事件番号令和5特(わ)497
事件名臓器の移植に関する法律違反
裁判所東京地方裁判所 刑事第8部
裁判年月日令和5年11月28日
事案の概要被告法人A(以下、単に「被告法人」という。)は、癌及び難病患者への支援に関する事業等を目的として設立された法人、被告人B(以下、単に「被告人」という。)は、被告法人の実質的責任者としてその業務全般を統括管理していたものであるが、被告人は、被告法人の業務に関し、業として行う臓器のあっせんに関する臓器の別ごとの厚生労働大臣の許可を受けないで、業として
第1 令和3年1月31日頃から同年2月15日頃までの間、日本国内のいずれかの場所において、パーソナルコンピューターを用いて、「内閣府認証NPO法人A」「腎・肝・心臓・肺移植の海外渡航に関する支援及び情報提供が私たちの活動です。」「活動を始めてから十数年今日まで百数十名のサポートをして来た実績と経験があります。患者様が聞きたいこと、知りたいこと、医師との意思の疎通を、翻訳並び通訳し仲立つのが私どもの活動です。」「海外の各医療機関へ照会 検査結果、診療情報を英文または中国文に翻訳して海外の医療機関に送信します。」「海外の各医療機関から回答 医師の所見及びの通達がNPO宛てに届きます。移植可否の判断については現地の病院で精密検査を受けて頂く必要があります。」「移植治療の申し込み 手術費用や諸条件を比較検討の上、医療機関を選択します。」「移植手術 手術前の最終検査及びドナーとのマッチング検査を行います。※出発から帰国まで概ね腎・肝移植で1ヶ月~2ヶ月、心臓・肺移植は3ヶ月程度を要します。」「私どもは海外の医療機関と患者様との懸け橋となり、海外の医療機関の情報提供や現地サポートが主な活動となっています。」「お問合せ ▲▲▲-▲▲▲-▲▲▲▲」などと表示した被告法人のホームページのデータファイルを東京都内に設置されたサーバーコンピューター内に記録・保存させ、インターネットを利用する不特定多数の者に閲覧可能な状態にして、臓器移植希望患者を募集し、その頃、日本国内において、同ホームページを閲覧して被告法人に問合せをしてきた腎臓移植を希望する慢性腎臓病患者であるCに対し、同月19日頃、横浜市[以下省略]所在の被告法人事務所において、「アメリカは代金が高い。」「ブルガリア、キルギスは、すぐにできる。」「ドナーは国によって死体の場合もあれば生体の場合もある。」などと説明し、同年12月18日頃、被告人方において、「ベラルーシかカンボジアなら、すぐに移植ができる。」「ベラルーシは、特別に死体ドナーから移植を受ける外国人の枠があり、その外国人枠に登録して選ばれることになる。」などと言って渡航移植を勧めた上、令和4年1月29日頃から同年3月29日頃までの間、Cに、渡航移植費用等として、東京都品川区[以下省略]所在の株式会社D銀行E支店に開設された被告法人名義の普通預金口座に合計1850万円を振り込ませるなどして、Cから死体から摘出される腎臓の移植手術のあっせん依頼を受けるとともに、同月4日頃、被告法人従業員に、Cと共に東京都大田区内の東京国際空港からトルコ共和国を経由してベラルーシ共和国へ渡航させ、その頃から同月11日頃までの間に、同人をベラルーシ共和国所在のF病院に案内して、同人に対し、同病院を腎臓移植実施施設として紹介し、同病院において、同人に外国人枠のレシピエント登録及び治療契約を締結させて、同月13日頃、Cを日本国内に帰国させ、同年6月4日頃、被告法人従業員に、Cと共に前同様の経路でベラルーシ共和国へ渡航させ、同年7月2日頃、同病院において、同人に腎臓の移植手術を受けさせ、もって厚生労働大臣の許可を受けずに業として移植術に使用されるための死体から摘出される腎臓の提供を受けることのあっせんをした
第2 令和3年10月頃、日本国内のいずれかの場所において、パーソナルコンピューターを用いて、「内閣府認証NPO法人 A」「腎・肝・心臓・肺移植の海外渡航に関する支援及び情報提供が私たちの活動です。」「活動を始めてから十数年今日まで百数十名のサポートをして来た実績と経験があります。患者様が聞きたいこと、知りたいこと、医師との意思の疎通を、翻訳並び通訳し仲立つのが私どもの活動です。」「海外の各医療機関へ照会 検査結果、診療情報を英文または中国文に翻訳して海外の医療機関に送信します。」「海外の各医療機関から回答 医師の所見及びの通達がNPO宛てに届きます。移植可否の判断については現地の病院で精密検査を受けて頂く必要があります。」「移植治療の申し込み手術費用や諸条件を比較検討の上、医療機関を選択します。」「移植手術 手術前の最終検査及びドナーとのマッチング検査を行います。