事件番号令和4(行ウ)171
事件名更正処分等取消請求事件
裁判所東京地方裁判所
裁判年月日令和6年2月15日
事案の概要本件は、原告が、平成29年5月1日から平成30年4月30日までの事業年度、課税事業年度及び課税期間につき、総勘定元帳に記載した「支払手数料」及び「外注委託費」の各支出を、法人税の所得金額の計算上損金の額に算入するとともに、消費税の計算上課税仕入れに係る支払対価の額に含めたところに基づき、法人税、地方法人税並びに消費税及び地方消費税(以下「消費税等」という。)の確定申告をしたところ、α税務署長から、①上記の支払手数料及び外注委託費はその使途が明らかではないから損金の額に算入できず、課税仕入れに係る支払対価の額にも含まれないとして、法人税、地方法人税及び消費税等の各更正処分等を受け、また、②上記の支払手数料及び外注委託費について隠蔽又は仮装に該当する事実があったとして、上記各税について各重加算税賦課決定処分を受けたため、上記各更正処分等のうち原告の主張する金額を超える部分及び上記各重加算税賦課決定処分の取消しを求める事案である。
判示事項1 除染作業で生じた廃棄物の減容に使用される圧縮袋等の販売等を目的とする株 式会社である原告が、地方自治体が取り扱う圧縮袋等が原告の希望する仕様等になるよう当該地方自治体に働き掛けることに対する報酬として委託先に支出した金員につき、原告の事業の遂行上の必要性が認められないとして、法人税の所得の金額の計算における損金算入が否定された事例

2 上記1の支出金員につき、課税期間の消費税の計算において、課税仕入れに係る支払対価の額への算入が否定された事例

3 上記1の支出は、原告が、委託先による地方自治体への具体的な働き掛けがあったと信じ、それによって依頼内容が達成されたと考えたことによりされたものであるから、国税通則法68条1項にいう事実の隠蔽又は仮装があったとは認め難いとして、重加算税の賦課決定処分のうち、適法な過少申告加算税相当額を超える部分が取り消された事例
裁判要旨1 除染作業で生じた廃棄物の減容に使用される圧縮袋等の販売等を目的とする株  式会社である原告が、地方自治体が取り扱う圧縮袋等が原告の希望する仕様等になるよう当該地方自治体に働き掛けることに対する報酬として委託先に支出した金員につき、委託先との間で、当該地方自治体が取り扱う圧縮袋等について原告が希望する仕様等が実現でき、かつ、原告が取引先(公共工事等の事業者等)に当該圧縮袋等を販売することができた場合に、委託先の何らかの活動があったことを当然の前提として報酬を支払うという合意をしたにもかかわらず、委託先の何らかの活動に起因して原告の希望する仕様等の実現等の結果が生じたとはいえないという判示の事情からすれば、同支出が原告の事業の遂行上必要であったとはいえず、法人税の所得の計算上、損金に算入することはできない。

2 消費税法30条1項に規定する「課税仕入れ」に該当するためには、事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供の対価の額を生じることとなる事業と関連するものでなければならないところ、法人税法の損金として算入できないものについては、「課税仕入れ」に該当しないと解するのが相当であるから、上記1の支出を課税仕入れに係る支払対価の額に算入することはできない。

