事件番号令和4(ネ)80
事件名各損害賠償請求控訴事件
裁判所仙台高等裁判所 第2民事部
裁判年月日令和5年12月5日
結果棄却
原審裁判所福島地方裁判所 いわき支部
原審事件番号平成28(ワ)62
事案の概要原告らは、憲法9条1項の下では許されない集団的自衛権の行使を容認する平和安全法制の立法により、平和的生存権、人格権、憲法改正・決定権、国民投票権が侵害されたと主張し、国家賠償法1条1項に基づき、各原告につき慰謝料1万円の損害賠償と法成立日からの遅延損害金の支払を求めた。
判示事項の要旨1 閣議決定による憲法解釈の変更と平和安全法制について、憲法の平和主義の理念や憲法9条の戦争放棄の規定に反する違憲性が明白であれば、明白な憲法違反の行為によって平和が脅かされた場合における国民の生命・身体の安全に対する危険が重大かつ回復不能なものとなることも踏まえ、具体的な政府の行為による結果の発生を確実に予測できない場合でも、侵害行為の態様と侵害される利益の性質を相関的に考慮して、違法な権利利益の侵害になり得ると解するのが、国家賠償法1条1項の違法性の判断の在り方として相当である。
 2 平成26年閣議決定による武力の行使の新3要件における限定的な要件や、その厳格かつ限定的な解釈を示した政府の国会答弁も踏まえて検討すると、平成26年閣議決定や平和安全法制によって、それまで政府の憲法解釈において一貫して許されないと解されてきた集団的自衛権の行使が、このような限定的な場合に限り憲法上容認されると解されることになったとしても、憲法9条1項の規定や憲法の平和主義の理念に明白に違反し、違憲性が明白であると断定することまではできない。
 3 憲法9条1項の下では許されない集団的自衛権の行使を容認する平和安全法制の立法により、平和的生存権、人格権、憲法改正・決定権、国民投票権が侵害されたと主張し、国家賠償法1条1項に基づき、各原告につき慰謝料1万円の損害賠償の支払を求めた請求につき、平成26年閣議決定や平和安全法制によって、違法に原告らに損害を加えたという国家賠償法上の違法性が認められないとして棄却された事例
事件番号令和4(ネ)80
事件名各損害賠償請求控訴事件
裁判所仙台高等裁判所 第2民事部
裁判年月日令和5年12月5日
結果棄却
原審裁判所福島地方裁判所 いわき支部
原審事件番号平成28(ワ)62
事案の概要
原告らは、憲法9条1項の下では許されない集団的自衛権の行使を容認する平和安全法制の立法により、平和的生存権、人格権、憲法改正・決定権、国民投票権が侵害されたと主張し、国家賠償法1条1項に基づき、各原告につき慰謝料1万円の損害賠償と法成立日からの遅延損害金の支払を求めた。
判示事項の要旨
1 閣議決定による憲法解釈の変更と平和安全法制について、憲法の平和主義の理念や憲法9条の戦争放棄の規定に反する違憲性が明白であれば、明白な憲法違反の行為によって平和が脅かされた場合における国民の生命・身体の安全に対する危険が重大かつ回復不能なものとなることも踏まえ、具体的な政府の行為による結果の発生を確実に予測できない場合でも、侵害行為の態様と侵害される利益の性質を相関的に考慮して、違法な権利利益の侵害になり得ると解するのが、国家賠償法1条1項の違法性の判断の在り方として相当である。
 2 平成26年閣議決定による武力の行使の新3要件における限定的な要件や、その厳格かつ限定的な解釈を示した政府の国会答弁も踏まえて検討すると、平成26年閣議決定や平和安全法制によって、それまで政府の憲法解釈において一貫して許されないと解されてきた集団的自衛権の行使が、このような限定的な場合に限り憲法上容認されると解されることになったとしても、憲法9条1項の規定や憲法の平和主義の理念に明白に違反し、違憲性が明白であると断定することまではできない。
 3 憲法9条1項の下では許されない集団的自衛権の行使を容認する平和安全法制の立法により、平和的生存権、人格権、憲法改正・決定権、国民投票権が侵害されたと主張し、国家賠償法1条1項に基づき、各原告につき慰謝料1万円の損害賠償の支払を求めた請求につき、平成26年閣議決定や平和安全法制によって、違法に原告らに損害を加えたという国家賠償法上の違法性が認められないとして棄却された事例
このエントリーをはてなブックマークに追加