事件番号 | 令和2(ヨ)386 |
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事件名 | 原子力発電所運転差止仮処分命令申立事件 |
裁判所 | 大阪地方裁判所 第1民事部 |
裁判年月日 | 令和3年3月17日 |
事案の概要 | 本件は,福井県,大阪府,兵庫県及び京都府に居住する債権者らが,申立ての趣旨記載の各原子力発電所(以下「本件各原発」という。)において同趣旨記載の各原子炉(以下「本件各原子炉」という。)を設置する債務者に対し,新型コロナウイルス感染症の感染拡大状況の下では,本件各原発において原子力事故が発生した際に円滑に避難できないために放射線に被曝することにより債権者らの人格権が侵害される具体的危険があるとして,人格権に基づく妨害予防請求権に基づき,本件各原子炉の運転を仮に差し止めることを命じる仮処分を求める事案である。 |
判示事項の要旨 | 1 事案の概要 本件は,高浜発電所,大飯発電所及び美浜発電所から約15kmない し約120kmの範囲に居住する債権者らが,上記各原子力発電所(以 下「本件各原発」という。)において原子炉(高浜発電所1号機ないし4 号機,大飯発電所3号機及び4号機並びに美浜発電所3号機。以下「本 件各原子炉」という。)を設置する債務者に対し,新型コロナウイルス感 染症の感染拡大状況の下では,本件各原発において原子力事故が発生し た際に円滑に避難できないために放射線に被曝することにより債権者 らの人格権が侵害される具体的危険があるとして,人格権に基づく妨害 排除請求権に基づき,本件各原子炉の運転を仮に差し止めることを命じ る仮処分を求める事案である。 2 主文 (1) 本件申立てを却下する。 (2) 申立費用は債権者らの負担とする。 3 判断要旨 国際原子力機関や原子力規制委員会の新規制基準における深層防護 の概念ないし同概念に基づく安全設計は,飽くまでも予防的な観点から 防護を確実にするために求められるものであって,第5層の防護(放射 性物質が原子力施設外に放出されることを前提とした避難計画)に不備 があれば即座に地域住民に放射線被害が及ぶ危険が生じるということ を意味するものであるとは認められない。本件各原発が稼働することに より債権者らが安全に避難できずに放射線被害が発生するといった人 格権侵害に対する具体的危険があるといえるためには,避難計画の不備 のみでは足りず,その前提として,債権者らが避難を要するような,本 件各原発の外に放射性物質が放出される事故が発生する具体的危険を 主張し,個別具体的に疎明する必要があるというべきであるところ,本 件においては,本件各原発において債権者らが避難を要するような事故 が発生する具体的危険性に関する主張及び疎明があるとはいえず,債権 者らの本件申立ては理由がない。 |
事件番号 | 令和2(ヨ)386 |
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事件名 | 原子力発電所運転差止仮処分命令申立事件 |
裁判所 | 大阪地方裁判所 第1民事部 |
裁判年月日 | 令和3年3月17日 |
事案の概要 |
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本件は,福井県,大阪府,兵庫県及び京都府に居住する債権者らが,申立ての趣旨記載の各原子力発電所(以下「本件各原発」という。)において同趣旨記載の各原子炉(以下「本件各原子炉」という。)を設置する債務者に対し,新型コロナウイルス感染症の感染拡大状況の下では,本件各原発において原子力事故が発生した際に円滑に避難できないために放射線に被曝することにより債権者らの人格権が侵害される具体的危険があるとして,人格権に基づく妨害予防請求権に基づき,本件各原子炉の運転を仮に差し止めることを命じる仮処分を求める事案である。 |
判示事項の要旨 |
1 事案の概要 本件は,高浜発電所,大飯発電所及び美浜発電所から約15kmない し約120kmの範囲に居住する債権者らが,上記各原子力発電所(以 下「本件各原発」という。)において原子炉(高浜発電所1号機ないし4 号機,大飯発電所3号機及び4号機並びに美浜発電所3号機。以下「本 件各原子炉」という。)を設置する債務者に対し,新型コロナウイルス感 染症の感染拡大状況の下では,本件各原発において原子力事故が発生し た際に円滑に避難できないために放射線に被曝することにより債権者 らの人格権が侵害される具体的危険があるとして,人格権に基づく妨害 排除請求権に基づき,本件各原子炉の運転を仮に差し止めることを命じ る仮処分を求める事案である。 2 主文 (1) 本件申立てを却下する。 (2) 申立費用は債権者らの負担とする。 3 判断要旨 国際原子力機関や原子力規制委員会の新規制基準における深層防護 の概念ないし同概念に基づく安全設計は,飽くまでも予防的な観点から 防護を確実にするために求められるものであって,第5層の防護(放射 性物質が原子力施設外に放出されることを前提とした避難計画)に不備 があれば即座に地域住民に放射線被害が及ぶ危険が生じるということ を意味するものであるとは認められない。本件各原発が稼働することに より債権者らが安全に避難できずに放射線被害が発生するといった人 格権侵害に対する具体的危険があるといえるためには,避難計画の不備 のみでは足りず,その前提として,債権者らが避難を要するような,本 件各原発の外に放射性物質が放出される事故が発生する具体的危険を 主張し,個別具体的に疎明する必要があるというべきであるところ,本 件においては,本件各原発において債権者らが避難を要するような事故 が発生する具体的危険性に関する主張及び疎明があるとはいえず,債権 者らの本件申立ては理由がない。 |