事件番号 | 令和6(わ)1204 |
---|---|
事件名 | 殺人被告事件 |
裁判所 | 千葉地方裁判所 刑事第5部 |
裁判年月日 | 令和7年3月12日 |
事案の概要 | (犯行に至る経緯) 被告人(昭和21年生まれ)は、妻と共に、いずれも最重度の知的障害等を抱える長男(昭和52年生まれ。令和3年9月、誤嚥の影響により死亡)と二男のA(昭和54年生まれ)を、a県b市等の自宅で養育、介護してきたものであるところ、Aが平成16年から長期入所していたa県立の障害者支援施設を平成17年に退所してからは同施設等を中心に複数の支援施設の短期入所を利用していたが、既にその頃までに、Aの障害特性から施設側でも介護に困難を来す状態になっており、自宅での介護も非常に負担の重い状態が続き、令和2年には妻が包丁を持ち出して一家心中すると叫ぶなどし、既に限界を感じていた被告人が、その頃までに前記県立施設へ長期入所を申し込み、その後も、令和5年までに前記県立施設に対し自宅での介護が限界であるとか、別の支援施設に対しこのままではAを殺してしまうかもしれないなどと訴えたもののこれがかなうことはなく、このほか、令和4年の妻の入院を機にAを入院させた精神病院からもやがて入院を断られるようになり、他のa県内の支援施設に入所させようとしても空きがなかったり断られたりしたため、主に自宅での介護が長く続いていた。そうしたところ、Aが自宅を抜け出し近所の店舗でトラブルを起こしたのをきっかけに、被告人は、このままbにいても長期入所等の支援は期待できず、これ以上近隣に迷惑をかけることもできないと考え、令和6年5月下旬、迷惑をかけずに済みそうなc県d郡e村の住宅に転居した。しかし、程なくしてAの暴れる頻度が日に日に増して同年7月2日からは連日となり、同月4日当日もひどく暴れ玄関から外に出ようとしたため、被告人がこれを押さえ付け、Aもおとなしくなったが、被告人は、Aが連日暴れたことが初めてであったことなどから動揺し、高齢の自分か妻のどちらかが先に倒れたらAの面倒をみる人はいないなどと将来を悲観したほか、長く続く限界の状態から解放されたい、Aが自身を傷つけ血だらけになる姿が気の毒でこれ以上見たくないなどと考え、とっさにAを殺して、もう終わりにしようと決意し、付近からテレビアンテナコードを持ち出した。 (犯罪事実) 被告人は、令和6年7月4日午後8時20分頃から同日午後8時37分頃までの間に、c県d郡e村(住所省略)被告人方において、うつ伏せになっていたA(当時44歳)の背中の上にまたがり、殺意をもって、その頸部を、二重に巻き付けたテレビアンテナコードで締め付け、よって、同日午後10時43分頃、同県f市(住所省略)Bメディカルセンターにおいて、Aを頸部圧迫による窒息により死亡させて殺害した。 |
事件番号 | 令和6(わ)1204 |
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事件名 | 殺人被告事件 |
裁判所 | 千葉地方裁判所 刑事第5部 |
裁判年月日 | 令和7年3月12日 |
事案の概要 |
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(犯行に至る経緯) 被告人(昭和21年生まれ)は、妻と共に、いずれも最重度の知的障害等を抱える長男(昭和52年生まれ。令和3年9月、誤嚥の影響により死亡)と二男のA(昭和54年生まれ)を、a県b市等の自宅で養育、介護してきたものであるところ、Aが平成16年から長期入所していたa県立の障害者支援施設を平成17年に退所してからは同施設等を中心に複数の支援施設の短期入所を利用していたが、既にその頃までに、Aの障害特性から施設側でも介護に困難を来す状態になっており、自宅での介護も非常に負担の重い状態が続き、令和2年には妻が包丁を持ち出して一家心中すると叫ぶなどし、既に限界を感じていた被告人が、その頃までに前記県立施設へ長期入所を申し込み、その後も、令和5年までに前記県立施設に対し自宅での介護が限界であるとか、別の支援施設に対しこのままではAを殺してしまうかもしれないなどと訴えたもののこれがかなうことはなく、このほか、令和4年の妻の入院を機にAを入院させた精神病院からもやがて入院を断られるようになり、他のa県内の支援施設に入所させようとしても空きがなかったり断られたりしたため、主に自宅での介護が長く続いていた。そうしたところ、Aが自宅を抜け出し近所の店舗でトラブルを起こしたのをきっかけに、被告人は、このままbにいても長期入所等の支援は期待できず、これ以上近隣に迷惑をかけることもできないと考え、令和6年5月下旬、迷惑をかけずに済みそうなc県d郡e村の住宅に転居した。しかし、程なくしてAの暴れる頻度が日に日に増して同年7月2日からは連日となり、同月4日当日もひどく暴れ玄関から外に出ようとしたため、被告人がこれを押さえ付け、Aもおとなしくなったが、被告人は、Aが連日暴れたことが初めてであったことなどから動揺し、高齢の自分か妻のどちらかが先に倒れたらAの面倒をみる人はいないなどと将来を悲観したほか、長く続く限界の状態から解放されたい、Aが自身を傷つけ血だらけになる姿が気の毒でこれ以上見たくないなどと考え、とっさにAを殺して、もう終わりにしようと決意し、付近からテレビアンテナコードを持ち出した。 (犯罪事実) 被告人は、令和6年7月4日午後8時20分頃から同日午後8時37分頃までの間に、c県d郡e村(住所省略)被告人方において、うつ伏せになっていたA(当時44歳)の背中の上にまたがり、殺意をもって、その頸部を、二重に巻き付けたテレビアンテナコードで締め付け、よって、同日午後10時43分頃、同県f市(住所省略)Bメディカルセンターにおいて、Aを頸部圧迫による窒息により死亡させて殺害した。 |