事件番号 | 令和3(ワ)149 |
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事件名 | 売買代金等請求事件 |
裁判所 | 長野地方裁判所 民事部 |
裁判年月日 | 令和6年2月9日 |
事案の概要 | 1 請求の内容 ⑴ 主位的請求 ア 防護服の売買契約に基づく代金1億3423万9050円(1着4500円の2万7119着分及び消費税10%)の支払請求 イ 上記アの債務不履行に基づく1342万円(上記アの約10%に相当する弁護士費用)の損害賠償請求 ウ 上記ア及びイに対する催告の日(訴状送達の日)の翌日である令和3年8月21日から支払済みまで約定の年2.6%の割合による遅延損害金の請求 ⑵ 予備的請求 ア 上記⑴アに関し、契約締結準備段階における信義則上の義務違反による債務不履行又は不法行為に基づく1億3481万0182円の損害賠償請求 イ 上記アに対する催告の日(訴え変更申立書送達の日)の翌日である令和3年11月12日から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の請求 2 前提事実(特記のない事実は当事者間に争いがない。) ⑴ 当事者 原告は、婦人服の企画、製造、販売を主たる業務内容とする株式会社であり、被告は、普通地方公共団体である。 ⑵ 新型コロナウイルス感染症の流行(いわゆるコロナ禍)[公知の事実]令和元年12月頃以降、未知の新型コロナウイルス感染症が世界各地に拡大し、本邦でも令和2年1月頃から全国的かつ急速にまん延して、死者を含む感染患者が報告され、指定感染症(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律6条8項)の指定を経て、同年4月7日には新型インフルエンザ等対策特別措置法32条に基づく緊急事態宣言が史上初めて発出され、同月16日には長野県域もその対象となった(同年5月25日解除)。 ⑶ 当事者間の交渉経緯等 ア 被告は、上記コロナ禍で医療用資機材の供給がひっ迫する中、各部局において緊急に物資の調達を進めていたところ、まとまった数の防護服を原告が中国から輸入することができるとの情報に接し、これを医療資材として購入することを考えた。そして、同年4月24日以降、当時の被告副知事A(以下「A副知事」という。)が自ら交渉に当たり、健康福祉部の担当職員又は危機管理部消防課長兼新型コロナウイルス感染症対策室長B(以下「B室長」という。)とともに、原告代表者及び従業員C(以下「C社員」という。)と複数回面談するなどした。 イ 原告は、同月28日の面談の際、被告が健康福祉部で1万着、危機管理部で8万着の防護服計9万着(以下、着数は全て防護服を指す。)を購入する場合は、1着5300円を4500円に値下げし、危機管理部には3万着、3万着及び2万着の3回に分けて納品する旨を説明した。 ウ 同年5月8日午後3時38分頃、被告(A副知事の秘書)から原告に対し、危機管理部が調達する8万着について、同日付けの物品購入状況説明書(以下「本件書面」という。)の電子データを添付したメール(甲10)が送信された。しかし、同日午後7時頃、B室長がC社員に対し、3万着に変更して残りはキャンセルしたい旨を電話で告げ、同日午後8時39分には、危機管理部から原告に対し、本件書面を取り消す旨のメール(甲12)が送信された。 エ そこで、原告は、輸入元の中国企業と協議し、発注した防護服のうち2万着については輸入をキャンセルすることができた。[甲30] オ 健康福祉部に対する納品分1万着については、同月11日頃、原被告間で売買契約書(甲15の1・2)が調印され、同月18日までに納品が完了した。また、危機管理部に対する1回目の納品分3万着(以下「初回3万着」という。)については、同月23日頃、原被告間で売買契約書(甲16)が調印され(この中で、被告が原告に対し代金の支払を遅延したときは年2.6%の割合による遅延損害金を支払う旨が合意された。)、同月27日までに納品が完了した。 カ 一方、原告は、危機管理部に対する2回目の納品分である3万着(以下「本件3万着」という。)については輸入のキャンセルができず、同月27日、被告に対しその引取りを求めた。[甲17、30、乙13] |
事件番号 | 令和3(ワ)149 |
