事件番号 | 令和6(行ク)30 |
---|---|
事件名 | 仮の差止め申立て事件 |
裁判所 | 東京地方裁判所 |
裁判年月日 | 令和6年2月27日 |
事案の概要 | 本件は、申立人が、厚生労働大臣から、令和3年9月1日付けで、医師国家試験予備試験の受験資格の認定処分(以下「本件認定処分」という。)を受けたところ、厚生労働大臣から、本件認定処分の取消し(以下「本件取消し」という。)を受けようとしているため、本案として、行政事件訴訟法3条7項の差止めの訴えとして、①本件取消し及び②申立人が医師法11条2号に基づく実地修練(以下、単に「実地修練」ということがある。)を行うことに対する妨害(以下「本件妨害」という。)の差止めを求める訴えを提起した上で、これらの仮の差止めを申し立てる事案である。 |
判示事項 | 1 医師法12条に基づく医師国家試験予備試験の受験資格の認定処分に係る職権取消しの仮の差止めの申立てについて、行政事件訴訟法37条の5第2項の「償うことのできない損害を避けるため緊急の必要」があるとされた事例 2 医師法12条に基づく医師国家試験予備試験の受験資格の認定処分に係る職権取消しの仮の差止めの申立てについて、行政事件訴訟法37条の5第2項の「本案について理由があるとみえるとき」に該当するとされた事例 |
裁判要旨 | 1 医師法12条に基づく医師国家試験予備試験の受験資格の認定処分に係る職権取消しの仮の差止めの申立てについて、次の⑴ないし⑶などの判示の事情の下では、行政事件訴訟法37条の5第2項の「償うことのできない損害を避けるため緊急の必要」がある。 ⑴ 医師国家試験予備試験の受験資格の認定処分に係る職権取消しによって、同試験の合格は当然に無効となり、医師法11条2号に基づく実地修練を行うこともできなくなり、医師国家試験の受験資格を得ることができず、医師になることもできないこととなるところ、同職権取消しがされる理由等を前提にすると、申立人が日本において医師になるためには、医学校に入学し直すなどする必要があり、それに要する時間も費用も多大なものとなる。 ⑵ 医師国家試験予備試験の受験資格の認定処分に係る職権取消しによって、申立人が同認定処分を前提に日本において医師として活動すべく費やしてきた時間や費用も無に帰させることとなる。 ⑶ 医師国家試験予備試験の受験資格の認定処分に係る職権取消しがされた後にその取消訴訟及び執行停止を申し立てた場合、その決定までには相応の期間を要し、少なくとも申立人が直近の医師国家試験を受けることは困難となる可能性が高いといえるほか、一度、かかる職権取消しを受けた申立人の実地修練を受け入れる大学病院等があるとは考え難く、それ以降の医師国家試験を受けることも難しいと考えられる。 2 医師法12条に基づく医師国家試験予備試験の受験資格の認定処分につき、申立人が卒業した大学が中医学の学校であり、申立人が取得した医師の資格が中医師のものであって、同条の「外国の医学校を卒業し、又は外国で医師免許を得た者」に当たらないことを理由に、職権取消しがされようとしているところ、一件記録によれば、申立人が卒業した大学は、中医学だけでなく近代西洋医学も研究・教育しており、相当数の近代西洋医学の各科目に相当する内容の履修科目又は取得単位が設定されていることが認められ、申立人は同条の「外国の医学校を卒業」した者に該当し、上記理由により上記職権取消しをすることは違法であると一応認められるから、上記職権取消しに係る仮の差止めの申立ては、行政事件訴訟法37条の5第2項の「本案について理由があるとみえるとき」に該当する。 |
事件番号 | 令和6(行ク)30 |
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事件名 | 仮の差止め申立て事件 |
裁判所 | 東京地方裁判所 |
裁判年月日 | 令和6年2月27日 |
事案の概要 |
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本件は、申立人が、厚生労働大臣から、令和3年9月1日付けで、医師国家試験予備試験の受験資格の認定処分(以下「本件認定処分」という。)を受けたところ、厚生労働大臣から、本件認定処分の取消し(以下「本件取消し」という。)を受けようとしているため、本案として、行政事件訴訟法3条7項の差止めの訴えとして、①本件取消し及び②申立人が医師法11条2号に基づく実地修練(以下、単に「実地修練」ということがある。)を行うことに対する妨害(以下「本件妨害」という。)の差止めを求める訴えを提起した上で、これらの仮の差止めを申し立てる事案である。 |
判示事項 |
1 医師法12条に基づく医師国家試験予備試験の受験資格の認定処分に係る職権取消しの仮の差止めの申立てについて、行政事件訴訟法37条の5第2項の「償うことのできない損害を避けるため緊急の必要」があるとされた事例 2 医師法12条に基づく医師国家試験予備試験の受験資格の認定処分に係る職権取消しの仮の差止めの申立てについて、行政事件訴訟法37条の5第2項の「本案について理由があるとみえるとき」に該当するとされた事例 |
裁判要旨 |
1 医師法12条に基づく医師国家試験予備試験の受験資格の認定処分に係る職権取消しの仮の差止めの申立てについて、次の⑴ないし⑶などの判示の事情の下では、行政事件訴訟法37条の5第2項の「償うことのできない損害を避けるため緊急の必要」がある。 ⑴ 医師国家試験予備試験の受験資格の認定処分に係る職権取消しによって、同試験の合格は当然に無効となり、医師法11条2号に基づく実地修練を行うこともできなくなり、医師国家試験の受験資格を得ることができず、医師になることもできないこととなるところ、同職権取消しがされる理由等を前提にすると、申立人が日本において医師になるためには、医学校に入学し直すなどする必要があり、それに要する時間も費用も多大なものとなる。 ⑵ 医師国家試験予備試験の受験資格の認定処分に係る職権取消しによって、申立人が同認定処分を前提に日本において医師として活動すべく費やしてきた時間や費用も無に帰させることとなる。 ⑶ 医師国家試験予備試験の受験資格の認定処分に係る職権取消しがされた後にその取消訴訟及び執行停止を申し立てた場合、その決定までには相応の期間を要し、少なくとも申立人が直近の医師国家試験を受けることは困難となる可能性が高いといえるほか、一度、かかる職権取消しを受けた申立人の実地修練を受け入れる大学病院等があるとは考え難く、それ以降の医師国家試験を受けることも難しいと考えられる。 2 医師法12条に基づく医師国家試験予備試験の受験資格の認定処分につき、申立人が卒業した大学が中医学の学校であり、申立人が取得した医師の資格が中医師のものであって、同条の「外国の医学校を卒業し、又は外国で医師免許を得た者」に当たらないことを理由に、職権取消しがされようとしているところ、一件記録によれば、申立人が卒業した大学は、中医学だけでなく近代西洋医学も研究・教育しており、相当数の近代西洋医学の各科目に相当する内容の履修科目又は取得単位が設定されていることが認められ、申立人は同条の「外国の医学校を卒業」した者に該当し、上記理由により上記職権取消しをすることは違法であると一応認められるから、上記職権取消しに係る仮の差止めの申立ては、行政事件訴訟法37条の5第2項の「本案について理由があるとみえるとき」に該当する。 |