事件番号令和2(行ウ)126
事件名不開示決定処分取消等請求事件
裁判所大阪地方裁判所 第7民事部
裁判年月日令和5年2月28日
事案の概要本件は、原告が、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(以下「情報公開法」という。)に基づき、厚生労働大臣及び文部科学大臣に対し、新型コロナウイルス感染症対策の一環として配布された布製マスク(いわゆるアベノマスク)に関する行政文書の開示請求をしたところ、上記各大臣からそれぞれ一部不開示決定を受けたため、布製マスクの単価金額及び数量等(別紙2厚労省対象部分及び別紙3文科省対象部分の各情報。以下「本件不開示情報」という。)を不開示としたのは違法であるとして、被告を相手に、①厚生労働大臣による決定のうち別紙2厚労省対象部分を不開示とした部分の取消し及び開示決定の義務付け、②文部科学大臣による決定のうち別紙3文科省対象部分を不開示とした部分の取消し及び開示決定の義務付けを求めるとともに、厚生労働大臣が開示決定等の延長後の期限を約2か月にわたり徒過したこと(以下「本件遅延」という。)は国家賠償法上違法であると主張して、被告に対し、③同法1条1項に基づき、慰謝料等60万円及びこれに対する令和2年6月30日(上記期限の翌日)から支払済みまで民法所定の年3分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
判示事項の要旨【判示事項】
1 新型コロナウイルス感染症対策の一環として配布された布製マスク(いわゆるアベノマスク)の単価金額及び数量等に関する情報が情報公開法5条2号イ所定の不開示情報に該当するとはいえないとされた事例
2 新型コロナウイルス感染症対策の一環として配布された布製マスク(いわゆるアベノマスク)の単価金額及び数量等に関する情報が情報公開法5条6号ロ所定の不開示情報に該当するとはいえないとされた事例
3 厚生労働大臣が情報公開法10条2項による延長後の期限を約2か月徒過した後に開示決定等をしたことが、国家賠償法1条1項の適用上違法であるとはいえないとされた事例
【裁判要旨】
1 新型コロナウイルス感染症対策の一環として配布された布製マスク(いわゆるアベノマスク)の単価金額及び数量等に関する情報につき、①これを公にすると、上記布製マスクを販売した企業の日常的な衛生用品に係る調達能力、営業ノウハウ、アイデアに関する情報が推知されるおそれがあることを理由とする被告の主張、及び②これを公にすると、今後同様の事態が生じた際に、上記企業に日常的な衛生用品を納入する生産者等がその売値をつり上げるおそれがあることを理由とする被告の主張は、いずれも採用することができず、上記情報は情報公開法5条2号イ所定の不開示情報に該当するとはいえない。
2 新型コロナウイルス感染症対策の一環として配布された布製マスク(いわゆるアベノマスク)の単価金額及び数量等に関する情報につき、これを公にすると、今後同様の事態が生じた際に、日常的な衛生用品につき政府に対する売値がつり上げられ又は単価が高止まりするおそれがあることを理由とする被告の主張は採用することができず、上記情報は情報公開法5条6号ロ所定の不開示情報に該当するとはいえない。
3 厚生労働大臣が情報公開法10条2項による延長後の期限を約2か月徒過した後に開示決定等をしたことは、当時、これを担当する厚生労働省医政局経済課が極めて繁忙な状況にあり、情報公開請求よりも優先して対応せざるを得ない事務が多数存在したことなど判示の事情の下においては、厚生労働大臣やその補助職員が、職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく、漫然と開示決定等を長期間遅延せしめたとは認められず、社会通念上一般人において受忍すべき限度を超えることにより原告の人格的な利益を侵害する程度に至っていると認めることもできないから、国家賠償法1条1項の適用上違法であるとはいえない。
事件番号令和2(行ウ)126
事件名不開示決定処分取消等請求事件
裁判所大阪地方裁判所 第7民事部
裁判年月日令和5年2月28日
事案の概要
本件は、原告が、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(以下「情報公開法」という。)に基づき、厚生労働大臣及び文部科学大臣に対し、新型コロナウイルス感染症対策の一環として配布された布製マスク(いわゆるアベノマスク)に関する行政文書の開示請求をしたところ、上記各大臣からそれぞれ一部不開示決定を受けたため、布製マスクの単価金額及び数量等(別紙2厚労省対象部分及び別紙3文科省対象部分の各情報。以下「本件不開示情報」という。)を不開示としたのは違法であるとして、被告を相手に、①厚生労働大臣による決定のうち別紙2厚労省対象部分を不開示とした部分の取消し及び開示決定の義務付け、②文部科学大臣による決定のうち別紙3文科省対象部分を不開示とした部分の取消し及び開示決定の義務付けを求めるとともに、厚生労働大臣が開示決定等の延長後の期限を約2か月にわたり徒過したこと(以下「本件遅延」という。)は国家賠償法上違法であると主張して、被告に対し、③同法1条1項に基づき、慰謝料等60万円及びこれに対する令和2年6月30日(上記期限の翌日)から支払済みまで民法所定の年3分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
判示事項の要旨
【判示事項】
1 新型コロナウイルス感染症対策の一環として配布された布製マスク(いわゆるアベノマスク)の単価金額及び数量等に関する情報が情報公開法5条2号イ所定の不開示情報に該当するとはいえないとされた事例
2 新型コロナウイルス感染症対策の一環として配布された布製マスク(いわゆるアベノマスク)の単価金額及び数量等に関する情報が情報公開法5条6号ロ所定の不開示情報に該当するとはいえないとされた事例
3 厚生労働大臣が情報公開法10条2項による延長後の期限を約2か月徒過した後に開示決定等をしたことが、国家賠償法1条1項の適用上違法であるとはいえないとされた事例
【裁判要旨】
1 新型コロナウイルス感染症対策の一環として配布された布製マスク(いわゆるアベノマスク)の単価金額及び数量等に関する情報につき、①これを公にすると、上記布製マスクを販売した企業の日常的な衛生用品に係る調達能力、営業ノウハウ、アイデアに関する情報が推知されるおそれがあることを理由とする被告の主張、及び②これを公にすると、今後同様の事態が生じた際に、上記企業に日常的な衛生用品を納入する生産者等がその売値をつり上げるおそれがあることを理由とする被告の主張は、いずれも採用することができず、上記情報は情報公開法5条2号イ所定の不開示情報に該当するとはいえない。
2 新型コロナウイルス感染症対策の一環として配布された布製マスク(いわゆるアベノマスク)の単価金額及び数量等に関する情報につき、これを公にすると、今後同様の事態が生じた際に、日常的な衛生用品につき政府に対する売値がつり上げられ又は単価が高止まりするおそれがあることを理由とする被告の主張は採用することができず、上記情報は情報公開法5条6号ロ所定の不開示情報に該当するとはいえない。
3 厚生労働大臣が情報公開法10条2項による延長後の期限を約2か月徒過した後に開示決定等をしたことは、当時、これを担当する厚生労働省医政局経済課が極めて繁忙な状況にあり、情報公開請求よりも優先して対応せざるを得ない事務が多数存在したことなど判示の事情の下においては、厚生労働大臣やその補助職員が、職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく、漫然と開示決定等を長期間遅延せしめたとは認められず、社会通念上一般人において受忍すべき限度を超えることにより原告の人格的な利益を侵害する程度に至っていると認めることもできないから、国家賠償法1条1項の適用上違法であるとはいえない。
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