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事件番号
令和1(ワ)8693
事件名
損害賠償請求事件
裁判所
大阪地方裁判所 第18民事部
裁判年月日
令和4年10月25日
事案の概要
本件は、統合失調症を発症していた被告Y1が深夜に近隣住民宅に侵入して就寝中の一家4名を短刀で切りつけるなどして亡Aを殺害し、原告X2、原告X3、原告X4を負傷させた殺人及び殺人未遂事件に関し、被害者及びその親族である原告らが、被告Y1には、責任能力があり、被告Y1の母である被告Y2には、被告Y1の他害行為を防止すべき注意義務に違反した過失があるから、原告ら及び亡Aに対する共同不法行為責任を負う旨主張して、①原告らの被告らに対する不法行為に基づく損害賠償請求に加え、②亡Aを相続した妻の原告X1及びその子らの原告X2、原告X3及び原告X4については、亡Aの被告らに対する不法行為に基づく損害賠償請求として、被告らに対し、連帯して、原告X1につき3120万円、原告X2、原告X3、原告X4につき各1250万円、原告X5、原告X6、原告X7につき各110万円及びこれらに対する不法行為日である平成28年10月19日からから支払済みまで民法
(平成29年法律第44号による改正前のもの。以下同じ。)
所定の年5分の割合による遅延損害金をそれぞれ請求する事案である。
判示事項の要旨
統合失調症に罹患していた成人男性が心神耗弱状態で引き起こした殺傷事件に関し、同居の親は、当然に統合失調症などの精神疾患を有する成人に対する監督義務を負うということはできないが、精神障害者の在宅治療の選択及び専門家の排除等の先行行為、精神障害者の心身の状況や日常生活における問題行動の有無・内容等の予見可能性、同居の親の心身の状況及び精神障害者との関わりの実情等の監督可能性(結果回避可能性)がある場合には、単なる事実上の監督を超えてその監督義務を引き受けたとみるべき特段の事情が認められ、その者に対し、当該精神障害者の行為に係る責任を問うのが相当といえる客観的状況が認められるといえるから、精神障害者の同居の親の監督義務(注意義務)が認められ、さらに、当該監督義務違反と精神障害者の不法行為によって生じた結果との間に相当因果関係を認め得るときは、その者について、民法709条に基づく不法行為が成立すると解するのが相当であるとして、加害男性の同居の母親が加害男性につき入院治療に引き続いて統合失調症の通院治療の継続が必要な状況にありながら、訪問看護などの専門家の関与を拒絶する一方で、加害男性による通院拒否について状況を改善しうる立場にあるのに、加害男性の病状の悪化を認識しながらこれを放置していた等の具体的な事情の下で、同居の母親に対する損害賠償請求を認めた事例
事件番号
令和1(ワ)8693
事件名
損害賠償請求事件
裁判所
大阪地方裁判所 第18民事部
裁判年月日
令和4年10月25日
事案の概要
本件は、統合失調症を発症していた被告Y1が深夜に近隣住民宅に侵入して就寝中の一家4名を短刀で切りつけるなどして亡Aを殺害し、原告X2、原告X3、原告X4を負傷させた殺人及び殺人未遂事件に関し、被害者及びその親族である原告らが、被告Y1には、責任能力があり、被告Y1の母である被告Y2には、被告Y1の他害行為を防止すべき注意義務に違反した過失があるから、原告ら及び亡Aに対する共同不法行為責任を負う旨主張して、①原告らの被告らに対する不法行為に基づく損害賠償請求に加え、②亡Aを相続した妻の原告X1及びその子らの原告X2、原告X3及び原告X4については、亡Aの被告らに対する不法行為に基づく損害賠償請求として、被告らに対し、連帯して、原告X1につき3120万円、原告X2、原告X3、原告X4につき各1250万円、原告X5、原告X6、原告X7につき各110万円及びこれらに対する不法行為日である平成28年10月19日からから支払済みまで民法
(平成29年法律第44号による改正前のもの。以下同じ。)
所定の年5分の割合による遅延損害金をそれぞれ請求する事案である。
判示事項の要旨
統合失調症に罹患していた成人男性が心神耗弱状態で引き起こした殺傷事件に関し、同居の親は、当然に統合失調症などの精神疾患を有する成人に対する監督義務を負うということはできないが、精神障害者の在宅治療の選択及び専門家の排除等の先行行為、精神障害者の心身の状況や日常生活における問題行動の有無・内容等の予見可能性、同居の親の心身の状況及び精神障害者との関わりの実情等の監督可能性(結果回避可能性)がある場合には、単なる事実上の監督を超えてその監督義務を引き受けたとみるべき特段の事情が認められ、その者に対し、当該精神障害者の行為に係る責任を問うのが相当といえる客観的状況が認められるといえるから、精神障害者の同居の親の監督義務(注意義務)が認められ、さらに、当該監督義務違反と精神障害者の不法行為によって生じた結果との間に相当因果関係を認め得るときは、その者について、民法709条に基づく不法行為が成立すると解するのが相当であるとして、加害男性の同居の母親が加害男性につき入院治療に引き続いて統合失調症の通院治療の継続が必要な状況にありながら、訪問看護などの専門家の関与を拒絶する一方で、加害男性による通院拒否について状況を改善しうる立場にあるのに、加害男性の病状の悪化を認識しながらこれを放置していた等の具体的な事情の下で、同居の母親に対する損害賠償請求を認めた事例
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