事件番号 | 平成31(ワ)1439 |
---|---|
事件名 | 損害賠償等請求事件 |
裁判所 | 大阪地方裁判所 |
裁判年月日 | 令和3年11月4日 |
事案の概要 | 本件は,原告が,被告に対し,①被告の上記指導は,㋐被告の職員が原告に対して上記返還を強要した点において違法なものであり,また,㋑介護保険法等の趣旨に反するものであった点において違法なものであったなどと主張して,主位的に,国家賠償法1条1項に基づき,損害賠償金2020万1697円及びこれに対する居宅介護サービス費等を最後に返還した日の翌日である平成28年11月1日から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるとともに,②被告が「法律上の原因」がないのに上記居宅介護サービス費等のうち被告に返還された部分を受領して利益を受けたなどと主張して,予備的に,民法703条に基づき,不当利得金1978万7270円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成31年2月28日から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 |
判示事項 | 1 市が介護保険法上の指定居宅サービス事業者等の指定を市長から受けた事業者に対してした実地指導及びその後の指導が,強制にわたる違法なものであるとはいえないとされた事例 2 市が,介護保険法上の指定居宅サービス事業者等の指定を市長から受けた事業者に対し,事業者が提供したとする指定居宅サービスに関して同法や「高槻市指定居宅サービス事業者の指定並びに指定居宅サービス等の事業の人員,設備及び運営に関する基準を定める条例」等の規定に違反していないかを検討させ,違反がある場合には当該指定居宅サービスに関して受領していた居宅介護サービス費等を市に返還するように促す指導をしたことが,同法及び同条例等の趣旨に反するものではないとされた事例 |
裁判要旨 | 1 市が介護保険法上の指定居宅サービス事業者等の指定を市長から受けた事業者に対してした実地指導及びその後の指導は,次の⑴~⑶など判示の事情の下においては,強制にわたる違法なものであるということはできない。 ⑴ 上記実地指導及びその後の指導は,同法に係る介護保険給付における事業者等による不適正な請求の防止等の実現を図るためにその一環としてされたものであり,その内容も,飽くまで上記事業者が提供したとする指定居宅サービスについて任意に点検することを促した上で,法令に違反する指定居宅サービスの提供があった場合には当該指定居宅サービスに関して受領していた居宅介護サービス費を自主的に返還するように促すものであった。 ⑵ 上記実地指導をした際に,上記事業者の運営する事業所において,指定居宅サービスに関して作成・保管すべき訪問介護計画書等の書類が存在しないなど,書類の管理について重大な不備が多数あることが判明しており,市は,上記の書類の管理状況を踏まえて実地指導後の指導をしたものであった。 ⑶ 上記事業者の代表者は,上記⑵の不備があることを認めた上で,長期にわたり継続的に,上記実地指導及びその後の指導に関する市の職員との協議に応じていた。 2 市が,介護保険法上の指定居宅サービス事業者等の指定を市長から受けた事業者に対し,事業者が提供したとする指定居宅サービスに関して同法や「高槻市指定居宅サービス事業者の指定並びに指定居宅サービス等の事業の人員,設備及び運営に関する基準を定める条例」等の規定に違反していないかを検討させ,違反がある場合には当該指定居宅サービスに関して受領していた居宅介護サービス費等を市に返還するように促す指導をしたことは,次の⑴,⑵など判示の事情の下においては,同法及び同条例等の趣旨に反するものではない。 ⑴ 市が上記事業者に対して実地指導をした際に,上記事業者の運営する事業所において,指定居宅サービスを提供する前提となる訪問介護計画書等の書類に関し,書類が存在しない,同条例に定められたサービス提供責任者以外の者が書類を作成している,利用者に対する説明日の記載が不完全であるなど同法及び同条例に違反する不備が多数あることが判明していた。 ⑵ 上記事業所において,訪問介護計画書等の同法及び同条例に定められた書類を作成しないまま指定居宅サービスを提供することなどが常態化していたのではないかとの疑義が生じていた。 |
