事件番号令和1(行ウ)539
事件名法人税等更正処分等取消請求事件、更正をすべき理  由がない旨の通知処分取消請求事件
裁判所東京地方裁判所
裁判年月日令和5年2月17日
事案の概要本件は、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(以下「整備法」という。)42条2項に定める特例民法法人から、整備法45条に基づく内閣府の認可及び移行の登記を経て一般財団法人へと移行した原告が、処分行政庁に対し、平成23年4月1日から平成24年3月31日までの事業年度又は課税事業年度(以下「平成24年3月期」といい、他の事業年度又は課税事業年度についてもその終期に応じて同様に表記する。)から平成30年3月期まで(以下「本件各事業年度」という。)の法人税、復興特別法人税及び地方法人税(以下「法人税等」という。)の確定申告をしたところ、①処分行政庁から、平成25年3月期、平成26年3月期、平成27年3月期及び平成29年3月期の法人税等について、有価証券譲渡益の計上漏れを理由とする更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を受けたことから、同各更正処分のうち同理由による増額更正部分及び同各賦課決定処分の取消しを求め、②処分行政庁に対し、本件各事業年度の法人税等について、減価償却額の計上の誤りを理由とする更正の請求をしたが、いずれについても更正をすべき理由がない旨の通知処分を受けたことから、同各通知処分の取消しを求めるとともに、③上記①の各更正処分のうち有価証券譲渡益の計上漏れを理由とする増額更正部分及び減価償却額の計上の誤りを理由とする減額更正処分がされるべき部分並びに上記①の各賦課決定処分の取消しを求め、④上記②の各通知処分のうち、上記①の各更正処分の対象とされていない平成24年3月期、平成28年3月期及び平成30年3月期の法人税等の更正の請求に係る更正をすべき理由がない旨の通知処分の取消しを求めている事案である。
判示事項1 同一の法人税の納税義務について、増額更正処分及び更正の請求に理由がない旨の通知処分がされた場合における、更正の請求に理由がない旨の通知処分の取消しを求める訴えの利益

2 公益法人等が収益事業以外の事業に属する資産として取得した有価証券につき、当該公益法人等が普通法人に移行した後、同一銘柄の有価証券を追加取得せずに、当該有価証券を譲渡した場合における法人税法施行令119条の2第1項1号にいう「その取得をした有価証券の取得価額」の意義

3 公益法人等が普通法人への移行前に収益事業に属しない減価償却資産について計上した減価償却費の金額は、法人税法31条4項にいう「所得の金額の計算上損金の額に算入されなかつた金額」に該当するか

4 法人税法施行令131条の6の定める移行時資産等に該当する減価償却資産に係る、同施行令48条1項1号イ⑵(平成23年政令第379号による改正前のもの及び令和2年政令第207号による改正前のもの)にいう「取得価額(既にした償却の額で各事業年度の所得の金額…の計算上損金の額に算入された金額…を控除した金額)」の意義
裁判要旨1 同一の法人税の納税義務について、増額更正処分及び更正の請求に理由がない旨の通知処分がされた場合、税額等を争う納税者が、更正の請求に理由がない旨の通知処分の取消しを求める訴えは、訴えの利益を欠くものとして不適法である。

2 公益法人等が収益事業以外の事業に属する資産として取得した有価証券につき、当該公益法人等が普通法人に移行した後、同一銘柄の有価証券を追加取得せずに、当該有価証券を譲渡した場合であっても、当該譲渡に係る譲渡損益の計算において移動平均法を用いて譲渡原価を計算するときは、法人税法施行令119条の2第1項1号にいう「その取得をした有価証券の取得価額」とは、同施行令119条1項に基づき計算される当該有価証券の取得価額をいう。

3 公益法人等が普通法人への移行前に収益事業に属しない減価償却資産について計上した減価償却費の金額は、法人税法31条4項にいう「所得の金額の計算上損金の額に算入されなかつた金額」に該当する。

