事件番号令和1(う)2057
事件名業務上過失致死傷
裁判所東京高等裁判所 第10刑事部
裁判年月日令和5年1月18日
結果棄却
原審裁判所東京地方裁判所
原審事件番号平成28刑(わ)374
事案の概要⑴ 本件公訴事実の要旨(原審における訴因変更後のもの)は以下のようなものであった。
東京電力株式会社《東京電力》代表取締役会長等を務めた被告人a、同社フェロー等を務めた被告人b及び同社代表取締役副社長、原子力・立地本部本部長等を務めた被告人cは、東京電力が設置した福島第一原子力発電所《本件発電所》の原子炉施設及びその付属設備等が想定される自然現象により原子炉の安全性を損なうおそれがある場合には、防護措置等の適切な措置を講じるべき業務上の注意義務があったところ、本件発電所に小名浜港工事基準面から10mの高さ(O.P.+10m)の敷地《m盤》を超える津波が襲来し、その津波が非常用電源設備等があるタービン建屋等へ浸入することなどにより、電源が失われ、非常用電源設備や冷却設備等の機能が喪失し、原子炉の炉心に損傷を与え、ガス爆発等の事故が発生する可能性があることを予見できたのであるから、10m盤を超える津波の襲来によってタービン建屋等が浸水し、炉心損傷等によるガス爆発等の事故が発生することがないよう、防護措置等の適切な措置を講じることにより、これを未然に防止すべき業務上の注意義務があったのにこれを怠り、防護措置等の適切な措置を講じることなく、漫然と本件発電所の運転を継続した過失により、平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震《本件地震》に起因して襲来した津波が、10m盤上に設置されたタービン建屋等へ浸入したことなどにより、全交流電源等が喪失し、非常用電源設備や冷却設備等の機能を喪失させ、これによる原子炉の炉心損傷等により、本件発電所の原子炉建屋2棟の水素ガス爆発等を惹起させて被害者13名に傷害を負わせ、介護施設や病院からの避難を余儀なくさせるなどした被害者44名を死亡させた。
⑵ 東京地裁の原判決は、被告人3名には、本件発電所の運転停止措置を講じるべき結果回避義務を課すにふさわしい予見可能性が認められず、本件公訴事実について犯罪の証明はないとして、被告人らは無罪であるとした。
事件番号令和1(う)2057
事件名業務上過失致死傷
裁判所東京高等裁判所 第10刑事部
裁判年月日令和5年1月18日
結果棄却
原審裁判所東京地方裁判所
原審事件番号平成28刑(わ)374
事案の概要
⑴ 本件公訴事実の要旨(原審における訴因変更後のもの)は以下のようなものであった。
東京電力株式会社《東京電力》代表取締役会長等を務めた被告人a、同社フェロー等を務めた被告人b及び同社代表取締役副社長、原子力・立地本部本部長等を務めた被告人cは、東京電力が設置した福島第一原子力発電所《本件発電所》の原子炉施設及びその付属設備等が想定される自然現象により原子炉の安全性を損なうおそれがある場合には、防護措置等の適切な措置を講じるべき業務上の注意義務があったところ、本件発電所に小名浜港工事基準面から10mの高さ(O.P.+10m)の敷地《m盤》を超える津波が襲来し、その津波が非常用電源設備等があるタービン建屋等へ浸入することなどにより、電源が失われ、非常用電源設備や冷却設備等の機能が喪失し、原子炉の炉心に損傷を与え、ガス爆発等の事故が発生する可能性があることを予見できたのであるから、10m盤を超える津波の襲来によってタービン建屋等が浸水し、炉心損傷等によるガス爆発等の事故が発生することがないよう、防護措置等の適切な措置を講じることにより、これを未然に防止すべき業務上の注意義務があったのにこれを怠り、防護措置等の適切な措置を講じることなく、漫然と本件発電所の運転を継続した過失により、平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震《本件地震》に起因して襲来した津波が、10m盤上に設置されたタービン建屋等へ浸入したことなどにより、全交流電源等が喪失し、非常用電源設備や冷却設備等の機能を喪失させ、これによる原子炉の炉心損傷等により、本件発電所の原子炉建屋2棟の水素ガス爆発等を惹起させて被害者13名に傷害を負わせ、介護施設や病院からの避難を余儀なくさせるなどした被害者44名を死亡させた。
⑵ 東京地裁の原判決は、被告人3名には、本件発電所の運転停止措置を講じるべき結果回避義務を課すにふさわしい予見可能性が認められず、本件公訴事実について犯罪の証明はないとして、被告人らは無罪であるとした。
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