事件番号令和3(行ヒ)260
事件名消費税更正処分等取消請求事件
裁判所最高裁判所第一小法廷
裁判年月日令和5年3月6日
裁判種別判決
結果破棄自判
原審裁判所東京高等裁判所
原審事件番号令和1(行コ)281
原審裁判年月日令和3年4月21日
事案の概要本件は、不動産の買取再販売等を行う株式会社である被上告人が、平成25年1月1日から同年12月31日まで、同26年1月1日から同年12月31日まで及び同27年1月1日から同年12月31日までの各課税期間(以下「本件各課税期間」という。)において、転売目的で、全部又は一部が住宅として賃貸されている建物の購入(以下「本件各課税仕入れ」という。)をし、これに係る消費税額の全額を当該課税期間の課税標準額に対する消費税額から控除して消費税及び地方消費税(以下「消費税等」という。)の確定申告(以下「本件各申告」という。)をするなどしたところ、日本橋税務署長から、その全額を控除することはできないとして更正処分(以下「本件各更正処分」という。)及び過少申告加算税の賦課決定処分(以下「本件各賦課決定処分」という。)を受けるなどしたことから、上告人を相手に、本件各更正処分のうち申告額を超える部分及び本件各賦課決定処分の取消し等を求める事案である。
判示事項事業者が消費税及び地方消費税の確定申告において課税期間中に行った課税仕入れに係る消費税額の全額を当該課税期間の課税標準額に対する消費税額から控除したことにつき国税通則法(平成28年法律第15号による改正前のもの)65条4項にいう「正当な理由」があると認めることはできないとされた事例
裁判要旨事業者が、平成25年~同27年の各課税期間に係る消費税及び地方消費税の確定申告において、上記各課税期間中に転売目的で行った全部又は一部が住宅として賃貸されている建物の購入を、消費税法(平成27年法律第9号による改正前のもの及び同改正後のもの)30条2項1号にいう「課税資産の譲渡等にのみ要する」課税仕入れに区分して、上記購入に係る消費税額の全額を当該課税期間の課税標準額に対する消費税額から控除したところ、上記購入は同号にいう「課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要する」課税仕入れに区分されるべきであり上記全額を控除することはできないとして更正処分がされた場合において、次の⑴~⑷など判示の事情の下では、上記全額を控除したことにつき、国税通則法(平成28年法律第15号による改正前のもの)65条4項にいう「正当な理由」があると認めることはできない。
⑴ 税務当局は、遅くとも平成17年以降、上記購入と同様の課税仕入れを、購入した建物が住宅として賃貸されることに着目して上記「課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要する」課税仕入れに区分すべきであるとの見解を採っており、そのことは、上記各申告当時、税務当局の職員が執筆した公刊物や、公表されている国税不服審判所の裁決例及び下級審の裁判例を通じて、一般の納税者も知り得た。
⑵ 上記⑴以前に税務当局が作成した部内資料や税務当局関係者が編者である公刊物等には、事業者の目的に着目して同号所定の区分を判定していたとも理解され得る記載等があるものの、これらは、上記購入と同様の課税仕入れに直接言及するものでなく、その趣旨や前提となる事実関係が明らかでない。
⑶ 税務当局は、平成9年頃、関係機関からの照会に対し、上記購入と同様の課税仕入れを上記「課税資産の譲渡等にのみ要する」課税仕入れに区分すべき旨の回答をしているが、上記回答が公表されるなどしたとの事情はうかがわれない。
⑷ 上記各申告当時、上記購入と同様の課税仕入れを事業者の目的に着目して上記「課税資産の譲渡等にのみ要する」課税仕入れに区分すべきものとした裁判例等があったことはうかがわれない。
事件番号令和3(行ヒ)260
事件名消費税更正処分等取消請求事件
裁判所最高裁判所第一小法廷
裁判年月日令和5年3月6日
裁判種別判決
結果破棄自判
原審裁判所東京高等裁判所
原審事件番号令和1(行コ)281
原審裁判年月日令和3年4月21日
事案の概要
本件は、不動産の買取再販売等を行う株式会社である被上告人が、平成25年1月1日から同年12月31日まで、同26年1月1日から同年12月31日まで及び同27年1月1日から同年12月31日までの各課税期間(以下「本件各課税期間」という。)において、転売目的で、全部又は一部が住宅として賃貸されている建物の購入(以下「本件各課税仕入れ」という。)をし、これに係る消費税額の全額を当該課税期間の課税標準額に対する消費税額から控除して消費税及び地方消費税(以下「消費税等」という。)の確定申告(以下「本件各申告」という。)をするなどしたところ、日本橋税務署長から、その全額を控除することはできないとして更正処分(以下「本件各更正処分」という。)及び過少申告加算税の賦課決定処分(以下「本件各賦課決定処分」という。)を受けるなどしたことから、上告人を相手に、本件各更正処分のうち申告額を超える部分及び本件各賦課決定処分の取消し等を求める事案である。
判示事項
事業者が消費税及び地方消費税の確定申告において課税期間中に行った課税仕入れに係る消費税額の全額を当該課税期間の課税標準額に対する消費税額から控除したことにつき国税通則法(平成28年法律第15号による改正前のもの)65条4項にいう「正当な理由」があると認めることはできないとされた事例
裁判要旨
事業者が、平成25年~同27年の各課税期間に係る消費税及び地方消費税の確定申告において、上記各課税期間中に転売目的で行った全部又は一部が住宅として賃貸されている建物の購入を、消費税法(平成27年法律第9号による改正前のもの及び同改正後のもの)30条2項1号にいう「課税資産の譲渡等にのみ要する」課税仕入れに区分して、上記購入に係る消費税額の全額を当該課税期間の課税標準額に対する消費税額から控除したところ、上記購入は同号にいう「課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要する」課税仕入れに区分されるべきであり上記全額を控除することはできないとして更正処分がされた場合において、次の⑴~⑷など判示の事情の下では、上記全額を控除したことにつき、国税通則法(平成28年法律第15号による改正前のもの)65条4項にいう「正当な理由」があると認めることはできない。
⑴ 税務当局は、遅くとも平成17年以降、上記購入と同様の課税仕入れを、購入した建物が住宅として賃貸されることに着目して上記「課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要する」課税仕入れに区分すべきであるとの見解を採っており、そのことは、上記各申告当時、税務当局の職員が執筆した公刊物や、公表されている国税不服審判所の裁決例及び下級審の裁判例を通じて、一般の納税者も知り得た。
⑵ 上記⑴以前に税務当局が作成した部内資料や税務当局関係者が編者である公刊物等には、事業者の目的に着目して同号所定の区分を判定していたとも理解され得る記載等があるものの、これらは、上記購入と同様の課税仕入れに直接言及するものでなく、その趣旨や前提となる事実関係が明らかでない。
⑶ 税務当局は、平成9年頃、関係機関からの照会に対し、上記購入と同様の課税仕入れを上記「課税資産の譲渡等にのみ要する」課税仕入れに区分すべき旨の回答をしているが、上記回答が公表されるなどしたとの事情はうかがわれない。
⑷ 上記各申告当時、上記購入と同様の課税仕入れを事業者の目的に着目して上記「課税資産の譲渡等にのみ要する」課税仕入れに区分すべきものとした裁判例等があったことはうかがわれない。
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