事件番号令和3(行コ)70
事件名遺族補償一時金不支給処分取消請求控訴事件
裁判所名古屋高等裁判所 民事第2部
裁判年月日令和5年4月25日
原審裁判所名古屋地方裁判所
事案の概要本件は、中部電力株式会社(本件会社)に平成22年4月1日に入社し、三重支店営業部法人営業グループのソリューションスタッフ(SO)チームに配属された a(本件労働者)の母である控訴人が、本件労働者は、本件会社における過重な業務及び上司によるパワーハラスメントにより精神障害を発病し、▲年▲月▲日に自殺(本件自殺)をするに至った旨主張して、労働者災害補償保険法(労災保険法)に基づく遺族補償一時金の支給を請求したところ、津労働基準監督署長(処分行政庁)が平成26年9月26日付けで不支給とする旨の処分(本件処分)をしたことから、被控訴人に対し、本件処分の取消しを求める事案である。
判示事項の要旨1 入社1年目の本件労働者が自殺したことについて、母である控訴人に対し労働者災害補償保険法(労災保険法)に基づく遺族補償一時金を不支給とした処分行政庁の処分を適法として控訴人の請求を棄却した一審判決を取り消し、同不支給処分を違法として取り消した事例
2 本件労働者は、上司からしばしば業務指導の範囲を超え人格等も否定するような発言をされており、これによる心理的負荷の程度は少なくとも「中」に該当するとした事例
3 本件労働者が主担当とされた業務の1つは、新入社員にとって難易度が高く、スケジュールもタイトで、先輩社員からの適切な指導や助言等がなく、本件労働者が客先への中間報告を失敗して先輩社員が謝罪し、その後の社内における対応も本件労働者を大きく混乱させるものであったから、これによる心理的負荷の程度は「強」に該当するとした事例
4 上司のパワーハラスメントによる心理的負荷が「中」に該当することをベースとして、3の業務による心理的負荷が「強」に、他の業務による心理的負荷が「中」に該当することを総合考慮すると、本件労働者が本件会社の業務により受けた心理的負荷の程度は全体的評価としても「強」に該当するから、本件労働者の精神障害の発病及びこれによる自殺には、業務起因性が認められるとした事例
事件番号令和3(行コ)70
事件名遺族補償一時金不支給処分取消請求控訴事件
裁判所名古屋高等裁判所 民事第2部
裁判年月日令和5年4月25日
原審裁判所名古屋地方裁判所
事案の概要
本件は、中部電力株式会社(本件会社)に平成22年4月1日に入社し、三重支店営業部法人営業グループのソリューションスタッフ(SO)チームに配属された a(本件労働者)の母である控訴人が、本件労働者は、本件会社における過重な業務及び上司によるパワーハラスメントにより精神障害を発病し、▲年▲月▲日に自殺(本件自殺)をするに至った旨主張して、労働者災害補償保険法(労災保険法)に基づく遺族補償一時金の支給を請求したところ、津労働基準監督署長(処分行政庁)が平成26年9月26日付けで不支給とする旨の処分(本件処分)をしたことから、被控訴人に対し、本件処分の取消しを求める事案である。
判示事項の要旨
1 入社1年目の本件労働者が自殺したことについて、母である控訴人に対し労働者災害補償保険法(労災保険法)に基づく遺族補償一時金を不支給とした処分行政庁の処分を適法として控訴人の請求を棄却した一審判決を取り消し、同不支給処分を違法として取り消した事例
2 本件労働者は、上司からしばしば業務指導の範囲を超え人格等も否定するような発言をされており、これによる心理的負荷の程度は少なくとも「中」に該当するとした事例
3 本件労働者が主担当とされた業務の1つは、新入社員にとって難易度が高く、スケジュールもタイトで、先輩社員からの適切な指導や助言等がなく、本件労働者が客先への中間報告を失敗して先輩社員が謝罪し、その後の社内における対応も本件労働者を大きく混乱させるものであったから、これによる心理的負荷の程度は「強」に該当するとした事例
4 上司のパワーハラスメントによる心理的負荷が「中」に該当することをベースとして、3の業務による心理的負荷が「強」に、他の業務による心理的負荷が「中」に該当することを総合考慮すると、本件労働者が本件会社の業務により受けた心理的負荷の程度は全体的評価としても「強」に該当するから、本件労働者の精神障害の発病及びこれによる自殺には、業務起因性が認められるとした事例
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