4 法人税法施行令131条の6の定める移行時資産等に該当する減価償却資産であっても、当該減価償却資産に係る同施行令48条1項1号イ⑵(平成23年政令第379号による改正前のもの及び令和2年政令第207号による改正前のもの)にいう「取得価額(既にした償却の額で各事業年度の所得の金額…の計算上損金の額に算入された金額…を控除した金額)」とは、同施行令54条に基づき計算される当該減価償却資産の取得価額から、既にした償却の額で各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入された金額を控除した金額をいう。
事件番号令和1(行ウ)539
事件名法人税等更正処分等取消請求事件、更正をすべき理  由がない旨の通知処分取消請求事件
裁判所東京地方裁判所
裁判年月日令和5年2月17日
事案の概要
本件は、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(以下「整備法」という。)42条2項に定める特例民法法人から、整備法45条に基づく内閣府の認可及び移行の登記を経て一般財団法人へと移行した原告が、処分行政庁に対し、平成23年4月1日から平成24年3月31日までの事業年度又は課税事業年度(以下「平成24年3月期」といい、他の事業年度又は課税事業年度についてもその終期に応じて同様に表記する。)から平成30年3月期まで(以下「本件各事業年度」という。)の法人税、復興特別法人税及び地方法人税(以下「法人税等」という。)の確定申告をしたところ、①処分行政庁から、平成25年3月期、平成26年3月期、平成27年3月期及び平成29年3月期の法人税等について、有価証券譲渡益の計上漏れを理由とする更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を受けたことから、同各更正処分のうち同理由による増額更正部分及び同各賦課決定処分の取消しを求め、②処分行政庁に対し、本件各事業年度の法人税等について、減価償却額の計上の誤りを理由とする更正の請求をしたが、いずれについても更正をすべき理由がない旨の通知処分を受けたことから、同各通知処分の取消しを求めるとともに、③上記①の各更正処分のうち有価証券譲渡益の計上漏れを理由とする増額更正部分及び減価償却額の計上の誤りを理由とする減額更正処分がされるべき部分並びに上記①の各賦課決定処分の取消しを求め、④上記②の各通知処分のうち、上記①の各更正処分の対象とされていない平成24年3月期、平成28年3月期及び平成30年3月期の法人税等の更正の請求に係る更正をすべき理由がない旨の通知処分の取消しを求めている事案である。
判示事項
1 同一の法人税の納税義務について、増額更正処分及び更正の請求に理由がない旨の通知処分がされた場合における、更正の請求に理由がない旨の通知処分の取消しを求める訴えの利益

2 公益法人等が収益事業以外の事業に属する資産として取得した有価証券につき、当該公益法人等が普通法人に移行した後、同一銘柄の有価証券を追加取得せずに、当該有価証券を譲渡した場合における法人税法施行令119条の2第1項1号にいう「その取得をした有価証券の取得価額」の意義

3 公益法人等が普通法人への移行前に収益事業に属しない減価償却資産について計上した減価償却費の金額は、法人税法31条4項にいう「所得の金額の計算上損金の額に算入されなかつた金額」に該当するか

4 法人税法施行令131条の6の定める移行時資産等に該当する減価償却資産に係る、同施行令48条1項1号イ⑵(平成23年政令第379号による改正前のもの及び令和2年政令第207号による改正前のもの)にいう「取得価額(既にした償却の額で各事業年度の所得の金額…の計算上損金の額に算入された金額…を控除した金額)」の意義
裁判要旨
1 同一の法人税の納税義務について、増額更正処分及び更正の請求に理由がない旨の通知処分がされた場合、税額等を争う納税者が、更正の請求に理由がない旨の通知処分の取消しを求める訴えは、訴えの利益を欠くものとして不適法である。

2 公益法人等が収益事業以外の事業に属する資産として取得した有価証券につき、当該公益法人等が普通法人に移行した後、同一銘柄の有価証券を追加取得せずに、当該有価証券を譲渡した場合であっても、当該譲渡に係る譲渡損益の計算において移動平均法を用いて譲渡原価を計算するときは、法人税法施行令119条の2第1項1号にいう「その取得をした有価証券の取得価額」とは、同施行令119条1項に基づき計算される当該有価証券の取得価額をいう。

3 公益法人等が普通法人への移行前に収益事業に属しない減価償却資産について計上した減価償却費の金額は、法人税法31条4項にいう「所得の金額の計算上損金の額に算入されなかつた金額」に該当する。

4 法人税法施行令131条の6の定める移行時資産等に該当する減価償却資産であっても、当該減価償却資産に係る同施行令48条1項1号イ⑵(平成23年政令第379号による改正前のもの及び令和2年政令第207号による改正前のもの)にいう「取得価額(既にした償却の額で各事業年度の所得の金額…の計算上損金の額に算入された金額…を控除した金額)」とは、同施行令54条に基づき計算される当該減価償却資産の取得価額から、既にした償却の額で各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入された金額を控除した金額をいう。
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