事件番号令和2(行コ)51
事件名障害者投票権確認等請求控訴事件
裁判所大阪高等裁判所 第7民事部
裁判年月日令和3年8月30日
結果棄却
原審裁判所大阪地方裁判所
原審事件番号平成29(行ウ)51
事案の概要本件は,脳性麻痺により両上肢機能の障害を有し,大阪府豊中市に居住する控訴人が,成年被後見人の選挙権の回復等のための公職選挙法等の一部を改正する法律(平成25年法律第21号)(平成25年改正法)により改正前公選法48条2項が改正され,選挙人の投票を補助すべき者(補助者)を投票所の事務に従事する者(投票事務従事者)から選ぶ方法に変更され,自らの希望しない者を補助者として投票をせざるを得なくなったものであるから,改正後公選法48条2項は,憲法15条1項・4項,43条,44条及び14条1項(憲法15条4項等)に違反するとして,(ア)次回の衆議院議員,参議院議員並びに豊中市及び大阪府の議会の議員及び長の選挙において,投票事務従事者に限らず,控訴人が投票の補助を希望する者を,投票管理者から補助者として選任を受けた上で投票をすることができる地位にあることの確認を求める(本件確認請求)とともに,(イ)①国会議員が平成25年改正法を制定して改正前公選法48条2項を改正後公選法48条2項に改正した行為(本件立法行為)及び②第24回参議院議員通常選挙(本件選挙)までに平成25年改正法を改正しなかった不作為(本件立法不作為)は,国賠法の適用上違法であり,本件選挙において自らの希望する補助者の協力の下で投票をできなかったことにより精神的苦痛を被った旨を主張して,被控訴人に対し,国賠法1条1項に基づき,損害賠償金110万円及びこれに対する違法行為の後の日である平成28年7月11日(本件選挙の投票日の翌日)から支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める(本件国賠請求)事案である。
判示事項の要旨1 成年被後見人の選挙権の回復等のための公職選挙法等の一部を改正する法律(平成25年法律第21号)(以下「平成25年改正法」という。)による改正後の公職選挙法(以下「改正後公選法」という。また,改正前の公職選挙法を「改正前公選法」という。)48条2項は,秘密投票権を保障する憲法15条4項に違反するとはいえず,憲法15条1項,43条又は44条に違反するともいえない。
2 改正後公選法48条2項が憲法14条1項に違反するとはいえない。
3 国会議員が平成25年改正法を制定して改正前公選法48条2項を改正後公選法48条2項に改正した行為,及び,第24回参議院議員通常選挙までに平成25年改正法を改正しなかった不作為につき,国賠法1条1項の適用上違法があるとはいえない。
事件番号令和2(行コ)51
事件名障害者投票権確認等請求控訴事件
裁判所大阪高等裁判所 第7民事部
裁判年月日令和3年8月30日
結果棄却
原審裁判所大阪地方裁判所
原審事件番号平成29(行ウ)51
事案の概要
本件は,脳性麻痺により両上肢機能の障害を有し,大阪府豊中市に居住する控訴人が,成年被後見人の選挙権の回復等のための公職選挙法等の一部を改正する法律(平成25年法律第21号)(平成25年改正法)により改正前公選法48条2項が改正され,選挙人の投票を補助すべき者(補助者)を投票所の事務に従事する者(投票事務従事者)から選ぶ方法に変更され,自らの希望しない者を補助者として投票をせざるを得なくなったものであるから,改正後公選法48条2項は,憲法15条1項・4項,43条,44条及び14条1項(憲法15条4項等)に違反するとして,(ア)次回の衆議院議員,参議院議員並びに豊中市及び大阪府の議会の議員及び長の選挙において,投票事務従事者に限らず,控訴人が投票の補助を希望する者を,投票管理者から補助者として選任を受けた上で投票をすることができる地位にあることの確認を求める(本件確認請求)とともに,(イ)①国会議員が平成25年改正法を制定して改正前公選法48条2項を改正後公選法48条2項に改正した行為(本件立法行為)及び②第24回参議院議員通常選挙(本件選挙)までに平成25年改正法を改正しなかった不作為(本件立法不作為)は,国賠法の適用上違法であり,本件選挙において自らの希望する補助者の協力の下で投票をできなかったことにより精神的苦痛を被った旨を主張して,被控訴人に対し,国賠法1条1項に基づき,損害賠償金110万円及びこれに対する違法行為の後の日である平成28年7月11日(本件選挙の投票日の翌日)から支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める(本件国賠請求)事案である。
判示事項の要旨
1 成年被後見人の選挙権の回復等のための公職選挙法等の一部を改正する法律(平成25年法律第21号)(以下「平成25年改正法」という。)による改正後の公職選挙法(以下「改正後公選法」という。また,改正前の公職選挙法を「改正前公選法」という。)48条2項は,秘密投票権を保障する憲法15条4項に違反するとはいえず,憲法15条1項,43条又は44条に違反するともいえない。
2 改正後公選法48条2項が憲法14条1項に違反するとはいえない。
3 国会議員が平成25年改正法を制定して改正前公選法48条2項を改正後公選法48条2項に改正した行為,及び,第24回参議院議員通常選挙までに平成25年改正法を改正しなかった不作為につき,国賠法1条1項の適用上違法があるとはいえない。
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