事件番号令和4(わ)524
事件名現住建造物等放火未遂、ストーカ行為等の規制等に関する法律違反被告事件
裁判所札幌地方裁判所
裁判年月日令和5年5月30日
事案の概要第1 被告人は、令和4年2月24日、北海道警察本部長からストーカー行為等の規制等に関する法律5条1項の規定により、A(当時59歳)に対し、更に反復してつきまとい等をしてはならない旨の禁止命令を受けていたものであるが、身体表現性障害が悪化したのはAのせいであるとか、本当はAも被告人のことを愛しているのに警察官に対しては嘘を言っているなどと考え、Aに対する好意の感情が満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、
1 同年6月21日午後11時25分頃、北海道苫小牧市a町b丁目c番d号A方敷地内に立ち入って押し掛け、
2 同月22日午前0時3分頃から同日午前0時5分頃までの間に、A方風除室内に立ち入ってA方に押し掛けた上、A方西側ベランダ窓ガラスを数回叩いて、在宅していたAに対し、著しく粗野又は乱暴な言動をし、
さらに、A方の住宅ローンを支払ったのが被告人であるにもかかわらず、Aがのうのうと生活していることが許せなくなり、前記同様の目的で、
3 同月29日午前8時53分頃及び同日午前8時55分頃、2回にわたり、A方風除室内に立ち入ってA方に押し掛け、
もって前記禁止命令に違反して、Aの身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により、つきまとい等を反復して行い、ストーカー行為をした。
第2 被告人は、前記第1のとおり、自身が住宅ローンを支払った家でAがのうのうと生活していることが許せなくなり、せめて家だけでも燃やしてやろうと思い立ち、Aら2名が現に住居に使用し、かつ、Bが現にいる前記A方(木造亜鉛メッキ鋼板葺平家建、床面積合計96.88平方メートル)に放火しようと考え、同日午前8時55分頃、A方風除室において、玄関扉東側壁面に灯油をまいた上、その付近にあった傘立ての傘を同壁面に立て掛けて、同傘に持っていたライターで点火して火を放ち、A方を焼損しようとしたが、その頃、A方の前を通り掛かった近隣住民が火災に気付いて消火したため、同壁面等を焦がしたほか、同風除室東側のはめ殺し窓ガラスを破損したにとどまり、その目的を遂げなかった。
判示事項の要旨被告人が、元交際相手の女性に対し、禁止命令に違反してストーカー行為をした上、当該女性ら2名が居住する住宅の玄関扉付近の壁面に灯油をまいて放火したものの、未遂にとどまった事案について、被告人に対し、懲役3年、うち4月につき3年間の保護観察付き執行猶予を言い渡した事例
事件番号令和4(わ)524
事件名現住建造物等放火未遂、ストーカ行為等の規制等に関する法律違反被告事件
裁判所札幌地方裁判所
裁判年月日令和5年5月30日
事案の概要
第1 被告人は、令和4年2月24日、北海道警察本部長からストーカー行為等の規制等に関する法律5条1項の規定により、A(当時59歳)に対し、更に反復してつきまとい等をしてはならない旨の禁止命令を受けていたものであるが、身体表現性障害が悪化したのはAのせいであるとか、本当はAも被告人のことを愛しているのに警察官に対しては嘘を言っているなどと考え、Aに対する好意の感情が満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、
1 同年6月21日午後11時25分頃、北海道苫小牧市a町b丁目c番d号A方敷地内に立ち入って押し掛け、
2 同月22日午前0時3分頃から同日午前0時5分頃までの間に、A方風除室内に立ち入ってA方に押し掛けた上、A方西側ベランダ窓ガラスを数回叩いて、在宅していたAに対し、著しく粗野又は乱暴な言動をし、
さらに、A方の住宅ローンを支払ったのが被告人であるにもかかわらず、Aがのうのうと生活していることが許せなくなり、前記同様の目的で、
3 同月29日午前8時53分頃及び同日午前8時55分頃、2回にわたり、A方風除室内に立ち入ってA方に押し掛け、
もって前記禁止命令に違反して、Aの身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により、つきまとい等を反復して行い、ストーカー行為をした。
第2 被告人は、前記第1のとおり、自身が住宅ローンを支払った家でAがのうのうと生活していることが許せなくなり、せめて家だけでも燃やしてやろうと思い立ち、Aら2名が現に住居に使用し、かつ、Bが現にいる前記A方(木造亜鉛メッキ鋼板葺平家建、床面積合計96.88平方メートル)に放火しようと考え、同日午前8時55分頃、A方風除室において、玄関扉東側壁面に灯油をまいた上、その付近にあった傘立ての傘を同壁面に立て掛けて、同傘に持っていたライターで点火して火を放ち、A方を焼損しようとしたが、その頃、A方の前を通り掛かった近隣住民が火災に気付いて消火したため、同壁面等を焦がしたほか、同風除室東側のはめ殺し窓ガラスを破損したにとどまり、その目的を遂げなかった。
判示事項の要旨
被告人が、元交際相手の女性に対し、禁止命令に違反してストーカー行為をした上、当該女性ら2名が居住する住宅の玄関扉付近の壁面に灯油をまいて放火したものの、未遂にとどまった事案について、被告人に対し、懲役3年、うち4月につき3年間の保護観察付き執行猶予を言い渡した事例
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