事件番号令和1(行ウ)266等
事件名種子法廃止違憲確認等請求事件
裁判所東京地方裁判所
裁判年月日令和5年3月24日
事案の概要本件は、 主要農作物の採種農家である第1事件原告A、一般農家である第1事件原告B及び一般消費者である第1事件原告C(原告A及び原告Bと併せて「原告Aら」という。)が、被告との間で、①主要農作物種子法を廃止する法律(平成29年法律第20号。以下「種子法廃止法」という。)が違憲無効であることの確認と、②種子法廃止法が違憲無効であることを前提に、主要農作物種子法(昭和27年法律第131号。以下「種子法」という。)に係る各自の立場に応じた法律上の地位にあることの確認を求め、また、 原告らが、種子法廃止法の制定によって憲法上の権利を侵害されて精神的苦痛を受けたとして、被告に対し、国家賠償法(以下「国賠法」という。)1条1項に基づき、各1万円の支払を求める事案である。
判示事項1 「主要農作物種子法を廃止する法律」によって廃止された主要農作物種子法3条1項所定の指定種子生産ほ場の指定を受けていた主要農作物の採種農家につき、同項所定の指定種子生産ほ場の指定を受ける地位にあることの確認の利益を肯定した事例
2 「主要農作物種子法を廃止する法律」によって廃止された主要農作物種子法3条1項所定の指定種子生産ほ場において生産された主要農作物の種子を購入等していた一般農家につき、同法1条所定のほ場審査その他の措置を受けて生産された種子を用いて主要農作物を栽培できる地位にあることの確認の利益を否定した事例
3 「主要農作物種子法を廃止する法律」によって廃止された主要農作物種子法3条1項所定の指定種子生産ほ場において生産された主要農作物の種子を用いて栽培された主要農作物について供給を受ける等していた一般消費者につき、同法1条所定のほ場審査その他の措置を受けて生産された種子を用いて栽培された主要農作物の供給を受ける地位にあることの確認の利益を否定した事例
4 「主要農作物種子法を廃止する法律」によって廃止された主要農作物種子法3条1項所定の指定種子生産ほ場の指定を受けていた主要農作物の採種農家につき、「主要農作物種子法を廃止する法律」による憲法25条、13条、22条及び29条の各権利の侵害を否定した事例
裁判要旨1 主要農作物種子法3条1項所定の指定種子生産ほ場の指定を受けていた主要農作物の採種農家は、主要農作物種子法が廃止されていなければ当該ほ場について同項所定の指定がされていた蓋然性が高く、「主要農作物種子法を廃止する法律」が違憲無効であることを前提に主要農作物種子法に基づく上記地位を有することが被告との間で確認された場合には、主要農作物種子法という法律が存在することを前提とした対応(財政的措置等を含む。)をする義務が被告に生じることに加え、「主要農作物種子法を廃止する法律」の施行以降、主要農作物種子法に基づく公法上の地位を喪失していることからすると、同法3条1項所定の指定種子生産ほ場の指定を受ける地位にあることの確認を求める利益を有する。
2 主要農作物種子法3条1項所定の指定種子生産ほ場において生産された主要農作物の種子を購入等していた一般農家は、同法に基づく公法上の法律関係を有する者には当たらず、同法1条所定のほ場審査その他の措置を受けて生産された種子を用いて主要農作物を栽培できる地位にあることの確認を求める利益を有しない。
3 主要農作物種子法3条1項所定の指定種子生産ほ場において生産された主要農作物の種子を用いて栽培された主要農作物について供給を受ける等していた一般消費者は、同法に基づく公法上の法律関係を有する者には当たらず、同法1条所定のほ場審査その他の措置を受けて生産された種子を用いて栽培された主要農作物の供給を受ける地位にあることの確認を求める利益を有しない。
4 主要農作物種子法の制定経緯、立法趣旨及び内容からすると、同法は、国家的要請としての食糧増産を達成するために採られた政策の一環として制定されたものであり、個々の国民に対して食糧増産等に係る権利を具体化したものではないと解するのが相当であるから、主要農作物種子法3条1項所定の指定種子生産ほ場の指定を受けていた主要農作物の採種農家の憲法25条、13条、22条、29条の各権利が「主要農作物種子法を廃止する法律」によって侵害されたということはできない。
事件番号令和1(行ウ)266等
事件名種子法廃止違憲確認等請求事件