※出発から帰国まで概ね腎・肝移植で1ヶ月~2ヶ月、心臓・肺移植は3ヶ月程度を要します。」「私どもは2003年の創設以来(NPO登録2007年6月)、亡くなられた方(脳死を含む)の臓器を採用する方針を一貫して守り支援活動して参りました。待機リストへ登録し、ドナーの順番を待つ方式が一般的であり、国内外問わず公知の事実です。」「私どもでは渡航移植の相談を受けた時点で複数の医療機関に照会をして移植希望者の要望に合わせて諸条件(ドナーを含む)の比較検討をきめ細かくおこないます。」「お問合せ ▲▲▲-▲▲▲-▲▲▲▲」などと表示した被告法人のホームページのデータファイルを前記サーバーコンピューター内に記録・保存させ、インターネットを利用する不特定多数の者に閲覧可能な状態にして、臓器移植希望患者を募集し、日本国内において、同ホームページを閲覧して被告法人に問合せをしてきた肝臓移植を希望する肝硬変患者であるGの親族に対し、令和3年11月13日頃、前記事務所において、「渡航移植の料金については、2800万円と予備費500万円が必要です。」「ベラルーシかウズベキスタンかキルギスの3か国のうちのいずれかで臓器移植を受けることができますが、臓器については、生体はあり得ません。」「ぎりぎりの数値だから早くした方がよいですよ。」などと言ってGの親族を介してGに早期の渡航移植を勧めた上、同月18日頃から同年12月27日頃までの間、同人に、渡航移植費用等として、前記被告法人名義の普通預金口座に合計3300万円を振り込ませるなどして、Gから死体から摘出される肝臓の移植手術のあっせん依頼を受けるとともに、同月28日頃、ベラルーシ共和国所在のHセンターと被告法人との間でGに関する治療契約を締結し、令和4年1月9日頃、被告人が、Gと共に東京都大田区内の東京国際空港からトルコ共和国を経由してベラルーシ共和国へ渡航し、その頃から同年2月10日頃までの間、同人を同センターに案内して、同人に対し、同センターを肝臓移植実施施設として紹介し、その頃、同センターにおいて、同人に肝臓の移植手術を受けさせ、もって厚生労働大臣の許可を受けずに業として移植術に使用されるための死体から摘出される肝臓の提供を受けることのあっせんをした
ものである。
事件番号令和5特(わ)497
事件名臓器の移植に関する法律違反
裁判所東京地方裁判所 刑事第8部
裁判年月日令和5年11月28日
事案の概要
被告法人A(以下、単に「被告法人」という。)は、癌及び難病患者への支援に関する事業等を目的として設立された法人、被告人B(以下、単に「被告人」という。)は、被告法人の実質的責任者としてその業務全般を統括管理していたものであるが、被告人は、被告法人の業務に関し、業として行う臓器のあっせんに関する臓器の別ごとの厚生労働大臣の許可を受けないで、業として
第1 令和3年1月31日頃から同年2月15日頃までの間、日本国内のいずれかの場所において、パーソナルコンピューターを用いて、「内閣府認証NPO法人A」「腎・肝・心臓・肺移植の海外渡航に関する支援及び情報提供が私たちの活動です。」「活動を始めてから十数年今日まで百数十名のサポートをして来た実績と経験があります。患者様が聞きたいこと、知りたいこと、医師との意思の疎通を、翻訳並び通訳し仲立つのが私どもの活動です。」「海外の各医療機関へ照会 検査結果、診療情報を英文または中国文に翻訳して海外の医療機関に送信します。」「海外の各医療機関から回答 医師の所見及びの通達がNPO宛てに届きます。移植可否の判断については現地の病院で精密検査を受けて頂く必要があります。」「移植治療の申し込み 手術費用や諸条件を比較検討の上、医療機関を選択します。」「移植手術 手術前の最終検査及びドナーとのマッチング検査を行います。※出発から帰国まで概ね腎・肝移植で1ヶ月~2ヶ月、心臓・肺移植は3ヶ月程度を要します。」「私どもは海外の医療機関と患者様との懸け橋となり、海外の医療機関の情報提供や現地サポートが主な活動となっています。」「お問合せ ▲▲▲-▲▲▲-▲▲▲▲」などと表示した被告法人のホームページのデータファイルを東京都内に設置されたサーバーコンピューター内に記録・保存させ、インターネットを利用する不特定多数の者に閲覧可能な状態にして、臓器移植希望患者を募集し、その頃、日本国内において、同ホームページを閲覧して被告法人に問合せをしてきた腎臓移植を希望する慢性腎臓病患者であるCに対し、同月19日頃、横浜市[以下省略]所在の被告法人事務所において、「アメリカは代金が高い。」「ブルガリア、キルギスは、すぐにできる。」「ドナーは国によって死体の場合もあれば生体の場合もある。」