事件番号 | 令和1(わ)814 |
---|---|
事件名 | 強要未遂、恐喝未遂、恐喝各被告事件 |
裁判所 | 京都地方裁判所 第2刑事部 |
裁判年月日 | 令和7年2月26日 |
事案の概要 | 1 令和元年9月25日付け起訴状記載の公訴事実(恐喝) a 労働組合 b 支部(以下「b 支部」という。)の執行委員長である被告人甲及び副執行委員長である被告人乙は、b支部の組合員7名が社員として在籍していた有限会社c社(以下「c社」ということがある。)の解散に際して、d協同組合(以下「d協組」という。)の理事らが同社の設立に関与していたことから、d協組がb支部に対して、同社を退職する組合員7名の退職金などを支払う必要があるなどと因縁を付けてd協組から現金を脅し取ろうと考え、共謀の上、平成25年(2013年)3月頃、大阪市内のb支部3階応接室において、被告人甲が、d協組理事のAに対し、前記組合員7名の退職金などとの名目で解決金1億5000万円を支払う必要がある旨を言い、d協組が任意にその支払に応じなかったことから、平成26年(2014年)3月5日から同月10日までの間及び同年6月2日から同月10日までの間、b支部組合員をd協組に加盟する生コンクリート(以下「生コン」という。)製造会社の敷地内に滞在させ、各社の従業員らの動静を監視させるなどして、各社の生コンの出荷を阻止し、同月12日、京都市内のホテルの一室において、被告人乙がAらに対し、前記解決金の支払を要求した上、同月26日及び同月27日、前同様の方法で、各社の生コンの出荷を阻止し、もしその要求に応じなければ、Aらd協組理事の身体、財産及びAらが経営する会社の営業等に危害を加えかねない旨の気勢を示して怖がらせ、同年8月20日、d協組の理事会において、b支部に対して現金1億5000万円を支払うことを決定させ、よって、同月27日、前記ホテル280号室において、被告人乙がAから現金1億5000万円の交付を受け、もって人を恐喝して財物を交付させた。 2 訴因変更後の令和元年8月7日付け起訴状記載の公訴事実(恐喝) 被告人両名は、かねてからd協組に加盟する生コン製造会社がb支部の要求に応じない場合に、b支部が各社の生コンの出荷を阻止するなどの妨害行為を繰り返した結果、d協組の各理事がb支部を畏怖していることに乗じ、因縁を付けて現金を脅し取ろうと考え、共謀の上、平成28年(2016年)10月26日、京都市内の喫茶店において、d協組理事のAに対し、d協組に加盟する e 株式会社(以下「e 社」という。)が破産申立てをしたことに伴い、d協組から同社に割り当てられていた生コン納入業務のシェアがd協組に加盟する他の生コン製造会社6社に分配されたのであるからd協組はb支部に解決金6000万円を支払う必要がある旨言い、Aを介してd協組理事長のBに同要求を伝えさせ、さらに、同年11月1日、前記ホテルにおいて、Aらに対し、d協組はb支部に解決金6000万円を支払う必要がある旨言い、もしその要求に応じなければ、Aらの身体、財産及びAらが経営する会社の営業等に危害を加えかねない旨の気勢を示して怖がらせ、同年11月7日、d協組の理事会において、b支部に対して現金6000万円を支払うことを決定させ、よって、同月16日、前記喫茶店において、Aから現金6000万円の交付を受け、もって人を恐喝して財物を交付させた。 3 令和元年7月10日付け起訴状記載の公訴事実第1(強要未遂) 被告人両名は、株式会社f(以下「f社」ということがある。)取締役Cらを脅迫して、同社の日雇運転手であるb支部組合員Dを正社員として同社に雇用させ、更に同社がDを雇用している旨の就労証明書を同社に作成・提出させようなどと考え、b支部の執行委員であるE及びF並びにb支部の組合員であるGと共謀の上、平成29年(2017年)10月16日から同年12月1日までの間、京都府木津川市所在の同社事務所に多数回にわたって押し掛けて、Cらに対して、同社がDを正社員として雇用すること及びDを雇用している旨の就労証明書を作成・提出することなどを執ように求め、更に同月2日以降、同社周辺にb支部組合員をたむろさせ同社従業員らの動静を監視させるなどした上、同月4日午後3時47分頃から同日午後4時38分頃までの間、前記事務所に押し掛けた上、Cらに対し、Eが「何が弁護士や、関係あらへんがな、書いてもらわなあかん。」、「お前も何や、何ケチつけとんねん、うちの行動に。こらぁ。おいっ。」、「ほな解決せんかい。」などと怒号しながら、Cに示していた就労証明書を机にたたきつけ、Fが「何をぬかしとんねん、われぇ、おい、こらぁ、ほんま。労働者の雇用責任もまともにやらんとやな。団体交渉も持たんと、法律違反ばっかりやりやがって。こら。こんなもんで何ぬかしとんねん、こら、われ、ほんま。」