裁判所東京地方裁判所
裁判年月日令和5年3月24日
事案の概要
本件は、 主要農作物の採種農家である第1事件原告A、一般農家である第1事件原告B及び一般消費者である第1事件原告C(原告A及び原告Bと併せて「原告Aら」という。)が、被告との間で、①主要農作物種子法を廃止する法律(平成29年法律第20号。以下「種子法廃止法」という。)が違憲無効であることの確認と、②種子法廃止法が違憲無効であることを前提に、主要農作物種子法(昭和27年法律第131号。以下「種子法」という。)に係る各自の立場に応じた法律上の地位にあることの確認を求め、また、 原告らが、種子法廃止法の制定によって憲法上の権利を侵害されて精神的苦痛を受けたとして、被告に対し、国家賠償法(以下「国賠法」という。)1条1項に基づき、各1万円の支払を求める事案である。
判示事項
1 「主要農作物種子法を廃止する法律」によって廃止された主要農作物種子法3条1項所定の指定種子生産ほ場の指定を受けていた主要農作物の採種農家につき、同項所定の指定種子生産ほ場の指定を受ける地位にあることの確認の利益を肯定した事例
2 「主要農作物種子法を廃止する法律」によって廃止された主要農作物種子法3条1項所定の指定種子生産ほ場において生産された主要農作物の種子を購入等していた一般農家につき、同法1条所定のほ場審査その他の措置を受けて生産された種子を用いて主要農作物を栽培できる地位にあることの確認の利益を否定した事例
3 「主要農作物種子法を廃止する法律」によって廃止された主要農作物種子法3条1項所定の指定種子生産ほ場において生産された主要農作物の種子を用いて栽培された主要農作物について供給を受ける等していた一般消費者につき、同法1条所定のほ場審査その他の措置を受けて生産された種子を用いて栽培された主要農作物の供給を受ける地位にあることの確認の利益を否定した事例
4 「主要農作物種子法を廃止する法律」によって廃止された主要農作物種子法3条1項所定の指定種子生産ほ場の指定を受けていた主要農作物の採種農家につき、「主要農作物種子法を廃止する法律」による憲法25条、13条、22条及び29条の各権利の侵害を否定した事例
裁判要旨
1 主要農作物種子法3条1項所定の指定種子生産ほ場の指定を受けていた主要農作物の採種農家は、主要農作物種子法が廃止されていなければ当該ほ場について同項所定の指定がされていた蓋然性が高く、「主要農作物種子法を廃止する法律」が違憲無効であることを前提に主要農作物種子法に基づく上記地位を有することが被告との間で確認された場合には、主要農作物種子法という法律が存在することを前提とした対応(財政的措置等を含む。)をする義務が被告に生じることに加え、「主要農作物種子法を廃止する法律」の施行以降、主要農作物種子法に基づく公法上の地位を喪失していることからすると、同法3条1項所定の指定種子生産ほ場の指定を受ける地位にあることの確認を求める利益を有する。
2 主要農作物種子法3条1項所定の指定種子生産ほ場において生産された主要農作物の種子を購入等していた一般農家は、同法に基づく公法上の法律関係を有する者には当たらず、同法1条所定のほ場審査その他の措置を受けて生産された種子を用いて主要農作物を栽培できる地位にあることの確認を求める利益を有しない。
3 主要農作物種子法3条1項所定の指定種子生産ほ場において生産された主要農作物の種子を用いて栽培された主要農作物について供給を受ける等していた一般消費者は、同法に基づく公法上の法律関係を有する者には当たらず、同法1条所定のほ場審査その他の措置を受けて生産された種子を用いて栽培された主要農作物の供給を受ける地位にあることの確認を求める利益を有しない。
4 主要農作物種子法の制定経緯、立法趣旨及び内容からすると、同法は、国家的要請としての食糧増産を達成するために採られた政策の一環として制定されたものであり、個々の国民に対して食糧増産等に係る権利を具体化したものではないと解するのが相当であるから、主要農作物種子法3条1項所定の指定種子生産ほ場の指定を受けていた主要農作物の採種農家の憲法25条、13条、22条、29条の各権利が「主要農作物種子法を廃止する法律」によって侵害されたということはできない。
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