事件番号令和3(行ウ)120
事件名行政文書不開示決定取消等請求事件
裁判所大阪地方裁判所 第7民事部
裁判年月日令和5年9月14日
事案の概要本件は、原告が、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(以下「情報公開法」という。)に基づき、財務大臣及び近畿財務局長に対し、学校法人A(以下「A」という。)に対する国有地の売却に関連する被疑事件の捜査について、財務省及び近畿財務局が東京地方検察庁(以下「東京地検」という。)又は大阪地方検察庁(以下「大阪地検」という。)に対して任意提出した一切の文書ないし準文書の開示請求をしたところ、財務大臣及び近畿財務局長から、当該行政文書の存否を答えるだけで情報公開法5条4号の不開示情報(以下「4号不開示情報」という。)を開示することになるとして、同法8条に基づき当該行政文書の存否を明らかにしない(存否応答拒否)で不開示とする各決定を受けたため、被告を相手に、同各決定の取消しを求める事案である。
判示事項の要旨【判示事項】
財務省又は近畿財務局が特定の被疑事件の捜査について東京地方検察庁又は大阪地方検察庁に任意提出した一切の文書ないし準文書の情報公開請求に対し、当該行政文書の存否を答えるだけで行政機関の保有する情報の公開に関する法律5条4号の不開示情報を開示することになるとして、同法8条に基づき、当該行政文書の存否を明らかにしないで不開示とした決定が、裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとはいえず、適法であるとされた事例

【裁判要旨】
財務省又は近畿財務局が特定の被疑事件の捜査について東京地方検察庁又は大阪地方検察庁に任意提出した一切の文書ないし準文書の情報公開請求に対し、当該行政文書の存否を明らかにして開示又は不開示の決定をした場合には、対象文書の特定に関する情報により、当該被疑事件の捜査について、財務省又は近畿財務局が、どのような内容や形式の行政文書を、どの程度の範囲・通数にわたり、任意提出したのかが推知されるなど、当該被疑事件の具体的な捜査の内容や捜査機関の関心事項が推知されるおそれがあり、ひいては、そのような情報の分析により、当該被疑事件と同種の刑事事件のみならず、行政機関が捜査対象となる刑事事件一般についても、捜査の内容や捜査機関の関心事項が推知され、それを踏まえた罪証隠滅が容易となる可能性があるなど、将来の捜査に支障が及ぶおそれがあると判断することが裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用するものとはいえないから、財務大臣及び近畿財務局長が、当該行政文書の存否を答えるだけで行政機関の保有する情報の公開に関する法律5条4号の不開示情報を開示することになるとして、同法8条に基づき、当該行政文書の存否を明らかにしないで不開示とした決定は、適法である。
事件番号令和3(行ウ)120
事件名行政文書不開示決定取消等請求事件
裁判所大阪地方裁判所 第7民事部
裁判年月日令和5年9月14日
事案の概要
本件は、原告が、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(以下「情報公開法」という。)に基づき、財務大臣及び近畿財務局長に対し、学校法人A(以下「A」という。)に対する国有地の売却に関連する被疑事件の捜査について、財務省及び近畿財務局が東京地方検察庁(以下「東京地検」という。)又は大阪地方検察庁(以下「大阪地検」という。)に対して任意提出した一切の文書ないし準文書の開示請求をしたところ、財務大臣及び近畿財務局長から、当該行政文書の存否を答えるだけで情報公開法5条4号の不開示情報(以下「4号不開示情報」という。)を開示することになるとして、同法8条に基づき当該行政文書の存否を明らかにしない(存否応答拒否)で不開示とする各決定を受けたため、被告を相手に、同各決定の取消しを求める事案である。
判示事項の要旨
【判示事項】
財務省又は近畿財務局が特定の被疑事件の捜査について東京地方検察庁又は大阪地方検察庁に任意提出した一切の文書ないし準文書の情報公開請求に対し、当該行政文書の存否を答えるだけで行政機関の保有する情報の公開に関する法律5条4号の不開示情報を開示することになるとして、同法8条に基づき、当該行政文書の存否を明らかにしないで不開示とした決定が、裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとはいえず、適法であるとされた事例

【裁判要旨】
財務省又は近畿財務局が特定の被疑事件の捜査について東京地方検察庁又は大阪地方検察庁に任意提出した一切の文書ないし準文書の情報公開請求に対し、当該行政文書の存否を明らかにして開示又は不開示の決定をした場合には、対象文書の特定に関する情報により、当該被疑事件の捜査について、財務省又は近畿財務局が、どのような内容や形式の行政文書を、どの程度の範囲・通数にわたり、任意提出したのかが推知されるなど、当該被疑事件の具体的な捜査の内容や捜査機関の関心事項が推知されるおそれがあり、ひいては、そのような情報の分析により、当該被疑事件と同種の刑事事件のみならず、行政機関が捜査対象となる刑事事件一般についても、捜査の内容や捜査機関の関心事項が推知され、それを踏まえた罪証隠滅が容易となる可能性があるなど、将来の捜査に支障が及ぶおそれがあると判断することが裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用するものとはいえないから、財務大臣及び近畿財務局長が、当該行政文書の存否を答えるだけで行政機関の保有する情報の公開に関する法律5条4号の不開示情報を開示することになるとして、同法8条に基づき、当該行政文書の存否を明らかにしないで不開示とした決定は、適法である。
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