事件番号令和6(ネ)200
事件名損害賠償請求控訴事件
裁判所大阪高等裁判所 第2民事部
裁判年月日令和7年4月17日
結果破棄自判
原審裁判所大阪地方裁判所
原審事件番号令和2(ワ)4248
事案の概要平成12年5月30日にじん肺法(法)の定めるじん肺管理区分を管理二とする決定(以下「本件決定」ともいう。)を受けた亡Dは、令和2年5月8日、被告に対して国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を求める本件訴えを提起したが、原審係属後に死亡した。亡Dの法定相続人である原告らは、訴訟手続を受け継ぎ、亡Dの基準慰謝料額1100万円について、亡Dの勤務先企業から受領した解決金の同受領日までの確定遅延損害金への充当処理を経た後の弁護士費用を含む損害賠償額は、原判決別表のとおり、原告Aにつき583万7739円、同Bにつき291万8869円、同Cにつき291万8869円であるとして、それぞれ同額及び遅延損害金(慰謝料については令和2年11月13日〔上記解決金受領日の翌日〕から、弁護士費用については平成12年5月30日〔本件決定の日〕から、各支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法〔改正前民法〕所定の年5分の割合による遅延損害金)の支払を求めた。これに対し、被告は、除斥期間の経過等を主張して争った。
原審は、本件における除斥期間の起算点は、亡Dが本件決定を受けた時(平成12年5月30日)ではなく、じん肺を発症したと証拠上認定できる時(亡Dが本件決定を受ける根拠となったじん肺健康診断を受診してエックス線写真撮影を受けた平成11年10月19日)であり、本件訴え提起時(令和2年5月8日)において既に除斥期間を経過しているなどと判断して、原告らの請求をいずれも棄却した。
これに対し、原告らが控訴し、当審において、請求する損害賠償額を、原告Aにつき546万8660円に、同Bにつき273万4330円に、同Cにつき273万4330円に、それぞれ減縮した。
判示事項の要旨じん肺管理区分を管理二とする決定を受けた労働者の国に対する損害賠償請求権の除斥期間の起算点は、じん肺を発症したと証拠上認定できる時(じん肺健康診断時)ではなく、上記管理区分決定を受けた時であると解するのが相当であり、提訴時において除斥期間は経過していないとして、除斥期間の経過を理由に労働者側の請求を棄却した原判決を取り消し、同請求を認容した事例
事件番号令和6(ネ)200
事件名損害賠償請求控訴事件
裁判所大阪高等裁判所 第2民事部
裁判年月日令和7年4月17日
結果破棄自判
原審裁判所大阪地方裁判所
原審事件番号令和2(ワ)4248
事案の概要
平成12年5月30日にじん肺法(法)の定めるじん肺管理区分を管理二とする決定(以下「本件決定」ともいう。)を受けた亡Dは、令和2年5月8日、被告に対して国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を求める本件訴えを提起したが、原審係属後に死亡した。亡Dの法定相続人である原告らは、訴訟手続を受け継ぎ、亡Dの基準慰謝料額1100万円について、亡Dの勤務先企業から受領した解決金の同受領日までの確定遅延損害金への充当処理を経た後の弁護士費用を含む損害賠償額は、原判決別表のとおり、原告Aにつき583万7739円、同Bにつき291万8869円、同Cにつき291万8869円であるとして、それぞれ同額及び遅延損害金(慰謝料については令和2年11月13日〔上記解決金受領日の翌日〕から、弁護士費用については平成12年5月30日〔本件決定の日〕から、各支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法〔改正前民法〕所定の年5分の割合による遅延損害金)の支払を求めた。これに対し、被告は、除斥期間の経過等を主張して争った。
原審は、本件における除斥期間の起算点は、亡Dが本件決定を受けた時(平成12年5月30日)ではなく、じん肺を発症したと証拠上認定できる時(亡Dが本件決定を受ける根拠となったじん肺健康診断を受診してエックス線写真撮影を受けた平成11年10月19日)であり、本件訴え提起時(令和2年5月8日)において既に除斥期間を経過しているなどと判断して、原告らの請求をいずれも棄却した。
これに対し、原告らが控訴し、当審において、請求する損害賠償額を、原告Aにつき546万8660円に、同Bにつき273万4330円に、同Cにつき273万4330円に、それぞれ減縮した。
判示事項の要旨
じん肺管理区分を管理二とする決定を受けた労働者の国に対する損害賠償請求権の除斥期間の起算点は、じん肺を発症したと証拠上認定できる時(じん肺健康診断時)ではなく、上記管理区分決定を受けた時であると解するのが相当であり、提訴時において除斥期間は経過していないとして、除斥期間の経過を理由に労働者側の請求を棄却した原判決を取り消し、同請求を認容した事例
このエントリーをはてなブックマークに追加