事件番号令和3(行コ)79
事件名障害基礎年金の支給停止を解除しない処分の取消等、障害基礎年金支給停止処分取消、障害基礎年金の支給停止を解除しない処分の取消請求控訴事件
裁判所大阪高等裁判所 第14民事部
裁判年月日令和6年4月19日
結果破棄自判
原審裁判所大阪地方裁判所
原審事件番号平成29(行ウ)230
事案の概要(1) 控訴人ら及び1審原告X5は、いずれも1型糖尿病に罹患し、障害等級(国民年金法(法)30条2項による委任を受けた国民年金法施行令(令)別表に定める障害等級)2級に該当する程度の障害の状態にあるとして、障害基礎年金の受給を受けていた。しかし、平成28年に、控訴人ら7名及び1審原告X5については、それぞれ支給停止処分(前件各支給停止処分)がされ、控訴人X9については、平成21年にされていた支給停止処分につき、支給停止処分に係る支給停止を解除しない旨の処分(前件不解除処分、前件各支給停止処分と併せて前件各処分)がされた。
(2) 平成29年、控訴人ら7名及び1審原告X5は前件各支給停止処分の取消しを求め(大阪地方裁判所同年(行ウ)第220号、第223~229号事件)、控訴人X9は前件不解除処分の取消し及び行政事件訴訟法(行訴法)3条6項2号に基づき支給停止を解除する処分をすべき旨を命ずること(同号所定の義務付け)を求めて(1審甲事件)、訴訟を提起した。大阪地方裁判所は、平成31年、控訴人ら7名及び1審原告X5の請求について、前件各支給停止処分は行政手続法(行手法)14条1項本文の定める理由提示の要件を欠き、違法であるとして、前件各支給停止処分を取り消すとともに、1審甲事件について、行訴法37条の3第6項前段に基づき、前件不解除処分の取消しを求める訴えについてのみ、前件不解除処分は行手法8条1項本文の定める理由提示の要件を欠き、違法であるとして、前件不解除処分を取り消す旨の判決をし(前件判決)、前件判決は確定した。
(3) 厚生労働大臣は、令和元年、控訴人ら7名及び1審原告X5に対し、それぞれ支給停止処分(本件各支給停止処分)をするとともに、控訴人X9に対し、支給停止を解除しない旨の処分(本件不解除処分、本件各支給停止処分と併せて本件各処分)をした。
(4) 控訴人ら7名及び1審原告X5は、同年、本件各支給停止処分は、前件判決の反復禁止効に反するほか、支給停止事由を欠き、行手法14条1項本文の定める理由提示の要件を欠くなどの理由により違法であると主張して、その取消しを求めて、1審乙事件の訴えを提起した。また、控訴人X9も、同年、甲事件の義務付けの訴えに、本件不解除処分は、前件判決の反復禁止効に反するほか、支給停止解除事由があり、行手法8条1項本文の定める理由提示の要件を欠くなどの理由により違法であると主張して、行訴法19条に基づき、本件不解除処分の取消しを求める訴えを追加的に併合提起した(1審丙事件)
(5) 原審は、令和3年、本件各処分につき、前件判決の反復禁止効への抵触、行手法の定める理由提示の要件を欠く、権限の濫用といった違法はなく、控訴人ら及び1審原告X5が主張する平等原則違反、授権的行政行為の撤回として許されない旨の主張は前提を欠くと判断した上で、控訴人ら7名には支給停止事由があり、控訴人X9には支給停止解除事由がないが、1審原告X5には支給停止事由がないと判断し、1審原告X5に係る本件各支給停止処分を取り消し、控訴人ら7名に係る本件各支給停止処分及び控訴人X9に対する本件不解除処分の取消を求める請求をいずれも棄却し、控訴人X9の義務付けの訴えを本件不解除が適法であることを理由として却下した。
判示事項の要旨1型糖尿病に罹患し、国民年金法に基づく障害基礎年金の支給を受けていた者7名に対してされた同法36条2項本文に基づく支給停止処分、及び1型糖尿病に罹患し、同項本文の規定に基づく支給停止処分を受けた者に対してされた支給停止を解除しない旨の処分につき、違法であるとはいえないとした原判決を取り消し、当審判示の事実関係の下で、いずれも違法であるとした事例
事件番号令和3(行コ)79
