事件番号令和3(わ)1097
事件名業務上過失致死
裁判所大阪地方裁判所 第3刑事部
裁判年月日令和6年4月15日
事案の概要本件は、医師である被告人による医療過誤の事案である。
被告人は、大阪府寝屋川市(以下省略)社会医療法人甲病院に勤務する医師として患者の診察等の医療業務に従事していたものであるが、平成29年11月22日、同病院救急処置室において、A(当時68歳ないし69歳)に対し、その鼠径部から中心静脈カテーテルを挿入するに当たり、カテーテルを静脈内に適切に導入するため先に静脈内に挿入したガイドワイヤをカテーテル挿入後に抜去せず体内に遺残した場合には、心タンポナーデ、血管穿孔等により前記Aが死亡するおそれがあったのであるから、カテーテル挿入時にはガイドワイヤを確実に把持し、カテーテル挿入後にはこれを確実に抜去すべきことはもとより、同カテーテル挿入後、平成30年1月31日まで同病院に入院した前記Aの主治医として引き続き肺炎等の治療を行い、平成29年11月22日に1回、同月25日に1回、同月29日に1回、同月30日に2回、平成30年12月4日に1回、同月9日に1回、同月25日に1回と、計8回にわたり前記Aの胸腹部のレントゲン撮影をした上、これらのレントゲン写真には、いずれも同人の右心室付近から右頸静脈付近に遺残されたガイドワイヤの陰影が撮影されており、これを確認したのであるから、前記カテーテル挿入後、平成30年1月31日に前記Aが大阪市(以下省略)社会医療法人乙病院に転院するまでの間、同陰影の原因を調査して特定するとともに、前記カテーテル挿入後、平成29年12月4日までの間、自らないし専門医に依頼してガイドワイヤを取り除くべき業務上の注意義務があるのにこれを怠り、カテーテルを挿入する際、ガイドワイヤを確実に把持せず、カテーテル挿入後のガイドワイヤの抜去を失念してガイドワイヤを前記Aの体内に遺残した上、前記陰影の原因を調査して特定せず、自らないし専門医に依頼してガイドワイヤを取り除くこともなく、漫然と前記ガイドワイヤを前記Aの右心室内に放置した過失により、平成30年2月5日、転院先の前記乙病院において、同病院医師が前記カテーテル及びこれに癒着していた前記ガイドワイヤを同時に抜去した際、同抜去に伴うガイドワイヤの動きなどにより、前記右心室壁の一部を穿孔させ、よって、同日午後3時50分頃、同所において、前記Aを右心室壁穿孔による心タンポナーデにより死亡させた。
事件番号令和3(わ)1097
事件名業務上過失致死
裁判所大阪地方裁判所 第3刑事部
裁判年月日令和6年4月15日
事案の概要
本件は、医師である被告人による医療過誤の事案である。
被告人は、大阪府寝屋川市(以下省略)社会医療法人甲病院に勤務する医師として患者の診察等の医療業務に従事していたものであるが、平成29年11月22日、同病院救急処置室において、A(当時68歳ないし69歳)に対し、その鼠径部から中心静脈カテーテルを挿入するに当たり、カテーテルを静脈内に適切に導入するため先に静脈内に挿入したガイドワイヤをカテーテル挿入後に抜去せず体内に遺残した場合には、心タンポナーデ、血管穿孔等により前記Aが死亡するおそれがあったのであるから、カテーテル挿入時にはガイドワイヤを確実に把持し、カテーテル挿入後にはこれを確実に抜去すべきことはもとより、同カテーテル挿入後、平成30年1月31日まで同病院に入院した前記Aの主治医として引き続き肺炎等の治療を行い、平成29年11月22日に1回、同月25日に1回、同月29日に1回、同月30日に2回、平成30年12月4日に1回、同月9日に1回、同月25日に1回と、計8回にわたり前記Aの胸腹部のレントゲン撮影をした上、これらのレントゲン写真には、いずれも同人の右心室付近から右頸静脈付近に遺残されたガイドワイヤの陰影が撮影されており、これを確認したのであるから、前記カテーテル挿入後、平成30年1月31日に前記Aが大阪市(以下省略)社会医療法人乙病院に転院するまでの間、同陰影の原因を調査して特定するとともに、前記カテーテル挿入後、平成29年12月4日までの間、自らないし専門医に依頼してガイドワイヤを取り除くべき業務上の注意義務があるのにこれを怠り、カテーテルを挿入する際、ガイドワイヤを確実に把持せず、カテーテル挿入後のガイドワイヤの抜去を失念してガイドワイヤを前記Aの体内に遺残した上、前記陰影の原因を調査して特定せず、自らないし専門医に依頼してガイドワイヤを取り除くこともなく、漫然と前記ガイドワイヤを前記Aの右心室内に放置した過失により、平成30年2月5日、転院先の前記乙病院において、同病院医師が前記カテーテル及びこれに癒着していた前記ガイドワイヤを同時に抜去した際、同抜去に伴うガイドワイヤの動きなどにより、前記右心室壁の一部を穿孔させ、よって、同日午後3時50分頃、同所において、前記Aを右心室壁穿孔による心タンポナーデにより死亡させた。
このエントリーをはてなブックマークに追加