事件番号令和1(行ウ)453
事件名還付金(過誤納付)返還請求事件
裁判所東京地方裁判所
裁判年月日令和4年2月17日
事案の概要ルクセンブルク大公国(以下「ルクセンブルク」という。)に本店を有する外国法人である原告は,内国法人である完全子会社2社(以下「本件各子会社」という。)がした会社分割(以下「本件各分割」という。)に伴い,本件各子会社がその対価として取得した分割承継法人の出資持分につき,本件各子会社の剰余金の配当として分配を受けた(以下「本件各剰余金配当」という。)
本件各剰余金配当はその一部が所得税法(平成26年法律第10号による改正前のもの。以下,特に断りのない限り同じ)25条により同法24条に規定する配当等とみなされることから,これにつき源泉徴収義務を負う本件各子会社は,上記分配のうち同条の配当等とみなされる部分(以下「本件各みなし配当」という。)につき,所得税及び復興特別所得税(以下併せて「所得税等」という。)として,所定の20.42%の税率による金額(以下「当初納付額」という。)を源泉納付した。
本件は,当初納付額につき源泉徴収された原告が,本件各みなし配当については,「所得に対する租税及びある種の他の租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とルクセンブルク大公国との間の条約」(以下「本件租税条約」という。)10条2項⒜(以下「本件規定⒜」という。)の要件に該当し,その限度税率は5%になるから,当初納付額は過大であったとして,被告に対し,還付金合計13億9448万4302円(本件各子会社ごとに見ると,11億2196万2237円及び2億7252万2065円)並びにこれらのうち1万円未満の端数を除いた部分に対する平成27年5月8日(還付の請求があった日の翌日から起算して1月を経過する日)から還付のための支払決定の日又は充当の日までの還付加算金(その計算方法は別紙2記載のとおり)の支払を求める事案である。
判示事項1 日本又はルクセンブルク大公国の一方の居住者である法人から他方の居住者に対して支払われる配当につき源泉地国の法令に従って課される租税の軽減税率を定める、「所得に対する租税及びある種の他の租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とルクセンブルク大公国との間の条約」10条2項⒜の規定における「the end of the accounting period for which the distribution of profits takes place」の意義
2 ルクセンブルク大公国に本店を有する外国法人が内国法人である子会社の会社分割に伴って受けた剰余金の配当のうち、みなし配当となる部分に課される所得税につき、当該法人が上記条約10条2項⒜の規定の適用を受けるとされた事例
裁判要旨1 日本又はルクセンブルク大公国の一方の居住者である法人から他方の居住者に対して支払われる配当につき源泉地国の法令に従って課される租税の軽減税率を定める、「所得に対する租税及びある種の他の租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とルクセンブルク大公国との間の条約」10条2項⒜の規定における「the end of the accounting period for which the distribution of profits takes place」は、「利得の分配(配当)が行われる会計期間の終期」を意味する。
2 ルクセンブルク大公国に本店を有する外国法人が内国法人である子会社の会社分割に伴って受けた剰余金の配当のうち、みなし配当となる部分に課される所得税につき、当該法人が上記分割に係る事業年度の終了の日の6か月以上前から上記子会社の全株式を保有していたとの事実関係のもとでは、当該法人は「利得の分配(配当)が行われる会計期間の終期に先立つ6か月の期間を通じ、当該配当を支払う法人の議決権のある株式の少なくとも25%を所有する法人」に当たり、上記条約10条2項⒜の規定の適用を受ける。
事件番号令和1(行ウ)453
事件名還付金(過誤納付)返還請求事件
裁判所東京地方裁判所
裁判年月日令和4年2月17日
事案の概要
ルクセンブルク大公国(以下「ルクセンブルク」という。)に本店を有する外国法人である原告は,内国法人である完全子会社2社(以下「本件各子会社」という。)がした会社分割(以下「本件各分割」という。)に伴い,本件各子会社がその対価として取得した分割承継法人の出資持分につき,本件各子会社の剰余金の配当として分配を受けた(以下「本件各剰余金配当」という。)
本件各剰余金配当はその一部が所得税法(平成26年法律第10号による改正前のもの。以下,特に断りのない限り同じ)25条により同法24条に規定する配当等とみなされることから,これにつき源泉徴収義務を負う本件各子会社は,上記分配のうち同条の配当等とみなされる部分(以下「本件各みなし配当」という。)につき,所得税及び復興特別所得税(以下併せて「所得税等」という。)として,所定の20.42%の税率による金額(以下「当初納付額」という。)を源泉納付した。
本件は,当初納付額につき源泉徴収された原告が,本件各みなし配当については,「所得に対する租税及びある種の他の租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とルクセンブルク大公国との間の条約」(以下「本件租税条約」という。)10条2項⒜(以下「本件規定⒜」という。)の要件に該当し,その限度税率は5%になるから,当初納付額は過大であったとして,被告に対し,還付金合計13億9448万4302円(本件各子会社ごとに見ると,11億2196万2237円及び2億7252万2065円)並びにこれらのうち1万円未満の端数を除いた部分に対する平成27年5月8日(還付の請求があった日の翌日から起算して1月を経過する日)から還付のための支払決定の日又は充当の日までの還付加算金(その計算方法は別紙2記載のとおり)の支払を求める事案である。
判示事項
1 日本又はルクセンブルク大公国の一方の居住者である法人から他方の居住者に対して支払われる配当につき源泉地国の法令に従って課される租税の軽減税率を定める、「所得に対する租税及びある種の他の租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とルクセンブルク大公国との間の条約」10条2項⒜の規定における「the end of the accounting period for which the distribution of profits takes place」の意義
2 ルクセンブルク大公国に本店を有する外国法人が内国法人である子会社の会社分割に伴って受けた剰余金の配当のうち、みなし配当となる部分に課される所得税につき、当該法人が上記条約10条2項⒜の規定の適用を受けるとされた事例
裁判要旨
1 日本又はルクセンブルク大公国の一方の居住者である法人から他方の居住者に対して支払われる配当につき源泉地国の法令に従って課される租税の軽減税率を定める、「所得に対する租税及びある種の他の租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とルクセンブルク大公国との間の条約」10条2項⒜の規定における「the end of the accounting period for which the distribution of profits takes place」は、「利得の分配(配当)が行われる会計期間の終期」を意味する。
2 ルクセンブルク大公国に本店を有する外国法人が内国法人である子会社の会社分割に伴って受けた剰余金の配当のうち、みなし配当となる部分に課される所得税につき、当該法人が上記分割に係る事業年度の終了の日の6か月以上前から上記子会社の全株式を保有していたとの事実関係のもとでは、当該法人は「利得の分配(配当)が行われる会計期間の終期に先立つ6か月の期間を通じ、当該配当を支払う法人の議決権のある株式の少なくとも25%を所有する法人」に当たり、上記条約10条2項⒜の規定の適用を受ける。
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