事件番号令和5(ワ)3268
事件名国家賠償請求事件
裁判所大阪地方裁判所 第2民事部
裁判年月日令和7年2月28日
事案の概要本件は、次の(1)(3)の各事案である。
(1) 死刑確定者としてe拘置所に収容されている原告a並びに原告aが受けた死刑判決に係る刑事事件の第一審の弁護人であった原告b、原告c及び原告d(以下、原告b、原告c及び原告dを併せて「原告bら」という。)が、原告aが原告b宛てに送付しようとした信書3通につき、e拘置所長がその一部を抹消した3件の措置(以下、これら3件の措置を併せて「本件各措置①」という。)はいずれも違法であると主張して、被告に対し、国家賠償法1条1項に基づき、各自、措置1件あたり3万円(合計9万円)の慰謝料及び原告aについては弁護士費用9000円並びに訴状送達の日の翌日である令和5年5月16日から支払済みまで民法所定の年3パーセントの割合による遅延損害金の支払を求める事案
(2) 原告aが、弁護士であるf(以下「f弁護士」という。)宛てに送付しようとした信書14通につき、e拘置所長がその一部を削除又は抹消した14件の措置(以下、これら14件の措置を併せて「本件各措置②」という。)はいずれも違法であるとして、被告に対し、国家賠償法1条1項に基づき、措置1件あたり3万円(合計42万円)の慰謝料及び弁護士費用4万2000円並びに訴状送達の日の翌日である令和5年5月16日から支払済みまで民法所定の年3パーセントの割合による遅延損害金の支払を求める事案
(3) 原告aが、f弁護士から原告a宛てに送付された書籍3冊及び冊子1冊(別紙1「本件書籍等目録」1ないし4記載の各書籍等。以下、これらを併せて「本件書籍等」という。)並びに本件書籍等に同封されていた信書(以下「本件受信書」という。)につき、e拘置所長が本件受信書の一部を抹消した措置(以下「本件受信書抹消措置」という。)及び本件書籍等を原告aに交付せずf弁護士に引取りを求めた措置(以下「本件書籍等不交付措置」といい、本件受信書抹消措置と併せて「本件各措置③」という。)はいずれも違法であるとして、被告に対し、国家賠償法1条1項に基づき、3万円の慰謝料及び弁護士費用3000円並びに訴状送達の日の翌日である令和5年5月16日から支払済みまで民法所定の年3パーセントの割合による遅延損害金の支払を求める事案
判示事項の要旨【判示事項】 
死刑確定者が弁護士に宛てて発信しようとした信書の一部を抹消又は削除した拘置所長の措置が違法とされた事案

【判決要旨】 
原告が発信しようとした信書の一部の記載内容からは、原告が弁護士に対し、再審請求事件の受任を希望していることや、原告が提起を予定している国家賠償請求事件について法律相談を求めていることを明確かつ容易に読み取ることができることなど、判示の事情の下においては、原告が発信しようとした信書の一部は、原告にとって訴訟の遂行等と同程度に重大な利害に係る用務の処理のために必要なものであり、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律139条1項2号の「訴訟の遂行…その他の死刑確定者の…法律上…の重大な利害に係る用務の処理のため発受する信書」に該当することから、拘置所長が、死刑確定者である原告が発信しようとした信書の一部を削除又は抹消した措置は、職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と上記判断をしたと認め得る事情があるというべきであり、国家賠償法1条1項の適用上、違法である。
事件番号令和5(ワ)3268
事件名国家賠償請求事件
裁判所大阪地方裁判所 第2民事部
裁判年月日令和7年2月28日
事案の概要
本件は、次の(1)(3)の各事案である。
(1) 死刑確定者としてe拘置所に収容されている原告a並びに原告aが受けた死刑判決に係る刑事事件の第一審の弁護人であった原告b、原告c及び原告d(以下、原告b、原告c及び原告dを併せて「原告bら」という。)が、原告aが原告b宛てに送付しようとした信書3通につき、e拘置所長がその一部を抹消した3件の措置(以下、これら3件の措置を併せて「本件各措置①」という。)はいずれも違法であると主張して、被告に対し、国家賠償法1条1項に基づき、各自、措置1件あたり3万円(合計9万円)の慰謝料及び原告aについては弁護士費用9000円並びに訴状送達の日の翌日である令和5年5月16日から支払済みまで民法所定の年3パーセントの割合による遅延損害金の支払を求める事案
(2) 原告aが、弁護士であるf(以下「f弁護士」という。)宛てに送付しようとした信書14通につき、e拘置所長がその一部を削除又は抹消した14件の措置(以下、これら14件の措置を併せて「本件各措置②」という。)はいずれも違法であるとして、被告に対し、国家賠償法1条1項に基づき、措置1件あたり3万円(合計42万円)の慰謝料及び弁護士費用4万2000円並びに訴状送達の日の翌日である令和5年5月16日から支払済みまで民法所定の年3パーセントの割合による遅延損害金の支払を求める事案
(3) 原告aが、f弁護士から原告a宛てに送付された書籍3冊及び冊子1冊(別紙1「本件書籍等目録」1ないし4記載の各書籍等。以下、これらを併せて「本件書籍等」という。)並びに本件書籍等に同封されていた信書(以下「本件受信書」という。)につき、e拘置所長が本件受信書の一部を抹消した措置(以下「本件受信書抹消措置」という。)及び本件書籍等を原告aに交付せずf弁護士に引取りを求めた措置(以下「本件書籍等不交付措置」といい、本件受信書抹消措置と併せて「本件各措置③」という。)はいずれも違法であるとして、被告に対し、国家賠償法1条1項に基づき、3万円の慰謝料及び弁護士費用3000円並びに訴状送達の日の翌日である令和5年5月16日から支払済みまで民法所定の年3パーセントの割合による遅延損害金の支払を求める事案
判示事項の要旨
【判示事項】 
死刑確定者が弁護士に宛てて発信しようとした信書の一部を抹消又は削除した拘置所長の措置が違法とされた事案

【判決要旨】 
原告が発信しようとした信書の一部の記載内容からは、原告が弁護士に対し、再審請求事件の受任を希望していることや、原告が提起を予定している国家賠償請求事件について法律相談を求めていることを明確かつ容易に読み取ることができることなど、判示の事情の下においては、原告が発信しようとした信書の一部は、原告にとって訴訟の遂行等と同程度に重大な利害に係る用務の処理のために必要なものであり、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律139条1項2号の「訴訟の遂行…その他の死刑確定者の…法律上…の重大な利害に係る用務の処理のため発受する信書」に該当することから、拘置所長が、死刑確定者である原告が発信しようとした信書の一部を削除又は抹消した措置は、職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と上記判断をしたと認め得る事情があるというべきであり、国家賠償法1条1項の適用上、違法である。
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