事件番号令和3(行ウ)48
事件名所得税更正処分取消請求事件
裁判所大阪地方裁判所
裁判年月日令和4年12月22日
事案の概要本件は、▲年11月から▲年12月まで第B期司法修習生であった原告が、▲年中に最高裁判所から支給を受けた基本給付金合計155万7000円(以下「本件給付金」という。)を雑所得の総収入金額に算入して同年分の所得税及び復興特別所得税(以下「所得税等」という。)の確定申告をした後、本件給付金は所得税法9条1項15号の「学資に充てるため給付される金品」に該当し非課税所得であるなどとして更正の請求をしたところ、A税務署長が、原告に対し、更正をすべき理由がない旨の通知処分をするとともに、原告が最高裁判所から無利息で貸与を受けた修習専念資金に係る▲年中の利息相当額合計1万1286円(以下「本件利息相当額」という。)を経済的利益として雑所得の総収入金額に算入すべきであるなどとして、令和2年2月28日付けで増額更正処分(以下「本件更正処分」という。)をしたため、原告が、被告を相手に、本件更正処分の全部の取消しを求める事案である。
判示事項1 司法修習生に対して支給される基本給付金(裁判所法67条の2第2項)は、非課税所得である所得税法9条1項15号の「学資に充てるため給付される金品」に当たるか(消極)

2 司法修習生に対して無利息で貸与される修習専念資金(裁判所法67条の3)に係る利息相当額は、非課税所得である所得税法9条1項15号の「学資に充てるため給付される金品」に当たるか(消極)

3 司法修習生が支出した交通費、書籍代等を雑所得の金額の計算上必要経費に算入できるか(消極)
裁判要旨1 司法修習生に対して支給される基本給付金(裁判所法67条の2第2項)は、法曹人材確保の充実・強化を図るという政策的な目的に基づき、修習専念義務を負い生活費を稼ぐことのできない司法修習生の生活費全般に充てるため、使途を限定せずに支給されるものであって、学資(司法修習における教育・指導を受けるために必要な費用)に充てるために支給されるものとはいえないから、非課税所得である所得税法9条1項15号の「学資に充てるため給付される金品」に当たらない。

2 司法修習生に対して無利息で貸与される修習専念資金(裁判所法67条の3)は、基本給付金等とその趣旨を共通にするものであり、学資(司法修習における教育・指導を受けるために必要な費用)に充てるために支給されるものとはいえないから、修習専念資金に係る利息相当額は、非課税所得である所得税法9条1項15号の「学資に充てるため給付される金品」に当たらない。

3 司法修習生に一律に一定額が支給される基本給付金(裁判所法67条の2第2項)については、必要経費として控除することができる経費は存在しないというべきであるから、司法修習生が支出した交通費、書籍代等を雑所得の金額の計算上必要経費に算入することはできない。
事件番号令和3(行ウ)48
事件名所得税更正処分取消請求事件
裁判所大阪地方裁判所
裁判年月日令和4年12月22日
事案の概要
本件は、▲年11月から▲年12月まで第B期司法修習生であった原告が、▲年中に最高裁判所から支給を受けた基本給付金合計155万7000円(以下「本件給付金」という。)を雑所得の総収入金額に算入して同年分の所得税及び復興特別所得税(以下「所得税等」という。)の確定申告をした後、本件給付金は所得税法9条1項15号の「学資に充てるため給付される金品」に該当し非課税所得であるなどとして更正の請求をしたところ、A税務署長が、原告に対し、更正をすべき理由がない旨の通知処分をするとともに、原告が最高裁判所から無利息で貸与を受けた修習専念資金に係る▲年中の利息相当額合計1万1286円(以下「本件利息相当額」という。)を経済的利益として雑所得の総収入金額に算入すべきであるなどとして、令和2年2月28日付けで増額更正処分(以下「本件更正処分」という。)をしたため、原告が、被告を相手に、本件更正処分の全部の取消しを求める事案である。
判示事項
1 司法修習生に対して支給される基本給付金(裁判所法67条の2第2項)は、非課税所得である所得税法9条1項15号の「学資に充てるため給付される金品」に当たるか(消極)

2 司法修習生に対して無利息で貸与される修習専念資金(裁判所法67条の3)に係る利息相当額は、非課税所得である所得税法9条1項15号の「学資に充てるため給付される金品」に当たるか(消極)

3 司法修習生が支出した交通費、書籍代等を雑所得の金額の計算上必要経費に算入できるか(消極)
裁判要旨
1 司法修習生に対して支給される基本給付金(裁判所法67条の2第2項)は、法曹人材確保の充実・強化を図るという政策的な目的に基づき、修習専念義務を負い生活費を稼ぐことのできない司法修習生の生活費全般に充てるため、使途を限定せずに支給されるものであって、学資(司法修習における教育・指導を受けるために必要な費用)に充てるために支給されるものとはいえないから、非課税所得である所得税法9条1項15号の「学資に充てるため給付される金品」に当たらない。

2 司法修習生に対して無利息で貸与される修習専念資金(裁判所法67条の3)は、基本給付金等とその趣旨を共通にするものであり、学資(司法修習における教育・指導を受けるために必要な費用)に充てるために支給されるものとはいえないから、修習専念資金に係る利息相当額は、非課税所得である所得税法9条1項15号の「学資に充てるため給付される金品」に当たらない。

3 司法修習生に一律に一定額が支給される基本給付金(裁判所法67条の2第2項)については、必要経費として控除することができる経費は存在しないというべきであるから、司法修習生が支出した交通費、書籍代等を雑所得の金額の計算上必要経費に算入することはできない。
このエントリーをはてなブックマークに追加