する相手方(賃借人)を募集する条件付一般競争入札(以下「本件入札」という。)を実施し,開札の結果,その落札者をA株式会社(以下「A」という。)である旨の決定(以下「本件落札決定」という。)をした。
本件は,本件入札に参加した業者の中で最高の価格をもって入札したにもかかわらず,入札書に原告の適式な押印がないことを理由として本件入札が無効である旨の決定(以下「本件入札無効決定」という。)を受けたとする原告が,本件入札無効決定はあらかじめ定められていない新たな無効事由を作出してされたものであり,また,本件落札決定は最高の価格をもって入札した者と異なる者を落札者であると決定するもので,いずれも違法であると主張して,被告に対し,本件入札無効決定及び本件落札決定の取消しを求める事案である(なお,原告は,請求の趣旨2項に関し,取消しを求めている本件落札決定が令和元年9月18日付けでされたとするが,これは同月13日付けであるから,そのように解する。)
被告は,本件において,本件入札無効決定及び本件落札決定は,行政事件訴訟法3条2項に定める「処分その他公権力の行使に当たる行為」に当たらないから本件訴えは不適法なものとしていずれも却下されるべきである旨主張するため,当裁判所は,本件訴えの適法性に関する中間の争いについて裁判をすることとし,当該中間の争いの内容に応じ,裁判の結果として中間判決(本件訴えが適法である場合)又は終局判決(本件訴えが不適法である場合)をすることとしたものである。
判示事項
1 地方公共団体が条件付一般競争入札を実施するに当たり,適式な入札行為がないことを理由としてする入札行為が無効である旨の決定が,「処分その他公権力の行使に当たる行為」(行政事件訴訟法3条2項)に当たるか
2 地方公共団体が実施する条件付一般競争入札における落札者の決定が,「処分その他公権力の行使に当たる行為」(行政事件訴訟法3条2項)に当たるか
裁判要旨
1 地方公共団体が契約の締結相手を募集する条件付一般競争入札を実施するに当たり,適式な入札行為がないことを理由としてする入札行為が無効である旨の決定は,契約の相手方の選考等の過程において,選考等の前提としての適式な申込みがなかったことを明らかにするものであるから,「処分その他公権力の行使に当たる行為」(行政事件訴訟法3条2項)に当たるとはいえない。
2 地方公共団体が契約の締結相手を募集するために実施する条件付一般競争入札における落札者の決定は,契約の準備的行為としてその相手方についての選考結果を明らかにするものであるから,「処分その他公権力の行使に当たる行為」(行政事件訴訟法3条2項)に当たるとはいえない。
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