などと怒号して、Dを同社の正社員として雇用すること等を要求し、もしこの要求に応じなければ、C及びその親族の身体、自由、財産等に危害を加えかねない旨の気勢を示して怖がらせ、もってCをして義務なきことを行わせようとしたが、Cがその要求に応じなかったため、その目的を遂げなかった。 4 令和元年7月10日付け起訴状記載の公訴事実第2(強要未遂、恐喝未遂) 被告人両名は、b支部の組合員が、Dを正社員として雇用することなどを求めて、f社の事務所に多数回にわたって押し掛け、更に同社周辺にたむろして同社従業員らの動静を監視するなどした結果、同社代表取締役Hがb支部を畏怖していることに乗じ、前記監視行為を中止するための条件として、同社が所有する生コン製造プラントを同社に解体させるとともに同社が所有するミキサー車1台を喝取しようと企て、g協働組合(以下「g協組」という。)代表理事のI及びg協組理事のJと共謀の上、平成29年(2017年)12月28日、前記事務所において、Iが、Hに対して、生コン製造プラントの解体及びミキサー車1台の譲渡を同社が誓約する旨の文書を示した上、「これにはんこついてくれたら、連帯は一切手を引くと言うてるから。中身確認して、はんこついてくれ。」、「はんこつかんかったら、監視はずっと続くし、大変なことになるんと違いますか。」などと申し向け、平成30年(2018年)1月16日頃、Iが電話で、京都府内にいたHに対して、「連帯は解体を始めるまでとことん監視活動を続けると言っている。」などと申し向け、更に同年4月20日午前10時50分頃から同日午後0時20分頃までの間、前記事務所において、IがHに対して、「車1台、でまあ潰すと。もうこれで一切手を引きましょうというのは、一般の常識から言うたら、もうそんなん口惜しい話です。なんで車1台やらなあかんと、うちの車やと。」、「あいつらには一般常識の話は通用しないんで。」、「だから話がつけばもう来ませんよ。だからミキサー1台やって、向こうも潰すと。」などと申し向け、生コン製造プラントの解体及びミキサー車1台の譲渡を要求し、もしこの要求に応じなければ、H及びその親族の身体、自由、財産等に危害を加えかねない旨の気勢を示して怖がらせ、もってHをして義務なきことを行わせようとした上、Hからミキサー車1台を喝取しようとしたが、Hがその要求に応じなかったため、その目的を遂げなかった。 |
事件番号 | 令和1(わ)814 |
---|---|
事件名 | 強要未遂、恐喝未遂、恐喝各被告事件 |
裁判所 | 京都地方裁判所 第2刑事部 |
裁判年月日 | 令和7年2月26日 |
事案の概要 |
---|
1 令和元年9月25日付け起訴状記載の公訴事実(恐喝) a 労働組合 b 支部(以下「b 支部」という。)の執行委員長である被告人甲及び副執行委員長である被告人乙は、b支部の組合員7名が社員として在籍していた有限会社c社(以下「c社」ということがある。)の解散に際して、d協同組合(以下「d協組」という。)の理事らが同社の設立に関与していたことから、d協組がb支部に対して、同社を退職する組合員7名の退職金などを支払う必要があるなどと因縁を付けてd協組から現金を脅し取ろうと考え、共謀の上、平成25年(2013年)3月頃、大阪市内のb支部3階応接室において、被告人甲が、d協組理事のAに対し、前記組合員7名の退職金などとの名目で解決金1億5000万円を支払う必要がある旨を言い、d協組が任意にその支払に応じなかったことから、平成26年(2014年)3月5日から同月10日までの間及び同年6月2日から同月10日までの間、b支部組合員をd協組に加盟する生コンクリート(以下「生コン」という。)製造会社の敷地内に滞在させ、各社の従業員らの動静を監視させるなどして、各社の生コンの出荷を阻止し、同月12日、京都市内のホテルの一室において、被告人乙がAらに対し、前記解決金の支払を要求した上、同月26日及び同月27日、前同様の方法で、各社の生コンの出荷を阻止し、もしその要求に応じなければ、Aらd協組理事の身体、財産及びAらが経営する会社の営業等に危害を加えかねない旨の気勢を示して怖がらせ、同年8月20日、d協組の理事会において、b支部に対して現金1億5000万円を支払うことを決定させ、よって、同月27日、前記ホテル280号室において、被告人乙がAから現金1億5000万円の交付を受け、もって人を恐喝して財物を交付させた。 2 訴因変更後の令和元年8月7日付け起訴状記載の公訴事実(恐喝) 被告人両名は、かねてからd協組に加盟する生コン製造会社がb支部の要求に応じない場合に、b支部が各社の生コンの出荷を阻止するなどの妨害行為を繰り返した結果、d協組の各理事がb支部を畏怖していることに乗じ、因縁を付けて現金を脅し取ろうと考え、共謀の上、平成28年(2016年)10月26日、京都市内の喫茶店において、d協組理事のAに対し、d協組に加盟する e 株式会社(以下「e 社」という。)