事件番号令和3(ネ)100
事件名損害賠償請求控訴事件
裁判所大阪高等裁判所 第14民事部
裁判年月日令和3年12月9日
結果その他
原審裁判所大阪地方裁判所
原審事件番号平成30(ワ)1661
事案の概要本件は,大阪府立公立学校の教員であった控訴人が,平成29年3月31日に定年を迎えるに当たり大阪府教育委員会(府教委)に再任用の選考を申し込んだところ,①同年1月24日,府教委から勤務校の校長を通じて,卒業式又は入学式における国歌斉唱時の起立斉唱を含む上司の職務命令に従うかどうかの意向確認を受けたこと(本件意向確認),②府教委により再任用選考を「否」とされ,同年4月1日付けの再任用がされなかったこと(本件不採用)について,①本件意向確認は控訴人の思想良心の自由(憲法19条)を侵害し,かつ,地方公務員法(平成29年5月17日法律第29号による改正前のもの。地公法)13条,15条,大阪府個人情報保護条例6条2項に違反する点で,違憲かつ違法なものであり,②本件不採用は府教委が採用選考における裁量権を逸脱・濫用した違法なものであると主張して,被控訴人に対し,国家賠償法1条1項に基づき,①本件意向確認による損害55万円(内訳,慰謝料50万円,弁護士費用5万円)及びこれに対する本件意向確認の日から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの。以下「民法」という。)所定の年5分の割合による遅延損害金,②本件不採用による損害494万7921円(内訳,慰謝料50万円,逸失利益399万7921円,弁護士費用45万円)及びこれに対する再任用されなかった日から支払済みまで前同様の遅延損害金の各支払を求める事案である。
判示事項の要旨大阪府教育委員会が,大阪府立高等学校の教員であり,かつ,卒業式における国歌斉唱時の不起立により過去に2度の戒告処分を受けた控訴人からの定年退職後の再任用の申込みに対して,再任用選考の結果を「否」として,控訴人を再任用しなかったことは,雇用と年金との接続を図ろうとする近時の情勢や同年度の再任用選考において戒告処分より重い減給処分を受けた教員が合格とされたことなどの事情を踏まえると,客観的合理性や社会的相当性を著しく欠くもので裁量権の逸脱又は濫用に当たるとして,控訴人の被控訴人(大阪府)に対する国家賠償法1条1項に基づく損害賠償が一部認容された事例
事件番号令和3(ネ)100
事件名損害賠償請求控訴事件
裁判所大阪高等裁判所 第14民事部
裁判年月日令和3年12月9日
結果その他
原審裁判所大阪地方裁判所
原審事件番号平成30(ワ)1661
事案の概要
本件は,大阪府立公立学校の教員であった控訴人が,平成29年3月31日に定年を迎えるに当たり大阪府教育委員会(府教委)に再任用の選考を申し込んだところ,①同年1月24日,府教委から勤務校の校長を通じて,卒業式又は入学式における国歌斉唱時の起立斉唱を含む上司の職務命令に従うかどうかの意向確認を受けたこと(本件意向確認),②府教委により再任用選考を「否」とされ,同年4月1日付けの再任用がされなかったこと(本件不採用)について,①本件意向確認は控訴人の思想良心の自由(憲法19条)を侵害し,かつ,地方公務員法(平成29年5月17日法律第29号による改正前のもの。地公法)13条,15条,大阪府個人情報保護条例6条2項に違反する点で,違憲かつ違法なものであり,②本件不採用は府教委が採用選考における裁量権を逸脱・濫用した違法なものであると主張して,被控訴人に対し,国家賠償法1条1項に基づき,①本件意向確認による損害55万円(内訳,慰謝料50万円,弁護士費用5万円)及びこれに対する本件意向確認の日から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの。以下「民法」という。)所定の年5分の割合による遅延損害金,②本件不採用による損害494万7921円(内訳,慰謝料50万円,逸失利益399万7921円,弁護士費用45万円)及びこれに対する再任用されなかった日から支払済みまで前同様の遅延損害金の各支払を求める事案である。
判示事項の要旨
大阪府教育委員会が,大阪府立高等学校の教員であり,かつ,卒業式における国歌斉唱時の不起立により過去に2度の戒告処分を受けた控訴人からの定年退職後の再任用の申込みに対して,再任用選考の結果を「否」として,控訴人を再任用しなかったことは,雇用と年金との接続を図ろうとする近時の情勢や同年度の再任用選考において戒告処分より重い減給処分を受けた教員が合格とされたことなどの事情を踏まえると,客観的合理性や社会的相当性を著しく欠くもので裁量権の逸脱又は濫用に当たるとして,控訴人の被控訴人(大阪府)に対する国家賠償法1条1項に基づく損害賠償が一部認容された事例
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