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事件名 | 売買代金等請求事件 |
裁判所 | 長野地方裁判所 民事部 |
裁判年月日 | 令和6年2月9日 |
事案の概要 |
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1 請求の内容 ⑴ 主位的請求 ア 防護服の売買契約に基づく代金1億3423万9050円(1着4500円の2万7119着分及び消費税10%)の支払請求 イ 上記アの債務不履行に基づく1342万円(上記アの約10%に相当する弁護士費用)の損害賠償請求 ウ 上記ア及びイに対する催告の日(訴状送達の日)の翌日である令和3年8月21日から支払済みまで約定の年2.6%の割合による遅延損害金の請求 ⑵ 予備的請求 ア 上記⑴アに関し、契約締結準備段階における信義則上の義務違反による債務不履行又は不法行為に基づく1億3481万0182円の損害賠償請求 イ 上記アに対する催告の日(訴え変更申立書送達の日)の翌日である令和3年11月12日から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の請求 2 前提事実(特記のない事実は当事者間に争いがない。) ⑴ 当事者 原告は、婦人服の企画、製造、販売を主たる業務内容とする株式会社であり、被告は、普通地方公共団体である。 ⑵ 新型コロナウイルス感染症の流行(いわゆるコロナ禍)[公知の事実]令和元年12月頃以降、未知の新型コロナウイルス感染症が世界各地に拡大し、本邦でも令和2年1月頃から全国的かつ急速にまん延して、死者を含む感染患者が報告され、指定感染症(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律6条8項)の指定を経て、同年4月7日には新型インフルエンザ等対策特別措置法32条に基づく緊急事態宣言が史上初めて発出され、同月16日には長野県域もその対象となった(同年5月25日解除)。 ⑶ 当事者間の交渉経緯等 ア 被告は、上記コロナ禍で医療用資機材の供給がひっ迫する中、各部局において緊急に物資の調達を進めていたところ、まとまった数の防護服を原告が中国から輸入することができるとの情報に接し、これを医療資材として購入することを考えた。そして、同年4月24日以降、当時の被告副知事A(以下「A副知事」という。)が自ら交渉に当たり、健康福祉部の担当職員又は危機管理部消防課長兼新型コロナウイルス感染症対策室長B(以下「B室長」という。)とともに、原告代表者及び従業員C(以下「C社員」という。)と複数回面談するなどした。 イ 原告は、同月28日の面談の際、被告が健康福祉部で1万着、危機管理部で8万着の防護服計9万着(以下、着数は全て防護服を指す。)を購入する場合は、1着5300円を4500円に値下げし、危機管理部には3万着、3万着及び2万着の3回に分けて納品する旨を説明した。 ウ 同年5月8日午後3時38分頃、被告(A副知事の秘書)から原告に対し、危機管理部が調達する8万着について、同日付けの物品購入状況説明書(以下「本件書面」という。)の電子データを添付したメール(甲10)が送信された。しかし、同日午後7時頃、B室長がC社員に対し、3万着に変更して残りはキャンセルしたい旨を電話で告げ、同日午後8時39分には、危機管理部から原告に対し、本件書面を取り消す旨のメール(甲12)が送信された。 エ そこで、原告は、輸入元の中国企業と協議し、発注した防護服のうち2万着については輸入をキャンセルすることができた。[甲30] オ 健康福祉部に対する納品分1万着については、同月11日頃、原被告間で売買契約書(甲15の1・2)が調印され、同月18日までに納品が完了した。また、危機管理部に対する1回目の納品分3万着(以下「初回3万着」という。)については、同月23日頃、原被告間で売買契約書(甲16)が調印され(この中で、被告が原告に対し代金の支払を遅延したときは年2.6%の割合による遅延損害金を支払う旨が合意された。)、同月27日までに納品が完了した。 カ 一方、原告は、危機管理部に対する2回目の納品分である3万着(以下「本件3万着」という。)については輸入のキャンセルができず、同月27日、被告に対しその引取りを求めた。[甲17、30、乙13] |