事件番号令和5(ネ)4
事件名本訴損害賠償等・反訴請負代金等請求控訴事件
裁判所大阪高等裁判所 第13民事部
裁判年月日令和6年3月14日
結果破棄自判
原審裁判所大阪地方裁判所
原審事件番号令和2(ワ)7462
事案の概要(1) 基本的事実関係
第1審原告夫妻は本件建物のリフォーム工事を計画し、同Bは、夫である同A名義で、第1審被告土屋ホームに対して本件建築申込みをして本件申込金10万円を支払った後、本件建物において、同土屋ホームとの間で本件リフォーム工事に関する本件各契約を締結し、第1審原告Aは本件建築申込み及び本件各契約を追認した。
第1審被告土屋ホームは、本件リフォーム工事において、同YKKが製造して引き渡した本件製品(商品名「上げ下げロール網戸XMW」)を本件建物2階の本件窓(腰高窓)に設置した。本件リフォーム工事が一部を残して完成し、第1審原告家族が本件建物での生活を開始してから間もなく、同夫妻の娘であるD(当時6歳)は、第1審原告らの外出中、本件製品に付属する本件コード(網戸の昇降をするための操作コード〔以下「コード」と「ひも」を同義で用いる。〕)が首に絡まって縊死した(本件事故)
本件事故後、第1審原告Aは、本件建築申込み及び本件各契約について本件クーリングオフをした。
(2) 本訴
第1審原告らは、第1審被告YKKが製造した本件製品の欠陥(設計上又は指示・警告上の欠陥)及び同土屋ホームの従業員の注意義務違反(本件製品の選定、使用方法の説明等に関する注意義務違反)により本件事故が発生したと主張して、同YKKに対しては製造物責任法3条1項に基づき、同土屋ホームに対しては民法715条1項又は709条に基づき、損害賠償金及びこれに対する令和元年11月18日(本件事故日)から支払済みまで改正前民法所定の年5%の割合による遅延損害金の連帯支払を求めている。
また、第1審原告Aは、法定書面が交付されていないからクーリングオフ行使期間は進行しておらず、本件クーリングオフは有効であると主張して、第1審被告土屋ホームに対し、特商法9条6項に基づき、本件申込金の返還及びこれに対する令和2年5月1日(支払期日の翌日)から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の支払を求めている。
(3) 反訴
第1審被告土屋ホームは、第1審原告Aに対し、本件各契約に基づき、本件申込金を控除した残代金及びこれに対する令和元年12月1日(約定支払期日の翌日)から支払済みまで約定の年6%の割合による遅延損害金の支払を求めている。これに対し、第1審原告Aは、本件各契約は本件クーリングオフにより解除された旨主張している。

原審は、本件製品に欠陥があったとも、第1審被告土屋ホームの従業員に注意義務違反があったとも認められないから、本件事故の発生について第1審被告らは損害賠償責任を負わないと判断するとともに、本件クーリングオフは有効であると判断した。そして、原審は、本訴について、第1審原告Aの本件申込金返還請求を認容して(原判決主文1項)、第1審原告らの損害賠償請求をいずれも棄却し(原判決主文2項)、反訴について、第1審土屋ホームの代金請求を棄却した(原判決主文3項)
これに対し、第1審原告らがその敗訴部分(本訴損害賠償請求棄却部分)を不服として上記第1記載のとおりの各控訴を提起し、第1審被告土屋ホームがその敗訴部分(本訴申込金返還請求認容部分及び反訴請求棄却部分)を不服として上記第2記載のとおりの控訴を提起した。
判示事項の要旨1 ループを形成する操作コードの付属した上げ下げロール網戸について、製造物
責任法3条の欠陥(指示・警告上の欠陥)があったと認められた事例
2 上げ下げロール網戸を設置したリフォーム業者に操作コードの危険性等につい
て説明しなかったなどの注意義務違反があったと認められた事例
3 リフォーム工事の請負契約等について特定商取引に関する法律に基づくクーリ
ングオフが認められた事例
事件番号令和5(ネ)4
事件名本訴損害賠償等・反訴請負代金等請求控訴事件
