事件番号 | 令和6(ネ)10078等 |
---|---|
事件名 | 特許権侵害差止等請求控訴事件 |
裁判所 | 知的財産高等裁判所 |
裁判年月日 | 令和7年6月18日 |
事件種別 | 特許権・民事訴訟 |
事案の概要 | 本件は、控訴人の本訴請求と被控訴人の反訴請求からなる。 (1) 本訴請求 本訴請求は、控訴人が被控訴人に対して次の請求をするものである。 ア 被控訴人が被告製品を製造又は販売することが本件特許権(特許第4796334号に係る特許権)の侵害に当たるとして、特許法100条1項に基づく被告製品の製造、販売及び販売の申出の差止め並びに同条2項に基づく被告製品の廃棄 イ 被控訴人が平成24年頃から本訴提起日(令和4年12月14日)までの間に被告製品を製造及び販売することによって本件特許権が侵害されたとして、民法709条に基づく損害賠償金6000万円の支払 ウ 被控訴人が平成24年頃から令和4年頃までの間に被控訴人の表札や郵便受けに控訴人の商号を使用したことが会社法8条に違反し、また、被控訴人が同期間中に被告製品に控訴人の商号及び「特許取得済」との表示を付したことがいずれも不正競争防止法(以下「不競法」という。)2条1項20号の不正競争に当たるとして、これらを原因として、民法709条又は不競法4条に基づく損害賠償金6200万円(うち6000万円は上記イと選択的請求)の支払 エ 上記イ又はウの事実を原因として、民法709条に基づく損害賠償金(弁護士費用)620万円の支払 オ 附帯請求として、上記イ~エの請求額元本合計6820万円に対する不法行為後の日である令和4年12月21日(本訴状送達の日の翌日)から支払済みまで改正前民法所定の年5%の割合による遅延損害金の支払 (2) 反訴請求 反訴請求は、被控訴人が控訴人に対して次の請求をするものである。 ア 控訴人の三井住友銀行に対する本件借入金につき、被控訴人が平成23年6月から令和4年6月までの間に合計350万9924円を第三者弁済したとして、民法650条1項、同法702条1項又は同法703条に基づく費用償還金又は不当利得金350万9924円の支払 イ 被控訴人代表者(α)が本件特許権に関連して費用合計90万2861円を支払ったことにより、控訴人は法律上の原因なく同額を利得しているから、αは、民法703条に基づき、控訴人に対して同額の不当利得返還請求権を有するところ、被控訴人はαから同請求権の債権譲渡を受けたとして、不当利得金90万2861円の支払 ウ 附帯請求として、上記ア及びイの請求額元本合計441万2785円に対する請求の日の翌日である令和5年5月16日(反訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の支払 2 原審の判断 原審は、要旨次のとおり判断して、本訴請求及び反訴請求をいずれも棄却した。 本訴請求のうち特許権侵害に関する請求について、販売被告製品(被告製品1~9)は、本件発明の構成要件を文言上充足せず、本件発明の構成と均等なものともいえないから、特許権侵害は成立しない。本訴のその余の請求について、被控訴人の行為は会社法8条に違反せず、不競法2条1項20号の不正競争に当たらない。 反訴請求について、被控訴人が本件借入金を第三者弁済した点は、被控訴人による弁済引受けがあったと評価できるから、準委任、事務管理及び不当利得のいずれの場合にも該当しない。被控訴人は、自らの利益を確保するために必要なものとして本件特許権に関する費用を負担していたといえるから、支払には法律上の原因があるし、損失が発生したともいえない。 |
事件番号 | 令和6(ネ)10078等 |
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事件名 | 特許権侵害差止等請求控訴事件 |
裁判所 | 知的財産高等裁判所 |
裁判年月日 | 令和7年6月18日 |
事件種別 | 特許権・民事訴訟 |
事案の概要 |
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本件は、控訴人の本訴請求と被控訴人の反訴請求からなる。 (1) 本訴請求 本訴請求は、控訴人が被控訴人に対して次の請求をするものである。 ア 被控訴人が被告製品を製造又は販売することが本件特許権(特許第4796334号に係る特許権)の侵害に当たるとして、特許法100条1項に基づく被告製品の製造、販売及び販売の申出の差止め並びに同条2項に基づく被告製品の廃棄 イ 被控訴人が平成24年頃から本訴提起日(令和4年12月14日)までの間に被告製品を製造及び販売することによって本件特許権が侵害されたとして、民法709条に基づく損害賠償金6000万円の支払 ウ 被控訴人が平成24年頃から令和4年頃までの間に被控訴人の表札や郵便受けに控訴人の商号を使用したことが会社法8条に違反し、また、被控訴人が同期間中に被告製品に控訴人の商号及び「特許取得済」との表示を付したことがいずれも不正競争防止法(以下「不競法」という。)2条1項20号の不正競争に当たるとして、これらを原因として、民法709条又は不競法4条に基づく損害賠償金6200万円(うち6000万円は上記イと選択的請求)の支払 エ 上記イ又はウの事実を原因として、民法709条に基づく損害賠償金(弁護士費用)620万円の支払 オ 附帯請求として、上記イ~エの請求額元本合計6820万円に対する不法行為後の日である令和4年12月21日(本訴状送達の日の翌日)から支払済みまで改正前民法所定の年5%の割合による遅延損害金の支払 (2) 反訴請求 反訴請求は、被控訴人が控訴人に対して次の請求をするものである。 ア 控訴人の三井住友銀行に対する本件借入金につき、被控訴人が平成23年6月から令和4年6月までの間に合計350万9924円を第三者弁済したとして、民法650条1項、同法702条1項又は同法703条に基づく費用償還金又は不当利得金350万9924円の支払 イ 被控訴人代表者(α)が本件特許権に関連して費用合計90万2861円を支払ったことにより、控訴人は法律上の原因なく同額を利得しているから、αは、民法703条に基づき、控訴人に対して同額の不当利得返還請求権を有するところ、被控訴人はαから同請求権の債権譲渡を受けたとして、不当利得金90万2861円の支払 ウ 附帯請求として、上記ア及びイの請求額元本合計441万2785円に対する請求の日の翌日である令和5年5月16日(反訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の支払 2 原審の判断 原審は、要旨次のとおり判断して、本訴請求及び反訴請求をいずれも棄却した。 本訴請求のうち特許権侵害に関する請求について、販売被告製品(被告製品1~9)は、本件発明の構成要件を文言上充足せず、本件発明の構成と均等なものともいえないから、特許権侵害は成立しない。本訴のその余の請求について、被控訴人の行為は会社法8条に違反せず、不競法2条1項20号の不正競争に当たらない。 反訴請求について、被控訴人が本件借入金を第三者弁済した点は、被控訴人による弁済引受けがあったと評価できるから、準委任、事務管理及び不当利得のいずれの場合にも該当しない。被控訴人は、自らの利益を確保するために必要なものとして本件特許権に関する費用を負担していたといえるから、支払には法律上の原因があるし、損失が発生したともいえない。 |