事件番号令和2(行ウ)77
事件名不当利得返還請求事件
裁判所大阪地方裁判所
裁判年月日令和3年12月23日
事案の概要被告は,▲年▲月▲日に行われた大阪市会の議員の選挙(以下「本件選挙」という。)に当選(再選)したが,令和元年9月6日,大阪地方裁判所において,公職選挙法違反(公職の候補者による買収)の罪により有罪判決(以下「本件有罪判決」という。)を受けた。本件選挙における被告の当選は,本件有罪判決が令和2年2月13日に確定したことに伴い,公職選挙法251条により,無効とされた。本件の第1事件は,原告(大阪市)が,被告は本件選挙における当選の無効により遡って大阪市会議員の職を失ったから,被告に支給した議員報酬及び期末手当の合計1191万1200円(以下「本件報酬等」という。)は不当利得に当たるなどと主張して,被告に対し,不当利得返還請求権に基づき,本件報酬等のうち,原告が源泉徴収をした所得税額に相当する190万0589円を控除した後の合計額である1001万0611円の返還及びうち931万6943円(令和2年2月分の報酬額を除くもの)に対する本件有罪判決確定の日の翌日である同月14日から,うち69万3668円(同月分の報酬額)に対する受益の日(同月分の報酬の支給日)である同月17日から各支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの。以下同じ。)所定の年5分の割合による利息の支払を求める事案である。
本件の第2事件は,原告が,被告は本件選挙における当選の無効により遡って大阪市会議員の職を失ったから,被告が所属していた会派であるA(法人ではなく,また,その構成員は被告のみである。以下「本件会派」という。)に交付した政務活動費の合計410万4000円(以下「本件政務活動費」という。)は被告の不当利得に当たるなどと主張して,被告に対し,不当利得返還請求権に基づき,本件政務活動費の合計額である410万4000円の返還及びこれに対する本件有罪判決確定の日の翌日である令和2年2月14日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による利息の支払を求める事案である。
判示事項1 普通地方公共団体が,公職選挙法251条により当選が無効となった当選人が支給を受けた議員報酬及び期末手当に相当する額から当該当選人が身柄拘束を受けていた期間に対応する部分の金額を控除した金額について,不当利得返還義務を負うとされた事例

2 普通地方公共団体が,公職選挙法251条により当選が無効となった当選人のみが所属する法人でない会派が交付を受けた政務活動費に相当する額から使用しなかった政務活動費の額を控除した額について,不当利得返還義務を負うとされた事例
裁判要旨1 普通地方公共団体が,法律上の原因なく,公職選挙法251条により当選が無効となった当選人が身柄拘束を受けていた期間を除いた期間における当該当選人の議員活動によって利益を受けたといえるなど判示の事情の下においては,当該普通地方公共団体は,当該当選人が支給を受けた議員報酬及び期末手当に相当する額から当該当選人が身柄拘束を受けていた期間に対応する部分の金額を控除した金額について,不当利得返還義務を負う。

2 普通地方公共団体が,公職選挙法251条により当選が無効となった当選人が行った地方自治法100条14項の調査研究その他の活動により当該普通地方公共団体が当該当選人のみが所属する法人でない会派に交付した政務活動費に相当する利益を受けたといえること,当該当選人が上記政務活動費の一部を使用しなかったことなど判示の事情の下においては,当該普通地方公共団体は,当該当選人に対し,上記政務活動費に相当する額から当該当選人が使用しなかった額を控除した額について,不当利得返還義務を負う。
事件番号令和2(行ウ)77
事件名不当利得返還請求事件
裁判所大阪地方裁判所
裁判年月日令和3年12月23日
事案の概要
被告は,▲年▲月▲日に行われた大阪市会の議員の選挙(以下「本件選挙」という。)に当選(再選)したが,令和元年9月6日,大阪地方裁判所において,公職選挙法違反(公職の候補者による買収)の罪により有罪判決(以下「本件有罪判決」という。)を受けた。本件選挙における被告の当選は,本件有罪判決が令和2年2月13日に確定したことに伴い,公職選挙法251条により,無効とされた。本件の第1事件は,原告(大阪市)が,被告は本件選挙における当選の無効により遡って大阪市会議員の職を失ったから,被告に支給した議員報酬及び期末手当の合計1191万1200円(以下「本件報酬等」という。)は不当利得に当たるなどと主張して,被告に対し,不当利得返還請求権に基づき,本件報酬等のうち,原告が源泉徴収をした所得税額に相当する190万0589円を控除した後の合計額である1001万0611円の返還及びうち931万6943円(令和2年2月分の報酬額を除くもの)に対する本件有罪判決確定の日の翌日である同月14日から,うち69万3668円(同月分の報酬額)に対する受益の日(同月分の報酬の支給日)である同月17日から各支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの。以下同じ。)所定の年5分の割合による利息の支払を求める事案である。
本件の第2事件は,原告が,被告は本件選挙における当選の無効により遡って大阪市会議員の職を失ったから,被告が所属していた会派であるA(法人ではなく,また,その構成員は被告のみである。以下「本件会派」という。)に交付した政務活動費の合計410万4000円(以下「本件政務活動費」という。)は被告の不当利得に当たるなどと主張して,被告に対し,不当利得返還請求権に基づき,本件政務活動費の合計額である410万4000円の返還及びこれに対する本件有罪判決確定の日の翌日である令和2年2月14日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による利息の支払を求める事案である。
判示事項
1 普通地方公共団体が,公職選挙法251条により当選が無効となった当選人が支給を受けた議員報酬及び期末手当に相当する額から当該当選人が身柄拘束を受けていた期間に対応する部分の金額を控除した金額について,不当利得返還義務を負うとされた事例

2 普通地方公共団体が,公職選挙法251条により当選が無効となった当選人のみが所属する法人でない会派が交付を受けた政務活動費に相当する額から使用しなかった政務活動費の額を控除した額について,不当利得返還義務を負うとされた事例
裁判要旨
1 普通地方公共団体が,法律上の原因なく,公職選挙法251条により当選が無効となった当選人が身柄拘束を受けていた期間を除いた期間における当該当選人の議員活動によって利益を受けたといえるなど判示の事情の下においては,当該普通地方公共団体は,当該当選人が支給を受けた議員報酬及び期末手当に相当する額から当該当選人が身柄拘束を受けていた期間に対応する部分の金額を控除した金額について,不当利得返還義務を負う。

2 普通地方公共団体が,公職選挙法251条により当選が無効となった当選人が行った地方自治法100条14項の調査研究その他の活動により当該普通地方公共団体が当該当選人のみが所属する法人でない会派に交付した政務活動費に相当する利益を受けたといえること,当該当選人が上記政務活動費の一部を使用しなかったことなど判示の事情の下においては,当該普通地方公共団体は,当該当選人に対し,上記政務活動費に相当する額から当該当選人が使用しなかった額を控除した額について,不当利得返還義務を負う。
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