事件番号令和2(行ウ)58
事件名障害年金不支給決定取消等請求事件
裁判所東京地方裁判所
裁判年月日令和4年3月18日
事案の概要本件は,原告が,厚生労働大臣に対し,広汎性発達障害(以下「本件傷病」ということがある。)による障害の状態が障害等級に該当する程度にあるとして,主位的に20歳に達した日(平成▲年▲月▲日。以下「20歳到達日」という。)を受給権の発生日とする国民年金法(以下「国年法」という。)30条の4第1項による障害基礎年金の支給の裁定請求をし,予備的に裁定請求日(平成30年2月1日。以下,単に「裁定請求日」という。)を受給権の発生日とする同条2項による障害基礎年金の支給の裁定請求をした(以下,これらの請求を「本件裁定請求」という。)ところ,厚生労働大臣から,20歳到達日及び裁定請求日における原告の障害の状態は障害等級1級又は2級に該当する程度にあるとはいえないとして,障害基礎年金を支給しない旨の処分(以下「本件処分」という。)を受けたため,原告の障害の状態は障害等級2級に該当する程度のものであり,本件処分は障害の程度の評価を誤った違法なものであるなどとして,本件処分の取消しを求めるとともに,20歳到達日を受給権の発生日とする障害等級2級の障害基礎年金を支給する旨の裁定をすることの義務付けを求める(以下,本件訴えのうち上記の義務付けの訴えに係る部分を「本件義務付けの訴え」という。)事案である。
判示事項1 広汎性発達障害のほか、既存障害として軽度の知的障害等があるものの、労働に従事していた者について、その障害の状態が障害等級に該当する程度にあるとはいえないとしてされた障害基礎年金を支給しない旨の処分が違法であるとされた事例
2 広汎性発達障害のほか、既存障害として軽度の知的障害等があるものの、労働に従事していた者について、障害等級2級の障害基礎年金を支給する旨の裁定をすべき旨が命じられた事例
裁判要旨1 広汎性発達障害のほか、既存障害として軽度の知的障害等があるものの、障害者雇用枠で就職し、定型的な作業又は単純な事務作業に従事していた者について、判断を要するような行為については、身のまわりのことであっても、自発的かつ適正に行うことができず、家族の援助や指導等が必要な状況にあり、相手の発言の真意をとらえて行動に反映することや、話題に合わせた会話をすることは困難であって、就労を相当期間継続してきたことについては、本来であれば継続が困難であるところを、周囲の理解や援助、指導等によって継続が可能となったものと評価することができることなど、その日常生活状況等を総合的に勘案すれば、その障害の状態は、障害等級2級に該当する程度のものであり、これに該当しないとしてされた障害基礎年金を支給しない旨の処分は違法であるとして、その処分の取消請求を認容した事例
2 前記1のような原告の日常生活状況等を総合的に勘案すれば、原告は、障害等級2級の障害基礎年金を支給されるべきといえるとして、厚生労働大臣に対し、その旨の裁定をするよう命じることが相当であるとされた事例
事件番号令和2(行ウ)58
事件名障害年金不支給決定取消等請求事件
裁判所東京地方裁判所
裁判年月日令和4年3月18日
事案の概要
本件は,原告が,厚生労働大臣に対し,広汎性発達障害(以下「本件傷病」ということがある。)による障害の状態が障害等級に該当する程度にあるとして,主位的に20歳に達した日(平成▲年▲月▲日。以下「20歳到達日」という。)を受給権の発生日とする国民年金法(以下「国年法」という。)30条の4第1項による障害基礎年金の支給の裁定請求をし,予備的に裁定請求日(平成30年2月1日。以下,単に「裁定請求日」という。)を受給権の発生日とする同条2項による障害基礎年金の支給の裁定請求をした(以下,これらの請求を「本件裁定請求」という。)ところ,厚生労働大臣から,20歳到達日及び裁定請求日における原告の障害の状態は障害等級1級又は2級に該当する程度にあるとはいえないとして,障害基礎年金を支給しない旨の処分(以下「本件処分」という。)を受けたため,原告の障害の状態は障害等級2級に該当する程度のものであり,本件処分は障害の程度の評価を誤った違法なものであるなどとして,本件処分の取消しを求めるとともに,20歳到達日を受給権の発生日とする障害等級2級の障害基礎年金を支給する旨の裁定をすることの義務付けを求める(以下,本件訴えのうち上記の義務付けの訴えに係る部分を「本件義務付けの訴え」という。)事案である。
判示事項
1 広汎性発達障害のほか、既存障害として軽度の知的障害等があるものの、労働に従事していた者について、その障害の状態が障害等級に該当する程度にあるとはいえないとしてされた障害基礎年金を支給しない旨の処分が違法であるとされた事例
2 広汎性発達障害のほか、既存障害として軽度の知的障害等があるものの、労働に従事していた者について、障害等級2級の障害基礎年金を支給する旨の裁定をすべき旨が命じられた事例
裁判要旨
1 広汎性発達障害のほか、既存障害として軽度の知的障害等があるものの、障害者雇用枠で就職し、定型的な作業又は単純な事務作業に従事していた者について、判断を要するような行為については、身のまわりのことであっても、自発的かつ適正に行うことができず、家族の援助や指導等が必要な状況にあり、相手の発言の真意をとらえて行動に反映することや、話題に合わせた会話をすることは困難であって、就労を相当期間継続してきたことについては、本来であれば継続が困難であるところを、周囲の理解や援助、指導等によって継続が可能となったものと評価することができることなど、その日常生活状況等を総合的に勘案すれば、その障害の状態は、障害等級2級に該当する程度のものであり、これに該当しないとしてされた障害基礎年金を支給しない旨の処分は違法であるとして、その処分の取消請求を認容した事例
2 前記1のような原告の日常生活状況等を総合的に勘案すれば、原告は、障害等級2級の障害基礎年金を支給されるべきといえるとして、厚生労働大臣に対し、その旨の裁定をするよう命じることが相当であるとされた事例
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