事件番号令和1(ワ)1175
事件名損害賠償請求事件
裁判所札幌地方裁判所
裁判年月日令和2年11月30日
事案の概要本件は,本件土地の北側に隣接する別紙物件目録記載2の土地(以下「原告土地」という。)を所有し,原告土地上の建物(以下「原告建物」という。)に居住する原告が,被告土地を所有する被告が建築した被告建物により原告建物に対する日照時間が減少し,原告の日照権や人格権が侵害されていると主張して,①日照権又は人格権に基づき,2階東部分の切除及び撤去を,②不法行為(民法709条)に基づき,損害賠償金300万円及びこれに対する不法行為開始後の日(訴状送達の日の翌日)である令和元年6月27日から支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を,それぞれ求める事案である。
判示事項の要旨1 原告の建物に,冬至において,1階のうち60%の部分に6時間中4時間以上の日影を生じさせるものの,①被告の建物はこの地域が日影規制(第1種低層住居専用地域,高度地区・北側斜線高度地区)を満たすもので,法令上建築が許容されていること,②この地域の周辺建物の状況に照らして,北側に寄せて隣接する2階建て建物が建築されることを想定し得るし,被告の建物は想定の範囲を逸脱していないこと,③仮に被告の土地上にあった旧建物による日影形成状況が異なるものであっても,従前の状況を将来も固定的に享受し得るとみるべきでないこと,④原告の建物の最も日影時間が長い場所を普段使いする者がおらず,その限度で居住者の感じる日影の影響は限定的ともいえること,⑤被告の行動は法令の制限内で建物を建築する者の通常の行動を逸脱しているとはみられず,その権利を濫用しているとか,原告の生活利益を侵害する意図があるとみることはできないこと,以上の本件の事情からすれば,原告の日照に係る生活利益が制限されているとしてもやむを得ないというべきで,社会生活上受忍すべき程度を超えて侵害されたとはいえない。
2 被告の建物の建築によって原告建物の居室からの眺望が変化し,これによって視野が阻害され,圧迫される感覚に至るものであるとしても,社会生活上受忍すべき程度を超えて侵害されたとはいえない。
事件番号令和1(ワ)1175
事件名損害賠償請求事件
裁判所札幌地方裁判所
裁判年月日令和2年11月30日
事案の概要
本件は,本件土地の北側に隣接する別紙物件目録記載2の土地(以下「原告土地」という。)を所有し,原告土地上の建物(以下「原告建物」という。)に居住する原告が,被告土地を所有する被告が建築した被告建物により原告建物に対する日照時間が減少し,原告の日照権や人格権が侵害されていると主張して,①日照権又は人格権に基づき,2階東部分の切除及び撤去を,②不法行為(民法709条)に基づき,損害賠償金300万円及びこれに対する不法行為開始後の日(訴状送達の日の翌日)である令和元年6月27日から支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を,それぞれ求める事案である。
判示事項の要旨
1 原告の建物に,冬至において,1階のうち60%の部分に6時間中4時間以上の日影を生じさせるものの,①被告の建物はこの地域が日影規制(第1種低層住居専用地域,高度地区・北側斜線高度地区)を満たすもので,法令上建築が許容されていること,②この地域の周辺建物の状況に照らして,北側に寄せて隣接する2階建て建物が建築されることを想定し得るし,被告の建物は想定の範囲を逸脱していないこと,③仮に被告の土地上にあった旧建物による日影形成状況が異なるものであっても,従前の状況を将来も固定的に享受し得るとみるべきでないこと,④原告の建物の最も日影時間が長い場所を普段使いする者がおらず,その限度で居住者の感じる日影の影響は限定的ともいえること,⑤被告の行動は法令の制限内で建物を建築する者の通常の行動を逸脱しているとはみられず,その権利を濫用しているとか,原告の生活利益を侵害する意図があるとみることはできないこと,以上の本件の事情からすれば,原告の日照に係る生活利益が制限されているとしてもやむを得ないというべきで,社会生活上受忍すべき程度を超えて侵害されたとはいえない。
2 被告の建物の建築によって原告建物の居室からの眺望が変化し,これによって視野が阻害され,圧迫される感覚に至るものであるとしても,社会生活上受忍すべき程度を超えて侵害されたとはいえない。
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