などと説明し、同年12月18日頃、被告人方において、「ベラルーシかカンボジアなら、すぐに移植ができる。」「ベラルーシは、特別に死体ドナーから移植を受ける外国人の枠があり、その外国人枠に登録して選ばれることになる。」などと言って渡航移植を勧めた上、令和4年1月29日頃から同年3月29日頃までの間、Cに、渡航移植費用等として、東京都品川区[以下省略]所在の株式会社D銀行E支店に開設された被告法人名義の普通預金口座に合計1850万円を振り込ませるなどして、Cから死体から摘出される腎臓の移植手術のあっせん依頼を受けるとともに、同月4日頃、被告法人従業員に、Cと共に東京都大田区内の東京国際空港からトルコ共和国を経由してベラルーシ共和国へ渡航させ、その頃から同月11日頃までの間に、同人をベラルーシ共和国所在のF病院に案内して、同人に対し、同病院を腎臓移植実施施設として紹介し、同病院において、同人に外国人枠のレシピエント登録及び治療契約を締結させて、同月13日頃、Cを日本国内に帰国させ、同年6月4日頃、被告法人従業員に、Cと共に前同様の経路でベラルーシ共和国へ渡航させ、同年7月2日頃、同病院において、同人に腎臓の移植手術を受けさせ、もって厚生労働大臣の許可を受けずに業として移植術に使用されるための死体から摘出される腎臓の提供を受けることのあっせんをした
第2 令和3年10月頃、日本国内のいずれかの場所において、パーソナルコンピューターを用いて、「内閣府認証NPO法人 A」「腎・肝・心臓・肺移植の海外渡航に関する支援及び情報提供が私たちの活動です。」「活動を始めてから十数年今日まで百数十名のサポートをして来た実績と経験があります。患者様が聞きたいこと、知りたいこと、医師との意思の疎通を、翻訳並び通訳し仲立つのが私どもの活動です。」「海外の各医療機関へ照会 検査結果、診療情報を英文または中国文に翻訳して海外の医療機関に送信します。」「海外の各医療機関から回答 医師の所見及びの通達がNPO宛てに届きます。移植可否の判断については現地の病院で精密検査を受けて頂く必要があります。」「移植治療の申し込み手術費用や諸条件を比較検討の上、医療機関を選択します。」「移植手術 手術前の最終検査及びドナーとのマッチング検査を行います。※出発から帰国まで概ね腎・肝移植で1ヶ月~2ヶ月、心臓・肺移植は3ヶ月程度を要します。」「私どもは2003年の創設以来(NPO登録2007年6月)、亡くなられた方(脳死を含む)の臓器を採用する方針を一貫して守り支援活動して参りました。待機リストへ登録し、ドナーの順番を待つ方式が一般的であり、国内外問わず公知の事実です。」「私どもでは渡航移植の相談を受けた時点で複数の医療機関に照会をして移植希望者の要望に合わせて諸条件(ドナーを含む)の比較検討をきめ細かくおこないます。」「お問合せ ▲▲▲-▲▲▲-▲▲▲▲」などと表示した被告法人のホームページのデータファイルを前記サーバーコンピューター内に記録・保存させ、インターネットを利用する不特定多数の者に閲覧可能な状態にして、臓器移植希望患者を募集し、日本国内において、同ホームページを閲覧して被告法人に問合せをしてきた肝臓移植を希望する肝硬変患者であるGの親族に対し、令和3年11月13日頃、前記事務所において、「渡航移植の料金については、2800万円と予備費500万円が必要です。」「ベラルーシかウズベキスタンかキルギスの3か国のうちのいずれかで臓器移植を受けることができますが、臓器については、生体はあり得ません。」「ぎりぎりの数値だから早くした方がよいですよ。」などと言ってGの親族を介してGに早期の渡航移植を勧めた上、同月18日頃から同年12月27日頃までの間、同人に、渡航移植費用等として、前記被告法人名義の普通預金口座に合計3300万円を振り込ませるなどして、Gから死体から摘出される肝臓の移植手術のあっせん依頼を受けるとともに、同月28日頃、ベラルーシ共和国所在のHセンターと被告法人との間でGに関する治療契約を締結し、令和4年1月9日頃、被告人が、Gと共に東京都大田区内の東京国際空港からトルコ共和国を経由してベラルーシ共和国へ渡航し、その頃から同年2月10日頃までの間、同人を同センターに案内して、同人に対し、同センターを肝臓移植実施施設として紹介し、その頃、同センターにおいて、同人に肝臓の移植手術を受けさせ、もって厚生労働大臣の許可を受けずに業として移植術に使用されるための死体から摘出される肝臓の提供を受けることのあっせんをした
ものである。
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