事件番号令和4(わ)588
事件名業務上過失致死
裁判所仙台地方裁判所 第1刑事部
裁判年月日令和6年4月16日
結果その他
事案の概要被告人に対する本件公訴事実の要旨は、「分離前相被告人 a は、仙台市【住所省略】に当時の本店及び仙台事業所を置き、電気通信機器用電気磁気材料、部品及びその応用製品の製造販売等を営む事業者、分離前相被告人 b は、a のマグネティック・センサ&アクチュエータ事業本部生産推進部製造グループ(マグネット)マネージャーとして同グループの作業における労働者の安全を管理していたもの、被告人は、令和元年8月16日まで前記 b の前任者として同グループマネージャーを務め、その後、前記マグネティック・センサ&アクチュエータ事業本部材料製品技術部マグネットグループマネージャーに就任してからも、前記生産推進部製造グループ(マグネット)において、マグネット製造で用いられる焼結炉の修繕・点検などの非定常作業を行う際は、同作業の指揮監督を行っていたものであるが、被告人は、前記仙台事業所LM第1工場において令和2年7月29日に行われたマグネット製造で用いられるL-5焼結炉の焼結室に前記生産推進部製造グループ(マグネット)所属の c(当時50歳)及び前記材料製品技術部マグネットグループ所属の d(当時26歳)らを立ち入らせ、脱落した部品の有無を確認し、これを回収するなどの作業(以下「本件作業」という。)に先立つ同月28日、前記仙台事業所において、前記生産推進部製造グループ(マグネット)所属の e から同室上蓋に断熱材を取り付ける部品が脱落する不具合が生じた旨報告を受けた際、非定常作業である同室の修繕・点検が必要であると判断したのであるから、自ら修繕・点検の作業手順を策定すべきであり、かつ、同手順の策定に当たっては、同室に立ち入って作業を行うことが想定されたから、同室に立ち入る場合は、あらかじめ、同室の空気中の酸素の濃度を18パーセント以上に保つ換気措置及び同室における空気中の酸素の濃度を測定する酸素濃度測定を行い、同室に立ち入っても酸素欠乏によって窒息するおそれのない状態であることを確認した上で、同室に立ち入って作業をするよう前記 b 又は同グループ作業員らに指示すべき業務上の注意義務があるのにこれを怠り、前記 e に対し、同室の修繕・点検作業の準備として同室上蓋の開放を指示したのみで、修繕・点検の作業手順を自ら策定せず、前記 b 又は同グループ作業員らに対し、そのほかに何ら指示を与えず、指揮監督を行わないまま、漫然、前記 c 及び前記 d に同室に立ち入らせて前記作業を行わせた過失により、同月29日午前8時50分頃、同室において、前記 c 及び前記 d に酸素欠乏空気を吸入させて昏倒させ、よって、即時、同所において、両名を酸素欠乏による窒息により死亡させた。」というものである。
本件公訴事実記載の日時場所において、c 及び d が死亡する事故(以下「本件事故」という。)が発生したことに争いはなく、証拠上も容易に認められる。本件の主な争点は、被告人に過失があったか、である。
事件番号令和4(わ)588
事件名業務上過失致死
裁判所仙台地方裁判所 第1刑事部
裁判年月日令和6年4月16日
結果その他
事案の概要
被告人に対する本件公訴事実の要旨は、「分離前相被告人 a は、仙台市【住所省略】に当時の本店及び仙台事業所を置き、電気通信機器用電気磁気材料、部品及びその応用製品の製造販売等を営む事業者、分離前相被告人 b は、a のマグネティック・センサ&アクチュエータ事業本部生産推進部製造グループ(マグネット)マネージャーとして同グループの作業における労働者の安全を管理していたもの、被告人は、令和元年8月16日まで前記 b の前任者として同グループマネージャーを務め、その後、前記マグネティック・センサ&アクチュエータ事業本部材料製品技術部マグネットグループマネージャーに就任してからも、前記生産推進部製造グループ(マグネット)において、マグネット製造で用いられる焼結炉の修繕・点検などの非定常作業を行う際は、同作業の指揮監督を行っていたものであるが、被告人は、前記仙台事業所LM第1工場において令和2年7月29日に行われたマグネット製造で用いられるL-5焼結炉の焼結室に前記生産推進部製造グループ(マグネット)所属の c(当時50歳)及び前記材料製品技術部マグネットグループ所属の d(当時26歳)らを立ち入らせ、脱落した部品の有無を確認し、これを回収するなどの作業(以下「本件作業」という。)に先立つ同月28日、前記仙台事業所において、前記生産推進部製造グループ(マグネット)所属の e から同室上蓋に断熱材を取り付ける部品が脱落する不具合が生じた旨報告を受けた際、非定常作業である同室の修繕・点検が必要であると判断したのであるから、自ら修繕・点検の作業手順を策定すべきであり、かつ、同手順の策定に当たっては、同室に立ち入って作業を行うことが想定されたから、同室に立ち入る場合は、あらかじめ、同室の空気中の酸素の濃度を18パーセント以上に保つ換気措置及び同室における空気中の酸素の濃度を測定する酸素濃度測定を行い、同室に立ち入っても酸素欠乏によって窒息するおそれのない状態であることを確認した上で、同室に立ち入って作業をするよう前記 b 又は同グループ作業員らに指示すべき業務上の注意義務があるのにこれを怠り、前記 e に対し、同室の修繕・点検作業の準備として同室上蓋の開放を指示したのみで、修繕・点検の作業手順を自ら策定せず、前記 b 又は同グループ作業員らに対し、そのほかに何ら指示を与えず、指揮監督を行わないまま、漫然、前記 c 及び前記 d に同室に立ち入らせて前記作業を行わせた過失により、同月29日午前8時50分頃、同室において、前記 c 及び前記 d に酸素欠乏空気を吸入させて昏倒させ、よって、即時、同所において、両名を酸素欠乏による窒息により死亡させた。」というものである。
本件公訴事実記載の日時場所において、c 及び d が死亡する事故(以下「本件事故」という。)が発生したことに争いはなく、証拠上も容易に認められる。本件の主な争点は、被告人に過失があったか、である。
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