事件名障害基礎年金の支給停止を解除しない処分の取消等、障害基礎年金支給停止処分取消、障害基礎年金の支給停止を解除しない処分の取消請求控訴事件
裁判所大阪高等裁判所 第14民事部
裁判年月日令和6年4月19日
結果破棄自判
原審裁判所大阪地方裁判所
原審事件番号平成29(行ウ)230
事案の概要
(1) 控訴人ら及び1審原告X5は、いずれも1型糖尿病に罹患し、障害等級(国民年金法(法)30条2項による委任を受けた国民年金法施行令(令)別表に定める障害等級)2級に該当する程度の障害の状態にあるとして、障害基礎年金の受給を受けていた。しかし、平成28年に、控訴人ら7名及び1審原告X5については、それぞれ支給停止処分(前件各支給停止処分)がされ、控訴人X9については、平成21年にされていた支給停止処分につき、支給停止処分に係る支給停止を解除しない旨の処分(前件不解除処分、前件各支給停止処分と併せて前件各処分)がされた。
(2) 平成29年、控訴人ら7名及び1審原告X5は前件各支給停止処分の取消しを求め(大阪地方裁判所同年(行ウ)第220号、第223~229号事件)、控訴人X9は前件不解除処分の取消し及び行政事件訴訟法(行訴法)3条6項2号に基づき支給停止を解除する処分をすべき旨を命ずること(同号所定の義務付け)を求めて(1審甲事件)、訴訟を提起した。大阪地方裁判所は、平成31年、控訴人ら7名及び1審原告X5の請求について、前件各支給停止処分は行政手続法(行手法)14条1項本文の定める理由提示の要件を欠き、違法であるとして、前件各支給停止処分を取り消すとともに、1審甲事件について、行訴法37条の3第6項前段に基づき、前件不解除処分の取消しを求める訴えについてのみ、前件不解除処分は行手法8条1項本文の定める理由提示の要件を欠き、違法であるとして、前件不解除処分を取り消す旨の判決をし(前件判決)、前件判決は確定した。
(3) 厚生労働大臣は、令和元年、控訴人ら7名及び1審原告X5に対し、それぞれ支給停止処分(本件各支給停止処分)をするとともに、控訴人X9に対し、支給停止を解除しない旨の処分(本件不解除処分、本件各支給停止処分と併せて本件各処分)をした。
(4) 控訴人ら7名及び1審原告X5は、同年、本件各支給停止処分は、前件判決の反復禁止効に反するほか、支給停止事由を欠き、行手法14条1項本文の定める理由提示の要件を欠くなどの理由により違法であると主張して、その取消しを求めて、1審乙事件の訴えを提起した。また、控訴人X9も、同年、甲事件の義務付けの訴えに、本件不解除処分は、前件判決の反復禁止効に反するほか、支給停止解除事由があり、行手法8条1項本文の定める理由提示の要件を欠くなどの理由により違法であると主張して、行訴法19条に基づき、本件不解除処分の取消しを求める訴えを追加的に併合提起した(1審丙事件)
(5) 原審は、令和3年、本件各処分につき、前件判決の反復禁止効への抵触、行手法の定める理由提示の要件を欠く、権限の濫用といった違法はなく、控訴人ら及び1審原告X5が主張する平等原則違反、授権的行政行為の撤回として許されない旨の主張は前提を欠くと判断した上で、控訴人ら7名には支給停止事由があり、控訴人X9には支給停止解除事由がないが、1審原告X5には支給停止事由がないと判断し、1審原告X5に係る本件各支給停止処分を取り消し、控訴人ら7名に係る本件各支給停止処分及び控訴人X9に対する本件不解除処分の取消を求める請求をいずれも棄却し、控訴人X9の義務付けの訴えを本件不解除が適法であることを理由として却下した。
判示事項の要旨
1型糖尿病に罹患し、国民年金法に基づく障害基礎年金の支給を受けていた者7名に対してされた同法36条2項本文に基づく支給停止処分、及び1型糖尿病に罹患し、同項本文の規定に基づく支給停止処分を受けた者に対してされた支給停止を解除しない旨の処分につき、違法であるとはいえないとした原判決を取り消し、当審判示の事実関係の下で、いずれも違法であるとした事例
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