裁判所大阪高等裁判所 第13民事部
裁判年月日令和6年3月14日
結果破棄自判
原審裁判所大阪地方裁判所
原審事件番号令和2(ワ)7462
事案の概要
(1) 基本的事実関係
第1審原告夫妻は本件建物のリフォーム工事を計画し、同Bは、夫である同A名義で、第1審被告土屋ホームに対して本件建築申込みをして本件申込金10万円を支払った後、本件建物において、同土屋ホームとの間で本件リフォーム工事に関する本件各契約を締結し、第1審原告Aは本件建築申込み及び本件各契約を追認した。
第1審被告土屋ホームは、本件リフォーム工事において、同YKKが製造して引き渡した本件製品(商品名「上げ下げロール網戸XMW」)を本件建物2階の本件窓(腰高窓)に設置した。本件リフォーム工事が一部を残して完成し、第1審原告家族が本件建物での生活を開始してから間もなく、同夫妻の娘であるD(当時6歳)は、第1審原告らの外出中、本件製品に付属する本件コード(網戸の昇降をするための操作コード〔以下「コード」と「ひも」を同義で用いる。〕)が首に絡まって縊死した(本件事故)
本件事故後、第1審原告Aは、本件建築申込み及び本件各契約について本件クーリングオフをした。
(2) 本訴
第1審原告らは、第1審被告YKKが製造した本件製品の欠陥(設計上又は指示・警告上の欠陥)及び同土屋ホームの従業員の注意義務違反(本件製品の選定、使用方法の説明等に関する注意義務違反)により本件事故が発生したと主張して、同YKKに対しては製造物責任法3条1項に基づき、同土屋ホームに対しては民法715条1項又は709条に基づき、損害賠償金及びこれに対する令和元年11月18日(本件事故日)から支払済みまで改正前民法所定の年5%の割合による遅延損害金の連帯支払を求めている。
また、第1審原告Aは、法定書面が交付されていないからクーリングオフ行使期間は進行しておらず、本件クーリングオフは有効であると主張して、第1審被告土屋ホームに対し、特商法9条6項に基づき、本件申込金の返還及びこれに対する令和2年5月1日(支払期日の翌日)から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の支払を求めている。
(3) 反訴
第1審被告土屋ホームは、第1審原告Aに対し、本件各契約に基づき、本件申込金を控除した残代金及びこれに対する令和元年12月1日(約定支払期日の翌日)から支払済みまで約定の年6%の割合による遅延損害金の支払を求めている。これに対し、第1審原告Aは、本件各契約は本件クーリングオフにより解除された旨主張している。

原審は、本件製品に欠陥があったとも、第1審被告土屋ホームの従業員に注意義務違反があったとも認められないから、本件事故の発生について第1審被告らは損害賠償責任を負わないと判断するとともに、本件クーリングオフは有効であると判断した。そして、原審は、本訴について、第1審原告Aの本件申込金返還請求を認容して(原判決主文1項)、第1審原告らの損害賠償請求をいずれも棄却し(原判決主文2項)、反訴について、第1審土屋ホームの代金請求を棄却した(原判決主文3項)
これに対し、第1審原告らがその敗訴部分(本訴損害賠償請求棄却部分)を不服として上記第1記載のとおりの各控訴を提起し、第1審被告土屋ホームがその敗訴部分(本訴申込金返還請求認容部分及び反訴請求棄却部分)を不服として上記第2記載のとおりの控訴を提起した。
判示事項の要旨
1 ループを形成する操作コードの付属した上げ下げロール網戸について、製造物
責任法3条の欠陥(指示・警告上の欠陥)があったと認められた事例
2 上げ下げロール網戸を設置したリフォーム業者に操作コードの危険性等につい
て説明しなかったなどの注意義務違反があったと認められた事例
3 リフォーム工事の請負契約等について特定商取引に関する法律に基づくクーリ
ングオフが認められた事例
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