が破産申立てをしたことに伴い、d協組から同社に割り当てられていた生コン納入業務のシェアがd協組に加盟する他の生コン製造会社6社に分配されたのであるからd協組はb支部に解決金6000万円を支払う必要がある旨言い、Aを介してd協組理事長のBに同要求を伝えさせ、さらに、同年11月1日、前記ホテルにおいて、Aらに対し、d協組はb支部に解決金6000万円を支払う必要がある旨言い、もしその要求に応じなければ、Aらの身体、財産及びAらが経営する会社の営業等に危害を加えかねない旨の気勢を示して怖がらせ、同年11月7日、d協組の理事会において、b支部に対して現金6000万円を支払うことを決定させ、よって、同月16日、前記喫茶店において、Aから現金6000万円の交付を受け、もって人を恐喝して財物を交付させた。 3 令和元年7月10日付け起訴状記載の公訴事実第1(強要未遂) 被告人両名は、株式会社f(以下「f社」ということがある。)取締役Cらを脅迫して、同社の日雇運転手であるb支部組合員Dを正社員として同社に雇用させ、更に同社がDを雇用している旨の就労証明書を同社に作成・提出させようなどと考え、b支部の執行委員であるE及びF並びにb支部の組合員であるGと共謀の上、平成29年(2017年)10月16日から同年12月1日までの間、京都府木津川市所在の同社事務所に多数回にわたって押し掛けて、Cらに対して、同社がDを正社員として雇用すること及びDを雇用している旨の就労証明書を作成・提出することなどを執ように求め、更に同月2日以降、同社周辺にb支部組合員をたむろさせ同社従業員らの動静を監視させるなどした上、同月4日午後3時47分頃から同日午後4時38分頃までの間、前記事務所に押し掛けた上、Cらに対し、Eが「何が弁護士や、関係あらへんがな、書いてもらわなあかん。」、「お前も何や、何ケチつけとんねん、うちの行動に。こらぁ。おいっ。」、「ほな解決せんかい。」などと怒号しながら、Cに示していた就労証明書を机にたたきつけ、Fが「何をぬかしとんねん、われぇ、おい、こらぁ、ほんま。労働者の雇用責任もまともにやらんとやな。団体交渉も持たんと、法律違反ばっかりやりやがって。こら。こんなもんで何ぬかしとんねん、こら、われ、ほんま。」などと怒号して、Dを同社の正社員として雇用すること等を要求し、もしこの要求に応じなければ、C及びその親族の身体、自由、財産等に危害を加えかねない旨の気勢を示して怖がらせ、もってCをして義務なきことを行わせようとしたが、Cがその要求に応じなかったため、その目的を遂げなかった。 4 令和元年7月10日付け起訴状記載の公訴事実第2(強要未遂、恐喝未遂) 被告人両名は、b支部の組合員が、Dを正社員として雇用することなどを求めて、f社の事務所に多数回にわたって押し掛け、更に同社周辺にたむろして同社従業員らの動静を監視するなどした結果、同社代表取締役Hがb支部を畏怖していることに乗じ、前記監視行為を中止するための条件として、同社が所有する生コン製造プラントを同社に解体させるとともに同社が所有するミキサー車1台を喝取しようと企て、g協働組合(以下「g協組」という。)代表理事のI及びg協組理事のJと共謀の上、平成29年(2017年)12月28日、前記事務所において、Iが、Hに対して、生コン製造プラントの解体及びミキサー車1台の譲渡を同社が誓約する旨の文書を示した上、「これにはんこついてくれたら、連帯は一切手を引くと言うてるから。中身確認して、はんこついてくれ。」、「はんこつかんかったら、監視はずっと続くし、大変なことになるんと違いますか。」などと申し向け、平成30年(2018年)1月16日頃、Iが電話で、京都府内にいたHに対して、「連帯は解体を始めるまでとことん監視活動を続けると言っている。」などと申し向け、更に同年4月20日午前10時50分頃から同日午後0時20分頃までの間、前記事務所において、IがHに対して、「車1台、でまあ潰すと。もうこれで一切手を引きましょうというのは、一般の常識から言うたら、もうそんなん口惜しい話です。なんで車1台やらなあかんと、うちの車やと。」、「あいつらには一般常識の話は通用しないんで。」、「だから話がつけばもう来ませんよ。だからミキサー1台やって、向こうも潰すと。」などと申し向け、生コン製造プラントの解体及びミキサー車1台の譲渡を要求し、もしこの要求に応じなければ、H及びその親族の身体、自由、財産等に危害を加えかねない旨の気勢を示して怖がらせ、もってHをして義務なきことを行わせようとした上、Hからミキサー車1台を喝取しようとしたが、Hがその要求に応じなかったため、その目的を遂げなかった。 |