事件番号 | 平成31(ワ)1439 |
---|---|
事件名 | 損害賠償等請求事件 |
裁判所 | 大阪地方裁判所 |
裁判年月日 | 令和3年11月4日 |
事案の概要 |
---|
本件は,原告が,被告に対し,①被告の上記指導は,㋐被告の職員が原告に対して上記返還を強要した点において違法なものであり,また,㋑介護保険法等の趣旨に反するものであった点において違法なものであったなどと主張して,主位的に,国家賠償法1条1項に基づき,損害賠償金2020万1697円及びこれに対する居宅介護サービス費等を最後に返還した日の翌日である平成28年11月1日から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるとともに,②被告が「法律上の原因」がないのに上記居宅介護サービス費等のうち被告に返還された部分を受領して利益を受けたなどと主張して,予備的に,民法703条に基づき,不当利得金1978万7270円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成31年2月28日から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 |
判示事項 |
1 市が介護保険法上の指定居宅サービス事業者等の指定を市長から受けた事業者に対してした実地指導及びその後の指導が,強制にわたる違法なものであるとはいえないとされた事例 2 市が,介護保険法上の指定居宅サービス事業者等の指定を市長から受けた事業者に対し,事業者が提供したとする指定居宅サービスに関して同法や「高槻市指定居宅サービス事業者の指定並びに指定居宅サービス等の事業の人員,設備及び運営に関する基準を定める条例」等の規定に違反していないかを検討させ,違反がある場合には当該指定居宅サービスに関して受領していた居宅介護サービス費等を市に返還するように促す指導をしたことが,同法及び同条例等の趣旨に反するものではないとされた事例 |
裁判要旨 |
1 市が介護保険法上の指定居宅サービス事業者等の指定を市長から受けた事業者に対してした実地指導及びその後の指導は,次の⑴~⑶など判示の事情の下においては,強制にわたる違法なものであるということはできない。 ⑴ 上記実地指導及びその後の指導は,同法に係る介護保険給付における事業者等による不適正な請求の防止等の実現を図るためにその一環としてされたものであり,その内容も,飽くまで上記事業者が提供したとする指定居宅サービスについて任意に点検することを促した上で,法令に違反する指定居宅サービスの提供があった場合には当該指定居宅サービスに関して受領していた居宅介護サービス費を自主的に返還するように促すものであった。 ⑵ 上記実地指導をした際に,上記事業者の運営する事業所において,指定居宅サービスに関して作成・保管すべき訪問介護計画書等の書類が存在しないなど,書類の管理について重大な不備が多数あることが判明しており,市は,上記の書類の管理状況を踏まえて実地指導後の指導をしたものであった。 ⑶ 上記事業者の代表者は,上記⑵の不備があることを認めた上で,長期にわたり継続的に,上記実地指導及びその後の指導に関する市の職員との協議に応じていた。 2 市が,介護保険法上の指定居宅サービス事業者等の指定を市長から受けた事業者に対し,事業者が提供したとする指定居宅サービスに関して同法や「高槻市指定居宅サービス事業者の指定並びに指定居宅サービス等の事業の人員,設備及び運営に関する基準を定める条例」等の規定に違反していないかを検討させ,違反がある場合には当該指定居宅サービスに関して受領していた居宅介護サービス費等を市に返還するように促す指導をしたことは,次の⑴,⑵など判示の事情の下においては,同法及び同条例等の趣旨に反するものではない。 ⑴ 市が上記事業者に対して実地指導をした際に,上記事業者の運営する事業所において,指定居宅サービスを提供する前提となる訪問介護計画書等の書類に関し,書類が存在しない,同条例に定められたサービス提供責任者以外の者が書類を作成している,利用者に対する説明日の記載が不完全であるなど同法及び同条例に違反する不備が多数あることが判明していた。 ⑵ 上記事業所において,訪問介護計画書等の同法及び同条例に定められた書類を作成しないまま指定居宅サービスを提供することなどが常態化していたのではないかとの疑義が生じていた。 |