事件番号令和5(ネ)10060
事件名損害賠償請求、同反訴請求控訴事件
裁判所知的財産高等裁判所
裁判年月日令和6年1月10日
事件種別著作権・民事訴訟
事案の概要(1) Aは、平成14年頃に被告から依頼を受け、出版社である被告から書籍として出版することを予定して、武士道に関する本件書籍の原稿の執筆をしていたが、完成前の平成27年12月頃、死亡した。Aの妻である原告は、Aの有する本件書籍の出版に関する権利義務を全て相続し、被告との間で本件書籍の出版に向けた交渉をしたが、出版に係る契約(以下「出版契約」又は「出版許諾契約」という。)の締結に至らず、本件書籍は出版されなかった。
(2) 本訴は、原告が、被告とA又は原告との間で本件書籍の出版契約が締結されていないにもかかわらず、被告がインターネット上で本件書籍の出版予告を行ったことが、①本件書籍の原稿の著作者であるAの著作者人格権(公表権)を侵害し、又は、②原告の自己決定権を侵害したと主張して、被告に対し、不法行為に基づく損害賠償請求として、330万円及びこれに対する不法行為の後の日である令和3年7月29日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
(3) 反訴は、被告が、①平成18年頃、Aとの間で、本件書籍を独占的に出版する旨の本件出版許諾契約1を締結し、Aの死後は原告が本件書籍の原稿の著作権及び本件出版許諾契約1上の地位を承継したにもかかわらず、又は、②本件書籍に係る最終稿を被告が原告に送付した令和2年10月26日までに、原告と被告との間で本件書籍の本件出版許諾契約2が成立したにもかかわらず、原告が、令和3年12月22日、本件書籍の出版を拒絶したことにより、出版することができなくなったと主張し、本件出版許諾契約1又は2に係る債務不履行に基づく損害賠償請求として、142万1345円及びこれに対する催告の後の日である令和4年5月10日(反訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
(4) 原判決は、原告の本訴請求及び被告の反訴請求をいずれも棄却し、双方が控訴した。
なお、被告は、控訴審において、反訴請求について、前記(3)の債務不履行に基づく損害賠償請求権に加え、前記(3)と同額の商法512条に基づく相当報酬請求及び契約締結上の過失に基づく損害賠償請求を選択的に追加した。
事件番号令和5(ネ)10060
事件名損害賠償請求、同反訴請求控訴事件
裁判所知的財産高等裁判所
裁判年月日令和6年1月10日
事件種別著作権・民事訴訟
事案の概要
(1) Aは、平成14年頃に被告から依頼を受け、出版社である被告から書籍として出版することを予定して、武士道に関する本件書籍の原稿の執筆をしていたが、完成前の平成27年12月頃、死亡した。Aの妻である原告は、Aの有する本件書籍の出版に関する権利義務を全て相続し、被告との間で本件書籍の出版に向けた交渉をしたが、出版に係る契約(以下「出版契約」又は「出版許諾契約」という。)の締結に至らず、本件書籍は出版されなかった。
(2) 本訴は、原告が、被告とA又は原告との間で本件書籍の出版契約が締結されていないにもかかわらず、被告がインターネット上で本件書籍の出版予告を行ったことが、①本件書籍の原稿の著作者であるAの著作者人格権(公表権)を侵害し、又は、②原告の自己決定権を侵害したと主張して、被告に対し、不法行為に基づく損害賠償請求として、330万円及びこれに対する不法行為の後の日である令和3年7月29日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
(3) 反訴は、被告が、①平成18年頃、Aとの間で、本件書籍を独占的に出版する旨の本件出版許諾契約1を締結し、Aの死後は原告が本件書籍の原稿の著作権及び本件出版許諾契約1上の地位を承継したにもかかわらず、又は、②本件書籍に係る最終稿を被告が原告に送付した令和2年10月26日までに、原告と被告との間で本件書籍の本件出版許諾契約2が成立したにもかかわらず、原告が、令和3年12月22日、本件書籍の出版を拒絶したことにより、出版することができなくなったと主張し、本件出版許諾契約1又は2に係る債務不履行に基づく損害賠償請求として、142万1345円及びこれに対する催告の後の日である令和4年5月10日(反訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
(4) 原判決は、原告の本訴請求及び被告の反訴請求をいずれも棄却し、双方が控訴した。
なお、被告は、控訴審において、反訴請求について、前記(3)の債務不履行に基づく損害賠償請求権に加え、前記(3)と同額の商法512条に基づく相当報酬請求及び契約締結上の過失に基づく損害賠償請求を選択的に追加した。
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