事件番号令和6(わ)170
事件名業務上過失致死傷被告事件
裁判所静岡地方裁判所 沼津支部 刑事部
裁判年月日令和7年1月20日
事案の概要本件交差点からその左折方向出口(e方面)に通じる道路は最大傾斜15.23%の急な下り坂となっていて、急な下り坂では山車がその重量により加速して制動が困難になりやすいことに加え、山車の制動は基本的に車体と地面に梃子棒を押し当てることによる摩擦力によって行っており、急な下り坂においては梃子棒のみで山車を停止させることは困難であったから、あらかじめ本件交差点内又はその手前の平坦な場所で山車を一旦停止させた上で進路変更する計画を策定し、同計画内容を交通係に指示すべきはもとより、運行日においても、山車に同行し、本件交差点において山車を左に進路変更させる際には同内容を交通係らに指示すべき業務上の注意義務があるのにこれを怠り、運行日前日までの間に、本件交差点内の平坦な場所で山車を一旦停止させることなく、本件交差点内で左に大回りさせ、山車の車体前方を梃子棒で押さえるのみで、前記下り坂の下り傾斜約14.68%の地点まで前進させてから一時停止させる方法により進路変更する計画を策定し、同計画内容を交通係に指示した上、運行日である同年11月3日午前8時41分頃、山車に同行して本件交差点において左に進路変更させる際、山車を本件交差点内の平坦な場所で一旦停止させず、前記計画内容に基づく指示内容のまま山車を本件交差点内で左に大回りさせ、山車の車体前方を梃子棒で押さえさせるのみで、前記下り坂の下り傾斜約14.68%の地点まで前進させた過失により、山車を制動困難な状態にさせ、加速・暴走させて横転させ、折から山車前方にいた引き手のC(当時72歳)に山車を衝突させるなどしたほか、山車の乗員であるD(当時36歳)らを路上に転落させるなどし、よって、Cに両側外傷性血気胸、骨盤骨折及び大動脈損傷等の多発外傷の傷害を負わせ、同日午後0時47分頃、同市(住所省略)所在のE病院において、Cを多発外傷により死亡させるとともに、別紙被害者受傷状況一覧表記載のとおり、Dほか12名に同表記載の傷害をそれぞれ負わせた。(量刑の理由)本件は、地域(静岡県伊豆の国市a区)にある神社の祭りの山車運行において、運行管理等の業務を担当する祭典委員会の副会長であり、山車1台(2号車)の具体的な運行方法の計画・指示、当日の運行に同行した上での指揮等を担当する誘導責任者であった被告人の過失により、山車が交差点(本件交差点)左折方向の下り坂で制御困難な状態に陥って加速・暴走して横転するなどし、山車の前方にいた引き手の男性1名を死亡させたほか、山車の乗員等13名に重軽傷を負わせたという業務上過失致死傷の事案である。
事件番号令和6(わ)170
事件名業務上過失致死傷被告事件
裁判所静岡地方裁判所 沼津支部 刑事部
裁判年月日令和7年1月20日
事案の概要
本件交差点からその左折方向出口(e方面)に通じる道路は最大傾斜15.23%の急な下り坂となっていて、急な下り坂では山車がその重量により加速して制動が困難になりやすいことに加え、山車の制動は基本的に車体と地面に梃子棒を押し当てることによる摩擦力によって行っており、急な下り坂においては梃子棒のみで山車を停止させることは困難であったから、あらかじめ本件交差点内又はその手前の平坦な場所で山車を一旦停止させた上で進路変更する計画を策定し、同計画内容を交通係に指示すべきはもとより、運行日においても、山車に同行し、本件交差点において山車を左に進路変更させる際には同内容を交通係らに指示すべき業務上の注意義務があるのにこれを怠り、運行日前日までの間に、本件交差点内の平坦な場所で山車を一旦停止させることなく、本件交差点内で左に大回りさせ、山車の車体前方を梃子棒で押さえるのみで、前記下り坂の下り傾斜約14.68%の地点まで前進させてから一時停止させる方法により進路変更する計画を策定し、同計画内容を交通係に指示した上、運行日である同年11月3日午前8時41分頃、山車に同行して本件交差点において左に進路変更させる際、山車を本件交差点内の平坦な場所で一旦停止させず、前記計画内容に基づく指示内容のまま山車を本件交差点内で左に大回りさせ、山車の車体前方を梃子棒で押さえさせるのみで、前記下り坂の下り傾斜約14.68%の地点まで前進させた過失により、山車を制動困難な状態にさせ、加速・暴走させて横転させ、折から山車前方にいた引き手のC(当時72歳)に山車を衝突させるなどしたほか、山車の乗員であるD(当時36歳)らを路上に転落させるなどし、よって、Cに両側外傷性血気胸、骨盤骨折及び大動脈損傷等の多発外傷の傷害を負わせ、同日午後0時47分頃、同市(住所省略)所在のE病院において、Cを多発外傷により死亡させるとともに、別紙被害者受傷状況一覧表記載のとおり、Dほか12名に同表記載の傷害をそれぞれ負わせた。(量刑の理由)本件は、地域(静岡県伊豆の国市a区)にある神社の祭りの山車運行において、運行管理等の業務を担当する祭典委員会の副会長であり、山車1台(2号車)の具体的な運行方法の計画・指示、当日の運行に同行した上での指揮等を担当する誘導責任者であった被告人の過失により、山車が交差点(本件交差点)左折方向の下り坂で制御困難な状態に陥って加速・暴走して横転するなどし、山車の前方にいた引き手の男性1名を死亡させたほか、山車の乗員等13名に重軽傷を負わせたという業務上過失致死傷の事案である。
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