3 原告が、委託先が当該地方自治体に対して具体的な働き掛けをしたことにより原告の希望する仕様等が実現したと考え、委託先と協議して報酬金額を定めたことに加え、原告と委託先との間の継続的な取引等の存在や、委託先から原告への上記1の支出の一部の返還ないし還流等、原告において上記1の支出をする合理的な根拠となり得る別の事実関係があったとは認められないことなどの判示の事情の下においては、上記1の支出は、国税通則法68条1項にいう隠蔽又は仮装の要件を満たさず、重加算税の賦課決定処分のうち、適法な過少申告加算税相当額を超える部分は違法である。
事件番号令和4(行ウ)171
事件名更正処分等取消請求事件
裁判所東京地方裁判所
裁判年月日令和6年2月15日
事案の概要
本件は、原告が、平成29年5月1日から平成30年4月30日までの事業年度、課税事業年度及び課税期間につき、総勘定元帳に記載した「支払手数料」及び「外注委託費」の各支出を、法人税の所得金額の計算上損金の額に算入するとともに、消費税の計算上課税仕入れに係る支払対価の額に含めたところに基づき、法人税、地方法人税並びに消費税及び地方消費税(以下「消費税等」という。)の確定申告をしたところ、α税務署長から、①上記の支払手数料及び外注委託費はその使途が明らかではないから損金の額に算入できず、課税仕入れに係る支払対価の額にも含まれないとして、法人税、地方法人税及び消費税等の各更正処分等を受け、また、②上記の支払手数料及び外注委託費について隠蔽又は仮装に該当する事実があったとして、上記各税について各重加算税賦課決定処分を受けたため、上記各更正処分等のうち原告の主張する金額を超える部分及び上記各重加算税賦課決定処分の取消しを求める事案である。
判示事項
1 除染作業で生じた廃棄物の減容に使用される圧縮袋等の販売等を目的とする株 式会社である原告が、地方自治体が取り扱う圧縮袋等が原告の希望する仕様等になるよう当該地方自治体に働き掛けることに対する報酬として委託先に支出した金員につき、原告の事業の遂行上の必要性が認められないとして、法人税の所得の金額の計算における損金算入が否定された事例

2 上記1の支出金員につき、課税期間の消費税の計算において、課税仕入れに係る支払対価の額への算入が否定された事例

3 上記1の支出は、原告が、委託先による地方自治体への具体的な働き掛けがあったと信じ、それによって依頼内容が達成されたと考えたことによりされたものであるから、国税通則法68条1項にいう事実の隠蔽又は仮装があったとは認め難いとして、重加算税の賦課決定処分のうち、適法な過少申告加算税相当額を超える部分が取り消された事例
裁判要旨
1 除染作業で生じた廃棄物の減容に使用される圧縮袋等の販売等を目的とする株  式会社である原告が、地方自治体が取り扱う圧縮袋等が原告の希望する仕様等になるよう当該地方自治体に働き掛けることに対する報酬として委託先に支出した金員につき、委託先との間で、当該地方自治体が取り扱う圧縮袋等について原告が希望する仕様等が実現でき、かつ、原告が取引先(公共工事等の事業者等)に当該圧縮袋等を販売することができた場合に、委託先の何らかの活動があったことを当然の前提として報酬を支払うという合意をしたにもかかわらず、委託先の何らかの活動に起因して原告の希望する仕様等の実現等の結果が生じたとはいえないという判示の事情からすれば、同支出が原告の事業の遂行上必要であったとはいえず、法人税の所得の計算上、損金に算入することはできない。

2 消費税法30条1項に規定する「課税仕入れ」に該当するためには、事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供の対価の額を生じることとなる事業と関連するものでなければならないところ、法人税法の損金として算入できないものについては、「課税仕入れ」に該当しないと解するのが相当であるから、上記1の支出を課税仕入れに係る支払対価の額に算入することはできない。

3 原告が、委託先が当該地方自治体に対して具体的な働き掛けをしたことにより原告の希望する仕様等が実現したと考え、委託先と協議して報酬金額を定めたことに加え、原告と委託先との間の継続的な取引等の存在や、委託先から原告への上記1の支出の一部の返還ないし還流等、原告において上記1の支出をする合理的な根拠となり得る別の事実関係があったとは認められないことなどの判示の事情の下においては、上記1の支出は、国税通則法68条1項にいう隠蔽又は仮装の要件を満たさず、重加算税の賦課決定処分のうち、適法な過少申告加算税相当額を超える部分は違法である。
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