事件番号令和5(受)2461
事件名不当利得返還等請求事件
裁判所最高裁判所第一小法廷
裁判年月日令和7年6月30日
裁判種別判決
結果破棄自判
原審裁判所東京高等裁判所
原審事件番号令和5(ネ)1593
原審裁判年月日令和5年9月21日
事案の概要1 原審の適法に確定した事実関係の概要は、次のとおりである。
⑴ 上告人は、不動産の管理業等を目的とする株式会社である。
⑵ 甲(以下「本件別荘地」という。)は栃木県那須塩原市に所在する多数の土地及び道路等の施設から成る別荘地であり、その区画の状況は第1審判決別紙「甲総区画図」のとおりである。
⑶ 上告人は、昭和57年以降、本件別荘地内に土地を所有する者(以下「本件別荘地所有者」という。)との間において、個別に共益管理契約(以下「本件管理契約」という。)を締結し、本件別荘地において、本件管理契約に基づく管理業務(以下「本件管理業務」という。)を行っている。その内容は、①道路、側溝及びマンホール等の雨水排水設備、街路灯、消火栓、ゴミ集積所等の保全及び維持管理、②毎日2回のパトロール実施、道路ゲートの開閉管理、関係者以外の立入り防止、天災地変時の見回り点検、③道路両脇の雑草の刈込み作業、U字溝内部の清掃作業である。
本件管理契約によれば、本件別荘地所有者は、本件管理業務に対し、本件別荘地内の土地1区画当たり年額3万6000円(消費税別)の管理費を支払うものとされている。
⑷ 被上告人は、平成5年、本件別荘地内の土地の1区画である第1審判決別紙物件目録記載の土地(以下「本件土地」という。)を売買により取得した。被上告人は、本件土地上に建物を建築しておらず、本件土地を利用していない。また、被上告人は、上告人との間において本件管理契約を締結しておらず、上記管理費を支払っていない。
2 本件は、上告人が、被上告人に対し、本件管理業務という労務により被上告人は法律上の原因なく利益を受け、上告人は損失を被ったとして、不当利得返還請求権に基づき、平成28年7月から令和3年6月までの間における上記管理費と同額の支払を求める事案である。
3 原審は、上記事実関係の下において、要旨、本件管理業務が本件土地の経済的価値に与えた影響は不明であるから、被上告人が利益を受けたとは認められず、被上告人は上告人に対し不当利得返還義務を負わないと判断して、上告人の請求を棄却した。
判示事項別荘地内に土地を所有する者が当該別荘地の管理会社に対し管理費として相当と認められる額の不当利得返還義務を負うとされた事例
事件番号令和5(受)2461
事件名不当利得返還等請求事件
裁判所最高裁判所第一小法廷
裁判年月日令和7年6月30日
裁判種別判決
結果破棄自判
原審裁判所東京高等裁判所
原審事件番号令和5(ネ)1593
原審裁判年月日令和5年9月21日
事案の概要
1 原審の適法に確定した事実関係の概要は、次のとおりである。
⑴ 上告人は、不動産の管理業等を目的とする株式会社である。
⑵ 甲(以下「本件別荘地」という。)は栃木県那須塩原市に所在する多数の土地及び道路等の施設から成る別荘地であり、その区画の状況は第1審判決別紙「甲総区画図」のとおりである。
⑶ 上告人は、昭和57年以降、本件別荘地内に土地を所有する者(以下「本件別荘地所有者」という。)との間において、個別に共益管理契約(以下「本件管理契約」という。)を締結し、本件別荘地において、本件管理契約に基づく管理業務(以下「本件管理業務」という。)を行っている。その内容は、①道路、側溝及びマンホール等の雨水排水設備、街路灯、消火栓、ゴミ集積所等の保全及び維持管理、②毎日2回のパトロール実施、道路ゲートの開閉管理、関係者以外の立入り防止、天災地変時の見回り点検、③道路両脇の雑草の刈込み作業、U字溝内部の清掃作業である。
本件管理契約によれば、本件別荘地所有者は、本件管理業務に対し、本件別荘地内の土地1区画当たり年額3万6000円(消費税別)の管理費を支払うものとされている。
⑷ 被上告人は、平成5年、本件別荘地内の土地の1区画である第1審判決別紙物件目録記載の土地(以下「本件土地」という。)を売買により取得した。被上告人は、本件土地上に建物を建築しておらず、本件土地を利用していない。また、被上告人は、上告人との間において本件管理契約を締結しておらず、上記管理費を支払っていない。
2 本件は、上告人が、被上告人に対し、本件管理業務という労務により被上告人は法律上の原因なく利益を受け、上告人は損失を被ったとして、不当利得返還請求権に基づき、平成28年7月から令和3年6月までの間における上記管理費と同額の支払を求める事案である。
3 原審は、上記事実関係の下において、要旨、本件管理業務が本件土地の経済的価値に与えた影響は不明であるから、被上告人が利益を受けたとは認められず、被上告人は上告人に対し不当利得返還義務を負わないと判断して、上告人の請求を棄却した。
判示事項
別荘地内に土地を所有する者が当該別荘地の管理会社に対し管理費として相当と認められる額の不当利得返還義務を負うとされた事例
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