事件番号平成27(ワ)1966
事件名損害賠償請求事件
裁判所札幌地方裁判所
裁判年月日令和3年5月13日
事案の概要本件は,原告が,平成23年3月11日の東北地方太平洋沖地震を契機として発生した被告東京電力の福島第一原子力発電所(以下「本件原発」という。)における放射性物質等の放出事故(以下「本件事故」という。)の災害復旧作業に従事した際の放射線被ばくが原因となり,膀胱がん,胃がん及びS状結腸がん(以下,これらの疾病を併せて「本件疾病」という。)を発症したと主張して,①被告東京電力に対し,原子力損害の賠償に関する法律(以下「原賠法」という。)3条1項に基づき,損害賠償金5472万5525円及びこれに対する不法行為の日ないしその後の日である平成25年5月4日(S状結腸がんの確定診断日)から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの。以下同じ。)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるとともに,②被告大成建設及び被告山﨑建設に対し,原告に無用な被ばくを伴う作業をさせたことを理由として,安全配慮義務違反による債務不履行,共同不法行為又は使用者責任に基づき(選択的併合と解される。),慰謝料1000万円及びこれに対する債務不履行及び不法行為の後の日である平成27年9月10日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求めた事案である。
判示事項の要旨1 東北地方太平洋沖地震を契機として発生した福島第一原子力発電所における放射性物質等の放出事故の災害復旧作業につき,がれき集積・積込・撤去作業等の業務に従事した際の放射線被ばくが原因となり,がんを発症したと主張して,原子力事業者に対し,原子力損害の賠償に関する法律に基づき,損害賠償を求める事案において,上記業務による放射線の被ばくとがんの発症との間に因果関係があると認められないとされた事例。
2 上記災害復旧作業の元請業者及び一次下請業者に対し,安全配慮義務違反による債務不履行,共同不法行為又は使用者責任に基づき,損害賠償を求める事案において,原告の請求は原子力損害についての賠償を求めるものであるから,原子力損害の賠償に関する法律4条1項により,上記各業者は損害賠償責任を負わないとされた事例。
事件番号平成27(ワ)1966
事件名損害賠償請求事件
裁判所札幌地方裁判所
裁判年月日令和3年5月13日
事案の概要
本件は,原告が,平成23年3月11日の東北地方太平洋沖地震を契機として発生した被告東京電力の福島第一原子力発電所(以下「本件原発」という。)における放射性物質等の放出事故(以下「本件事故」という。)の災害復旧作業に従事した際の放射線被ばくが原因となり,膀胱がん,胃がん及びS状結腸がん(以下,これらの疾病を併せて「本件疾病」という。)を発症したと主張して,①被告東京電力に対し,原子力損害の賠償に関する法律(以下「原賠法」という。)3条1項に基づき,損害賠償金5472万5525円及びこれに対する不法行為の日ないしその後の日である平成25年5月4日(S状結腸がんの確定診断日)から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの。以下同じ。)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるとともに,②被告大成建設及び被告山﨑建設に対し,原告に無用な被ばくを伴う作業をさせたことを理由として,安全配慮義務違反による債務不履行,共同不法行為又は使用者責任に基づき(選択的併合と解される。),慰謝料1000万円及びこれに対する債務不履行及び不法行為の後の日である平成27年9月10日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求めた事案である。
判示事項の要旨
1 東北地方太平洋沖地震を契機として発生した福島第一原子力発電所における放射性物質等の放出事故の災害復旧作業につき,がれき集積・積込・撤去作業等の業務に従事した際の放射線被ばくが原因となり,がんを発症したと主張して,原子力事業者に対し,原子力損害の賠償に関する法律に基づき,損害賠償を求める事案において,上記業務による放射線の被ばくとがんの発症との間に因果関係があると認められないとされた事例。
2 上記災害復旧作業の元請業者及び一次下請業者に対し,安全配慮義務違反による債務不履行,共同不法行為又は使用者責任に基づき,損害賠償を求める事案において,原告の請求は原子力損害についての賠償を求めるものであるから,原子力損害の賠償に関する法律4条1項により,上記各業者は損害賠償責任を負わないとされた事例。
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